特許情報活用にみる技術と市場の双方からの俯瞰

● 特許出願技術動向調査を取りまとめました~特許情報ビッグデータを分析し、最先端技術の動向を把握する~ 

少し前になりますが、2018/5/14 経済産業省は、表記のリリースを公表しました。
http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180514001/20180514001.html

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

平成29年度(2017年度)は、以下の12の技術テーマを選定し、特許・論文情報の調査・分析結果を実施しています。

・有機EL装置
・自動走行システムの運転制御
・次世代光ファイバ技術
・リハビリテーション機器
・超音波診断装置
・食品用紙器
・リチウム二次電池
・マンマシンインターフェイスとしての音声入出力
・ヒト幹細胞関連技術
・匿名化技術
・CO2固定化・有効利用技術
・MIMO技術

テーマ名からも、やはり、AI・IoTや環境問題対応などに焦点が当たっていることが見て取れます。

例えば、自動運転では、
『自動走行システムの運転制御

世界規模で急速な市場拡大が予測されている自動運転車を実社会に導入する際に最も重要な課題の一つは、「安全性」の確保です。実際、特許出願を分析すると、「安全性」を課題とする特許出願件数が最も多くなっています。

「安全性」を課題とする出願を国籍別でみると、日本からの出願件数が中国に次いで多くなっています。また、自動運転車の安全性確保には、移動通信技術を活用して周辺の車両やインフラと協調するシステムを構築することが必要となりますが、このようなシステムに関する出願でも、日本の出願が多くなっています。

今後の自動運転車の開発では、日本がこれまで培ってきた自動車技術に、移動通信技術などを高度に融合させ、「安全性」を競争力の源泉とすべく開発を進めていくことが期待されます。』

と、安全性の確保にこの業界の課題があること、いわゆる「コネクテッド・カー」と呼ばれるように、移動通信技術との融合が車体だけでなくインフラ面でも重要視されていることが窺われます。

 

音声入出力では、

『マンマシンインターフェイスとしての音声入出力

人間と機械が情報をやり取りするための手段であるマンマシンインターフェイスとして、音声入出力技術が注目されています。2017年は、IT大手各社等からスマートスピーカーが発売され、音声アシスト端末が家庭に入る動きが活発化しています。

会話ボット等では、機械に話しているということをユーザに意識させない「自然な会話」を実現するための技術が注目されています。この分野の特許出願では、日本が世界を牽引しており、「自然な会話」を実現する技術における日本の強みを活用し、会話ボットや家庭用ロボット向けの研究開発、及びその権利化に繋げていく必要があります。』

と、自然な会話を実現する技術では日本が世界を牽引していることが述べられていますが、実際にはアマゾンやグーグルが家庭用音声アシスト端末の市場導入では先行していることからも、インターフェースの技術で市場参入を促進する戦略の必要性や、インターフェース技術とは別に、実際に市場に参入して、ユーザーデータを集めるという点での施策の必要性などが予測出来るかと思います。

この中で食用紙器については、2018/7/18の日経×TECHでも
「特許出願で欧米リード、食品用紙器は高付加価値製品開発が成功のカギに」
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00053/00007/

という題で取り上げられているので、この業界にご興味のある方、
食品用紙器という、一見成熟産業のような業界でどのような市場の開拓を目指して技術開発やその権利取得を行っているかに関心のある方は、一読される価値があるかと思います。

ちなみに平成30年度(2018年度)の調査テーマは以下のとおりです。

・三次元計測技術
・電子ゲーム
・次世代建築技術
・ドローン
・パワーアシストスーツ
・人工関節
・がん免疫療法
・樹脂素材と異種素材との接合技術
・ハイバリアフィルム
・仮想通貨・電子マネーによる決済システム
・電池の充放電技術
・ストレージ・クラス・メモリ

 

● 技術と市場双方からの俯瞰と課題抽出

「「特許マーケティング」にみる「属性評価と鳥瞰図」の重要性」
https://wp.me/p9D2bS-vg

「ライバルを見つけるのに特許情報をどう役立てるか?」
https://wp.me/p9D2bS-7U

などで、特許技術の活用については、技術(シーズ)と課題(ニーズ)の双方から、その業界・市場の鳥瞰図を描くことが可能であり、また、その鳥瞰図の時間変化を追うことで、今後の技術・ビジネスニーズの変化の方向性をある程度予測することも可能になってきている点や、

特許情報だけでなく、属性に応じたタグがつけられるような情報のビジネスでの利用については、特許情報の分析と活用方法が良いヒントになるという点についてご紹介・ご提案してきましたが、

上述の音声入力のように、特にビッグデータのようなユーザーデーターを押さえることが重要になる市場でのユーザー接点(顧客接点)確保の競争において、技術面での競争力をどのように活かしていくかというのも重要な視点となるかと思います。

特許出願のような、技術力をある程度客観的に評価する指標における主要なプレーヤーと、実際の市場における主要なプレーヤーを比較することは、
その技術が市場獲得に役立っているのか、あるいは表に出てこないバックヤードにおけるレイヤーマスターのような影響力を及ぼしているのかなど、その業界のプレーヤーの動向、ポジションを把握し、自社のポジショニングなどを考える上で良い示唆を与えてくれるものと考える次第です。

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