秘密情報のリスクを回避!秘密保持契約のイロハ(4/5)~秘密保持契約の主要項目とポイント-2

● 今回の説明事項

1. 秘密保持契約の必要な場面

2. 契約交渉前の準備

3. 秘密保持契約の主要項目とポイント-1

4. 秘密保持契約の主要項目とポイント-2

5.契約締結後の管理

今回は、前回に引き続き、以下の秘密保持契約の主要項目の内、

秘密情報の返還義務の項目から協議事項までのポイントをお話いたします。

・タイトルと前文

・目的

・秘密情報の定義

・秘密保持義務

・秘密保持義務(あるいは秘密情報)の例外

・法令などの要請によって開示する場合の取扱い

・秘密情報の返還義務

・損害賠償

・解約(解除)規定

・裁判管轄(国内企業同士)

・準拠法、裁判管轄地(海外企業、または外資系)

・協議事項

● 秘密保持契約の主要項目とそのポイント(続き)

7. 秘密情報の返還義務

この条文では、秘密情報を交換する目的が終わったときなどに、受け取った秘密情報をどう処理するかについて取り決めます。

・どんな場合に相手に返すか

 契約(の有効期間)が終了したとき
 秘密情報を提供(開示)した相手からの要求があったとき

のいずれか、あるいはその両方という場合を多く目にします。

ここでも、契約が終了したときというのは、秘密保持義務も終了している場合なので、そのときでも秘密にしておきたい情報を相手に渡す場合は、契約終了時には必ず返してもらえるようにする必要がありますね。

・変換以外の方法-破棄・消去する

なお、相手に返す以外に破棄する(資料をシュレッダーにかける、あるいはコンピューターから情報を消去するなど)という方法でも良いと記載することもあります。

なお、この返還・破棄の条文については、本当に相手から提供された秘密情報を完全に返還、または破棄できるのかを確認して、

自社に(コンピューターシステム、データベースなどの技術上、監査などの制度上の理由で) 残ってしまう秘密情報があれば、それらは返還・破棄義務の例外として記載しておくことも検討することが必要です。

 

8. 損害賠償規定

ここでは秘密情報を漏洩してしまったなどの契約違反を行った場合の損害賠償に関する内容を取り決めます。

ここでは、
・どんな場合に損害賠償責任が発生するのか

不可抗力などの免責事項も含めて記載します。

・損害賠償を行う場合にどこまでの範囲について責任を負うのか

直接損害が発生した範囲か、ビジネスの機会損失などの逸失利益も含むのかなどについて取り決めます。

・その賠償額

賠償する金額について上限などを決めることもあります。

 

これらの条文は自社が責任を負える(賠償金を払える)範囲や自社が追う損害の想定などを考えながら、契約相手と交渉する必要があります。

 

9.解約(解除)規定

一般に、契約では暴力団などの反社会的勢力に関わったら催告なしで契約解除できる「反社会的勢力排除条項」などの、契約を催告してから一定の期間後に、あるいは無催告で解除または解約出来る場合を記載することがあります。

ただし、 秘密保持契約の場合、単に契約を解除してしまうと、契約でかけた秘密保持義務も無くなってしまうので、この解約(解除)規定を入れない場合や、解約後も(少なくとも契約違反などで解約・解除の原因を作った側には)秘密保持義務が残るように記載する場合があります。

 

10.有効期間

ここでは、秘密保持契約の有効期間を記載します。

契約全体の条文について一律に有効期限を設定する場合と、契約の有効期間の例外として秘密保持義務だけは契約終了や前述の解約後も一定期間その効力が残るように存続期間を定める場合とがあります。

秘密情報を交換する期間その後の秘密保持義務を掛ける期間の双方を考えて決めるわけですが、秘密情報を交換する期間だけでなく、その後の秘密情報を利用する期間秘密情報を管理する期間などを考えて取り決めることが、実務上非常に重要となります。

 

11.裁判管轄(国内企業同士)

ここでは、不幸にも契約当事者間では紛争の解決がつかず、訴訟になった場合に第一審の裁判所をどこにするかを取り決めます。

いわゆる合意管轄の規定ですが、規定しないと、民事訴訟法の「被告の本店所在地を管轄する裁判所」となるのが普通かと思います。

契約相手と所在地が離れている場合は、なるべく自社に近い場所を予め決めておくよう契約相手と交渉することが望ましいと言えるでしょう。

 

12.準拠法、裁判管轄地(海外企業や外資系企業)

契約相手が海外に所在地を持っている企業の場合や、外資系の子会社の場合には、先方から、今回の契約をどの国の法律に基づくものかという準拠法の規定や、裁判になった場合の裁判管轄地の記載を求められることが多くあります。

日本企業としては、準拠法、裁判管轄地もまずは日本で押してみることが重要かと思います。

とはいえ、相手のあることなので、日本がだめならせめて相手のホームグラウンドである国は避けて中立的な第三国の法律や裁判管轄を選ぶよう交渉する必要も出てきます。

また、国内でも同様ですが、裁判になると多くの情報が原則として公開されてしまうので、非公開で行われる仲裁制度の利用も検討して、合意できるならば契約書内に規定しておく必要があります。

 

13.協議事項

ここでは、契約で規定していない事項や条文の解釈のすれ違いなどが起きたときはまず話し合って解決することを取り決めます。

欧米の契約書に比べて、日本の契約書はかなりシンプルなので、条文には書ききれていないことや、契約当初には想定できなかったことが発生することも多いので、その場合はこの協議事項に基づいて解決を図ります。

次回第5回(最終回)は、契約締結後の管理についてお話する予定です。

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