マイクロソフトがネットと車がつながる特許をトヨタにライセンスする理由とは?

マイクロソフト社のトヨタ自動車への「つながるクルマ」に関するライセンス

2017年3月23日、日本マイクロソフト社は、3月22日に米国マイクロソフト社がトヨタ自動車株式会社と広範なコネクテッドカー関連テクノロジーを包含する新たな特許ライセンス契約を締結したことを発表しました。
https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/03/23/170323-patent-license-agreement-with-toyota/#sm.0001iu9dd0rfxeu2wqs1a2b2o3a5z#LUvmGzmUGYhODOhh.97

マイクロソフト側は、
年間 114 億ドルを研究開発に投資し、30年以上にわたり今日のコネクテッドカー(ネットとつながる車)を支える革新的テクノロジーを開発し、その成果であるテレマティクス、インフォテインメント(車載システム)、セーフティシステムをはじめとする多くの分野でマイクロソフトのテクノロジーとイノベーションが活用されていること、自動車メーカーと緊密に連携してお客様の声に応えられるよう支援を進めているとコメントし、

トヨタ側は、
自動車メーカーは、最も素晴らしく、魅力的なコネクテッドカーの体験を作り出すために、マイクロソフトのようなテクノロジリーダーと協業すべきだと考えている。
今回のトヨタとマイクロソフトの特許パートナーシップにより、お客様に魅力的な新体験を提供するためのイノベーションをより迅速に実現することが可能になると思っている。
とコメントしています。

新しい市場では、協業が必須

トヨタ自動車は、自らも燃料電池自動車に関する自社特許を無償開放していますが、特許に関する同社の柔軟なオープン・クローズ戦略の一環が伺える記事だと思います。

マイクロソフトやトヨタ自動車のような巨大企業でも、自社事業て、特に新規の市場に関する事業に関するすべての知的財産を自身で賄うことは不可能ということであり、

まして中小企業では、他社の知的財産を始めとする知的資産も利用して自社事業の維持・成長につなげることが必要となりますね。

提携=アライアンスを適切に組めることも知的資産の一つ

提携先提携してお互いの経営資源を持ち寄るときに、中小企業が大手企業と組むときには、不利な立場になることが多くなります。

自社の知的資産と強みをきちんとアピールするとともに、提携の出口(目的)を明確にしながら、リスクマネジメントにも留意して提携交渉を進め、契約する能力も、いわゆる関係資産の一つであり、さらにこのような能力を形式知化して体系的に蓄積していけば、それが組織資産となっていきます。

そして提携先に自社の強みを開示する手段の一つとして、知的資産経営報告書も使えるものと考える次第です。

なお、提携に限らず交渉に不慣れという場合には、以下のような書籍が参考になるかと存じます。

戦略的交渉入門 (日経文庫) 新書

【ビジュアル解説】交渉学入門

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