秘密情報のリスクを回避!秘密保持契約のイロハ(3/5)~秘密保持契約の主要項目とポイント

秘密保持契約

● 今回の説明事項

1. 秘密保持契約の必要な場面

2. 契約交渉前の準備

3. 秘密保持契約の主要項目とポイント-1

4. 秘密保持契約の主要項目とポイント-2

5.契約締結後の管理

 

ここまで、秘密保持契約を結ぶ前の主に社内など自分の組織内での前準備についてお話してきました。

今回から2回に渡って、秘密保持契約の主要項目とそのポイントについて、契約相手との交渉も念頭に置きながらお話ししていきます。

● 秘密保持契約の主要項目(構成例)

第1回でもお話しましたように、秘密保持契約のひな形自体はネットで数多く出てきますが、ここでは以下の項目についてお話ししたいと思います。

・タイトルと前文

・目的

・秘密情報の定義

・秘密保持義務

・秘密保持義務(あるいは秘密情報)の例外

・法令などの要請によって開示する場合の取扱い

・秘密情報の返還義務

・損害賠償

・解約(解除)規定

・裁判管轄(国内企業同士)

・準拠法、裁判管轄地(海外企業、または外資系)

・協議事項

 

● 秘密保持契約の主要項目とそのポイント

1. タイトルと前文

「タイトル」とは、契約書の最初に「秘密保持契約書」などと記載されている契約書の名称のことです。

タイトルには、単に「秘密保持契約書」と記載するよりは、「●●に関する秘密保持契約書」などタイトルである程度内容の見当が付くようにしておく方が、他の契約と混同するリスクを減らせるのでおすすめします。

「前文」とは、タイトルの後に続く、条文番号がついていない文章です。

前文にはその契約を結ぶ契約締結者とその略称(日本の契約書では、通常「甲」、「乙」などを使います)、この契約を結ぶ理由を記載します。

また、今回の契約書の基となる基本契約等がある場合には、その契約の締結日とともに契約書名を記載して、各契約書の関係を記載しておきます。

2. 目的

第2回の契約の前準備でもご説明したとおり、この「目的」が非常に重要となります。

秘密情報を交換する目的を、どこまで具体的に書くのかによって、交換する秘密情報の範囲、 交換した秘密情報を使う/使わせる範囲や秘密保持期間などほとんどの項目が決まってきます。

相手と今回の契約に基づいてどの程度具体的な情報交換をしたいのかを、契約相手も含めた関係者で共有出来るように、明確に記載しておくことが、後々の情報交換相手とのトラブルの予防や、自社内での秘密情報の目的外使用のリスク回避に役立ちます。

3. 秘密情報の定義

ここでは、秘密情報とは何かの定義を記載します。
打ち合わせや会議では、秘密情報だけでなく、一般的に知られている情報(いわゆる「公知の情報」)や、社内ではあるが、社外に知られても問題ない情報も交換することがありますので、そういった情報の中で、どれが秘密情報なのかがお互いわかるようにするために記載する必要があります。

この定義は、業界等である程度決まった文言がありますが、

文書などの資料(契約書ではよく「有体物」などといいます)で出す場合は、第1回の前準備でもお話したとおり、「誰が」「いつ」出した秘密情報かがわかるよう「マル秘」「機密」「Confidenntial」などと明記します。
また、開示範囲を具体的に制限したい場合は、
「会議出席者限り」、「社内関係者限り」など開示範囲を記載することもあります。

口頭やプロジェクターによる説明などの場合は、その場で秘密情報であることを明言した上で、ある期間内に、議事録などによってその時の説明は秘密情報であることを相手に通知したものを秘密情報として定義するのが一般的かと思います。

4. 秘密保持義務

ここでは、秘密情報の管理の仕方や使い方について取り決めます。

大きくは、以下の3点について記載します。

・開示範囲:締結者以外の第三者や社内の人間でも今回の秘密情報交換の目的には関係ない者(非関係者)など、秘密情報を開示してはいけない相手、または開示して良い範囲、あるいはその両方を記載します

・使用して良い範囲:「流用禁止規定」、「目的外使用の禁止規定」などといい、今回の契約の目的以外には使っては行けない旨を記載します。

なお上記の2つについては、「事前に相手の書面による承諾を得ない限り」など、第三者への開示や目的外への使用について、それが出来る場合を記載することもあります。

・秘密情報の管理方法:相手から受領した秘密情報をどうやって管理すべきか、その条件を記載します。
なお、この際に、自社では出来ない管理体制等を記載しないよう、注意が必要となります。

5. 秘密保持義務(あるいは秘密情報)の例外(秘密情報として扱わない条件)

ここでは、秘密情報の定義には該当しても、秘密保持義務をかけず、秘密情報としては扱わない場合(秘密情報の例外規定)取り決めます。

この部分は、契約の種類などによって、以下のようなかなり一般的な条文となります。

・貰ったときに既に公知(一般に知られている)情報、

・貰ったあとで自社に責任がない由で公知になった情報、

・第三者から正当に貰った情報、

・相手の秘密情報によらず自社で独自に開発した情報など

6. 法令などの要請によって開示する場合の取扱い

一見前述の秘密情報の例外規定に入れても良いように思えますし、そうしている契約書も目にしますが、裁判所の命令や法規制などから開示しなくてはならなくなる場合に備えて、そのような場合には秘密情報ではあるけれど開示しても秘密保持義務違反にはならないように記載しておくものです。

つまり、裁判所などには開示するものの、それ以外の場合については秘密情報としての取扱を続けるために、秘密情報の例外規定とは別に記載しておきます。

この条文には、開示しなくてはならなくなってしまったことを、相手へ通知すること、その通知のタイミング(開示の前か、後でも良いかなど)、開示する場合の対応方法なども併せて記載します。

ここまでが、主に契約に基づいて秘密情報を交換している間の取り決めに関する条文となります。

次回 第4回は、秘密保持契約の主要項目の続きとして、秘密情報の返還義、損害賠償規定、約(解除)規定、裁判管轄(国内企業同士)、準拠法、裁判管轄地(海外企業、または外資系)についてお話する予定です。

 

※ご質問やコメントをぜひお寄せください!

以下のフォームから、メールアドレスや本名を【入れずに】お送りいただけます。

ご質問用フォーム(メルアド不要版)

ご質問やコメントへは、このブログでお答えさせて頂きます。

Follow me!