研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(1)

契約 研究開発

【今日のポイント】

ペーパーレス化や事業活動の見える化などの生産性向上、新商品やサービスの開発など、自社で開発するかどうかにかかわらず、事業と科学技術が関わる場面は数多くありますね。

今回は、他社とも関わり合いながら進める研究開発の各段階と、それに関わる技術契約の種類について、2回に分けてお話しいたします。

まずは、事業目的からの必要な技術(分野)の特定、その技術を持っている相手探しと協業検討の段階までを取り上げたいと思います。

 

● 技術契約とは

今回は、研究開発の各段階で、どんな技術契約を利用するかという点についてお話したいと思います。

なお、今回は、自社内で完結せずに、他社と共同で行う研究開発や、他社や専門家(大学など)の支援を受けて行う研究開発など、社外と関わり合いながら行う研究開発を主な対象としています。

まず、「技術契約とは何か」ですが、

例えば、東京都中小企業振興公社の『技術契約マニュアル – 東京都中小企業振興公社では、以下のように定義しています。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『一般に企業は収益拡大を図るため、特許権なと゛の知的財産の譲渡やライセンスを 行ったり、新規事業を短期に立ち上げるため、他社と共同開発を行ったりしています。

こうした知的財産や技術を主な対象として他社と取り交わす契約を技術契約とい い、物品の売買契約や、不動産の賃貸借契約なと゛と区別されます。』

事業で取り扱う知的財産や技術を主な対象とする契約ということですね。

対象(物品(動産)や不動産など)の違いによって契約の種類を区別する定義となっています。

上記のマニュアルでは、技術契約の種類を以下の9種としていますが、本稿では、秘密保持契約共同研究契約委託(研究)開発契約共同出願契約実施許諾(ライセンス)契約と、譲渡契約を取り上げてお話いたします。

なお、委託(研究)開発契約は、上記マニュアルの業務委託(受託)契約技術指導契約の双方と共通するところがあるかと思います。

1 秘密保持契約

2 共同研究契約

3 業務委託(受託)契約

4 共同出願契約

5 実施許諾(ライセンス)契約

6 譲渡契約

7 オプション契約

8 OEM 契約/ ODM 契約

9 技術指導契約

 

● 研究開発の流れと技術契約

それでは、研究開発の各段階では、どのような種類の技術契約を利用する(締結する)でしょうか?

1.事業目的の設定と必要な技術(分野)の特定

まずは、新規事業にせよ、既存の事業の改善にせよ、そのための商品開発や生産性向上策等の事業目的が大前提となります。

その事業目的から必要な技術を検討していくわけですが、この時点ではネット情報や特許情報や自社の研究開発部門の意見、普段お付き合いのある取引先への相談などが中心になるかと思います。

 

2.必要な技術に関する情報収集

この段階では、特定した技術について、それを持っているであろう相手への情報収集を行うことになります。

まず、その技術を持っている相手の特定の手段としては、ネットでの検索、知り合いの専門家や公的機関、金融機関への相談、その技術を持っていそうな専門家や企業といった第三者への問い合わせやヒアリングが考えられますが、

この「第三者からの情報収集」において、自社がこれから行いたい事業や開発したい商品などの、必要とする技術の背景情報を相手に話す際に、必要に応じて「秘密保持契約」を結ぶことになります。

また、自社に必要な技術を持っている、あるいは開発できる能力があると見込める相手が見つかれば、さらに深い情報を得るために、秘密保持契約を結ぶことも多いかと思います。

 

3.共同検討

この段階からは、いよいよ相手との共同作業に入ります。

まずは、お互いの持っている技術やそれ以外の経営資源(知的資産、資金、設備等)と、お互いの事業目的から、協業できるかどうか、また協業する際の役割分担などについて話し合いながら、詰めていきます。

この段階でも秘密保持契約を使うことになりますが、前述の相手探しの段階での秘密保持契約をそのまま適用する場合も多いかと思います。

したがって、最初に秘密保持契約を結ぶ際に、「どの段階まで、この契約で情報交換や共同検討を行うか」についてお互いに合意して、契約の中に明記しておく必要があります。

また、今までに取引のある相手や、同じような検討を行ってきた相手等の場合には、この段階から次節の共同開発契約委託契約を結んで、その中で、最初の共同検討時に交換した情報の取扱を含めて決めておく場合も多く見られます。

今回は、共同検討の入り口までに必要な契約(主に秘密保持契約)についてお話しました。

次回は、研究開発を行う際の契約、研究開発成果を利用する段階での契約などについてお話いたします。

なお、今回お話した秘密保持契約については、
以前に、
『秘密情報のリスクを回避する方法!秘密保持契約入門』
として以下の5回シリーズで解説していますので、そちらも是非御覧ください(^^)。

(1) 秘密保持契約の必要な場面

(2) 契約交渉前の準備

(3) 秘密保持契約の主要項目とポイント-1

(4) 秘密保持契約の主要項目とポイント-2

(5) 契約締結後の管理

 

★ この記事がいいなと思ったら、クリックよろしくお願い申し上げます(^^)。


中小企業診断士ランキング


特許・知的財産ランキング

Follow me!