知的財産推進計画2019にみる「尖る価値」の評価の高まり

【今日のポイント】

20196月に決定された知的財産推進計画2019

今回その3本の柱の第一に「脱平均」として、「尖った人材の育成」を挙げています。

企業連携が進む中で、自社の立場を強化するためにも特化した強みを持って「尖ること」が求められている現れかと考える次第です。

知的財産推進計画2019決定

2019/6/21 知的財産戦略本部は「知的財産推進計画2019」を決定しました。

概要はこちら

計画はこちら

知的財産推進計画2019の位置付けとしては、

20186月に決定した知的財産戦略ビジョンの中で、2030年頃を見据えた知財戦略として、「価値デザイン社会の実現」を掲げ、

その中で、

1.ビジネスモデル(価値創造メカニズム):新しい多様な価値 (経済的価値に限らない) を次々に構想、発信し、 世界に認められる

2・提供価値:(OUTPUT) 様々な新しい価値、(OUTCOME) 世界からの共感

3.資源:多様な個性が発揮する多面的能力、 日本らしさ、 新しい知的資産

3点から、ビジョンを達成するための移行戦略を立て、毎年の知的財産推進計画で具体化するとしており、

今回の知的財産推進計画2019はその2年目の計画に当たります。

今回の知的財産推進計画2019では以下の3つの柱

1.「脱平均」:「脱平均」の発想で個々の主体を強化し、チャレンジを促す

2.「融合」:分散した多様な個性の「融合」を通じた新結合を加速する

3.「共感」:「共感」を通じて価値が実現やすい環境を作る

を立てて、

「「価値デザイン社会」の実現~ ×技術×デザイン=未来 ~」
を目指すとしています。

かなり抽象的ではありますが、このような目標に基づき、今後色々な施策が打たれて行くことになります。

なお、知的資産経営の関係では、

『知的財産推進計画2018にみる知財の価値の範囲拡大と評価ニーズの高まり』

でも触れた、「知的資産」という言葉が、第二の柱「融合」の中で、「知的資産プラットフォーム」との題で、

 

『・SDGsプットフォームについて、試行実証の状況も踏まえつつ、G20等の国際会議での発信等を通じて国内外のアクターの連携・協働を促し、SDGs達成に向けたイノベーションの創出を促進する』

と、SDGsの観点から知的資産プラットフォームの構築を進めることを謳っています。

 

「脱平均」で評価されている「尖る価値」

今回の知的財産推進計画では、以下のように、「尖った人材の育成」を最初の柱「脱平均」の中でとして挙げています。

(1)中長期の方向性

1 尖った才能を開花させる
2 尖った人・企業か゛チャレンシ゛しやすい環境を整備する
3 尖った人・企業をサホ゜ートする』

具体的な施策としては、

(2)具体的施策

創造性の涵養・尖った人材の活躍

EdTechを活用し「学ひ゛の個別最適化」、文理融合・課題解決型STEAM教育の実現に向け取組む ・学校と地域か゛協働し、芸術文化等の優れた才能を発揮する等の地域における活動の環境整備を行う。

尖った人材のための課外活動や新しい学ひ゛の場を容易に探せる仕組みを検討する

ベンチャーを後押しする仕組み

・スタートアップ・エコシステムの構築に向け、拠点都市形成に向けた集中支援を行うとともに、公共調達における中小・ベンチャー企業の活用促進等の各施策を推進する

地方・中小の知財戦略強化支援

・中小企業の課題に対し知財を活用した解決を図る「知財ビジネス提案書」の作成支援を地銀等に行う ・中小企業の技術情報等の管理に関する指導助言や認定制度の活用により、管理体制の底上げを図る

知的創造保護基盤の強化

・民事訴訟手続等のIT化に向けて、オンラインて゛の書面提出やウェフ゛会議による手続きを可能にする などの制度的検討を進め、2019年度中の法制審議会への諮問を目指す

模倣品・海賊版対策の強化

・インターネット上の模倣品・海賊版による被害拡大を防ぐため、関係省庁等において総合的な対策メニューを実施するために必要な取組を進める』

と、知財保護と活用の両面からベンチャー、スタートアップ、中小企業の支援策を中心に展開させています。

知財情報の活用の仕組みには「施策の方向性」の中で、

『中小企業や中小企業を支援する金融機関等が経営デザインシートやその考え方を活用できるよう支援する』

と経営デザインシートの活用支援が盛り込まれています。

知的資産経営報告書については、2018年度版計画の中の2019年度の計画として、

『知的資産経営報告書、統合報告、ローカルベンチマーク等コミュニケーションツールを普及する際に知財のビジネス価値評価検討タスクフォースの考え方を広めていく。』

と記載されています。

知財のビジネス価値評価検討タスクフォースの考え方とは、以下の報告書に記載されている、「価値創造メカニズムの把握とデザイン」などの考え方を指しています。

『知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書~経営をデザインする~』

 

尖ることを念頭に置いた知的資産戦略が必要

上記のように、今後「尖ること」を促進する施策が打たれていくことは間違いのないところかと思います。

ドローン企業の「コト売り」にみる「尖ることの重要性」』

でも、強みを特化させて「尖る」ことの重要性をお伝えしてきましたが、

今後、知的資産経営報告書も、知財のビジネス価値評価検討タスクフォース(経営をデザインする)視点とともに、「尖ることを目指す」視点から、リデザインすることになるのではと考える次第です。

 

本ブログの関連トピックス

『ドローン企業の「コト売り」にみる「尖ることの重要性」』
「技術(開発力)」で尖っていくことで自社の強みの構築を図る、「技術を知的資産とする」ドローン企業エアロネクストの紹介。

一貫したブランド戦略という面でも参考になります。

 

このような環境下では、自社の所属するバリューチェーンやエコシステムのボトルネックに集中する「尖ること、オタク化」が求められていると考える次第です。

 

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