地域の知財活動に関する事例を知的資産経営のアピールに活かすと?

● 特許庁の地域別知的財産活動に関する調査報告書

特許庁では、地域活性化に向けた知的財産の一層の活用を促進するため、27年度に調査した8県に加え、28年度は21道府県を対象として、各道府県の知財の現状(知財戦略や出願動向等)や活用事例などを調査し報告書に取りまとめました。

http://www.jpo.go.jp/sesaku/chiiki/chiiki_report.htm

平成28年度の調査の中で、神奈川の事例を見ますと、
特許、実用新案、意匠、商標の出願件数割合は、
特許69%、実用新案1%、意匠7%、商標23%
全国順位は
どれも3位または4位となっています。

http://www.jpo.go.jp/sesaku/chiiki/files/chiiki_report_h28/05.pdf

その中で、今回目を引いた事例は、

小田原蒲鉾協同組合による
「小田原蒲鉾」「小田原かまぼこ」の地域団体商標権の取得と活用
の事例と、

株式会社金子コンクリートの
にスラッジ水とモルタルを掛け合わせた埋め戻し材である
「スラモル」を、特許権と商標権、ノウハウを組み合わせた知財
ミックスで営業活動に活用している事例

の2つでした。

● 異なる種類の知財の連携

小田原蒲鉾協同組合では、地域団体商標をとった小田原蒲鉾の
ブランドを維持するために、「小田原蒲鉾十ヶ条」という指針を
策定し、技能研修などを実施しながら品質確保につとめています。
つまり、商標とノウハウの組み合わせでブランド価値の維持・向上
を図っている事例とも言えるかと思います。

金子コンクリートの場合は、ネット証券会社のカブドットコム証券
の特許と商標の連携に近いものを感じました。

カブドットコム証券では、株の自動売買方式について
「W指値注文」 や「±指値注文」
といったそのものズバリの名称で商標権をとり、
更に特許(前者は特許第3754009号、後者は特許第4076512号)
でお客様に自社の技術力と他社には真似出来ないとのアピールで
差別化を図っています。

http://kabu.com/item/auto_trading/

図1

【特許番号】特許第3875206号(P3875206)
【発明の名称】売買注文自動発注装置及び売買注文の自動発注方法

カブドットコムの逆指値注文特許(特許公報より)

個々の知財ではなく、それらを組み合わせて事業を守り、お客様に
アピールするという好事例ではないかと思います。

● 知的資産経営の関係資産と知財の連携

上記のような知的財産と同様、自社の個々の知的資産を有機的に連携させることは、強みの構築だけでなく、他社へのアピールの上でも重要ですね。

例えば、知的資産の一つである関係資産においても、特許と意匠・
商標の連携と同様に、
自社の人的資産、構造資産とも連携させて、お客様や取引先に
自社の強みをアピールすることで、関係性の構築・強化を図って
いくことが必要と考える次第です。

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