「失敗の活かし方」と「成功体験の活かし方」にみる共通課題とは?

●  「ニッポンの革新力」シンポジウム

2018/1/27に日経新聞社は、標記のシンポジウムを開催しました。

ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授の基調講演を始め、複数の識者による講演を始めとして、日本からイノベーションを生み出す課題などを議論し、発想の転換の必要性を指摘したとのことです。

シンポジウムの概要はこちら(日本経済新聞電子版)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26238310X20C18A1EA5000/

この記事の中で、スタートアップ企業のペプチドリームの窪田規一会長が、日米での失敗に対する自他の評価の違いが失敗事例の活用の違いにつながっていることを指摘したと記載されているところに興味を惹かれました。

 

● 成功体験は忘れるべきか?(業績評価におけるプロジェクトX的嗜好の影響)

失敗体験とは反対に、 良く「過去の成功体験に埋没するな」とか「成功体験を捨ててチャレンジを」という言葉を聞きますが、一方でより質の高い成果を、より少ないコスト(特に人と時間)で出し続けるためには、自分や組織内の経験を有効活用しなくてはならないわけで、この体験自体も貴重な知的資産かと思います。

 成功体験を否定的に捉えるのは、成功した時と社内外の環境が変わったにもかかわらず同じ方法や戦略、考え方に固執してはならないと言っているのだと思いますが、では何故条件が変わっても今までのやり方に固執するのでしょうか?

通常企画を立ち上げる際には背景、社内外環境などから課題を抽出して解決策を提案するという作業を当たり前のようにおこなっています。

従ってそこでは当該企画が成り立つための環境要因は一応押えられていると考えて良いでしょう。
それにもかかわらず、その後環境が変わっても同じ事を繰り返すのは、成功体験の中で、個人(あるいは組織)の功績のみが残り、成功した際の環境要因が組織のナレッジとして残っていない事に原因があるのではないでしょうか?

なぜ、環境要因が成功(あるいは失敗)の結果と共に記録されていないかとを考えると、私はその業務・事業の評価(業績評価)において、携わった個人(組織)の功績が強調される傾向にある事が原因ではないかとの仮説を持っています。

「数々の障害を、工夫と努力とチームワークで乗り越える」ようなストーリーが人気を得る風潮も、事業評価段階での環境要因の検討をおろそかにしたり、環境条件を軽視する原因の一つだろうと思います。

 

●環境要因評価は、仮説の検証で

では、成功するための環境条件をいかに組織の知見として残すかですが、環境要因の貢献度評価を業績評価の場で行うことは、中々難しいかと思います。

そこで、「環境要因に関する仮説と検証」を業務として組み込むことが一つの策としてあるのではと考えています。

具体的には、企画段階(あるいは目標設定段階)で、成功条件と失敗条件を仮説として明示しておき、事業の結果評価の段階で「仮説の検証」も行います。

かつ仮説作りと検証を的確に行うことも業績評価の対象とすることで、そのプロジェクト自身の有用性(これをやるべき)と実施方法の有効性(こうやるべき)が成立するための環境条件(どんなときに?)をナレッジとして残し、かつ環境変化を予測しつつ適応する事業(業務)計画を立てる訓練にもなるのではないかと思います。

この、外部環境の要因に関する仮説と検証、その事業への影響を行うツールとして、知的資産経営報告書作成時のSWOT分析・クロスSWOT分析と、KPI(業績管理指標)への反映知的資産経営報告書の更新によるSWOT分析等の外部要因把握の検証は、成功事例、失敗事例の活用にも応用出来るものと考える次第です。

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