ソニーの新素材にみる、知的資産を活用した他社との連携

【今日のポイント】

ソニーの新素材トリポーラスが、国際宇宙ステーションでの生活用品アイデアとして採用されたとのこと。
「宇宙空間」での採用は、技術開発とブランド構築の双方に非常に貢献するものと思いますが、
このような、自社の強みを知的財産などの知的資産として他社との連携に活用することは、今後更に重要性を増すものと考える次第です。

※>「トリポーラス」ソニーグループ株式会社の商標です(以下同じ)。

【目次】
1.トリポーラス(TM)を使用した提案が国際宇宙ステーション(ISS)への搭載を目指す生活用品アイデアとして選定
2「環境×新用途」による事業提携とブランド構築
3.自社の知的資産を活用した、他社との連携

1.トリポーラス(TM)を使用した提案が国際宇宙ステーション(ISS)への搭載を目指す生活用品アイデアとして選定

2022/3/28に、ソニーグループ株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/202203/22-014/
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)およびスタイレム瀧定大阪株式会社(以下、スタイレム)は、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の「第2回宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」に共同提案を行い、ソニーが開発した籾殻由来の多孔質カーボン素材トリポーラスを使用した提案「Triporous:Space QOL Series」が国際宇宙ステーション(ISS)への搭載を目指す生活用品アイデアの一つとして選定されました。

今後、ソニーとスタイレムは、アイデアのブラッシュアップ、宇宙飛行士によるプロトタイプ確認等を経ながらトリポーラスを繊維に応用した衣類や生活用品等を開発し、安全性等の制約条件をクリアして、2023年以降のISSへの搭載を目指します。』

 

宇宙空間での滞在も長期のものから短期間まで、またその目的や主体も国家から民間まで幅広く広がって来ている中で、新素材の用途先もまた幅広いものと予想しています。

また、宇宙空間という新市場の開拓だけでなく、
以前のブログトピックス
『空飛ぶクルマの開発にみる、自社事業の将来像の策定に「極端な環境」を利用するヒント』
でご紹介した、テイ・エス テック株式会社空飛ぶクルマのシート開発

『イケアの家賃99円のマイクロアパートにみる、ワーク・ライフスタイルの変化の捉え方と活用方法』や、

『イケアとNASAのコラボにみるイノベーションに有効な方法』でご紹介した、イケアの超過密都市や宇宙船内で利用する家具開発のように、

極端な環境において得られた先進的な開発成果の、既存市場への適用も視野に入れているものと感じた次第です。

 

2「環境×新用途」による事業提携とブランド構築

ソニーはこの新素材について、以下のブログでもご紹介したように、2019/1/29に
『新素材「TriporousTM(トリポーラスTM)」のライセンスを開始』
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/News/Press/201901/19-012/

との題で、この新素材について、他社へのライセンスを開始しています。

『ソニーの新素材トリポーラスにみる、知財を活用した他社との連携』

また、以下の専用サイトのニュース欄からは、2019/10/23には、繊維・アパレル業界へのライセンスを開始し、平等院などの世界遺産での活用(空気清浄化)の実証実験を行うなど、他社との連携や、用途開発を進めている様子が窺えます。

トリポーラスサイトのNewsページはこちら
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/triporous/news.html

前回のブログトピックスで、ソニーのこの新素材について、

『今回の事例のように、自社の事業領域の外で、他社との連携で周辺も含めて市場を広げるために、自社が取得した知的財産権を他の市場で必要とする第三者にライセンスするなどして活用することも、効率よく自社の市場を広げるうえで有望な選択肢となります。
さらに、「環境に優しい素材」など、業界によらず普遍的な価値を持つ場合には、統一した名称を使うために商標を活用する事で、幅広い分野で自社ブランドを展開することが可能となってきます。』

とお伝えしましたが、今回の「宇宙空間」というのは、やはり広報面での自社商品・技術のアピールとしては非常に魅力的なものであり、

上記で記載したように、「環境」という普遍的なキーワードと用途の組合せによる新市場の開拓とブランド構築を戦略的に進めていることが、上記のソニーのニュース欄からも窺えるかと思います。

また、この手法は、以下のブログトピックスで採り上げた飛行船の復活のように、
自社の既存の商品・サービスや、技術的な強みなどを、普遍的な社会課題とユーザー(顧客)の使い方との組み合わせで見直して、事業の成長を図るという視点から、他の分野でも利用可能と考える次第です。

『飛行船の復活にみる、「環境×顧客のTPO」による新規ビジネスのヒント探し』

 

3.自社の知的資産を活用した、他社との連携

上記のソニーの新素材のようなある意味わかり易い(その「わかり易い」ということ自体が、自社商品の魅力を伝える点で強力な武器になります)事例の他にも、自社の強みや特長を知的財産などの知的資産の形で他社との連携に活用することは、以前から進められていますが、

オープンイノベーションが注目を浴びているように、市場の変化が大きい中で、他社との提携の必要性が高まっている現在更にこの傾向は強まるものと感じます。

例えば、電子契約などの商取引のオンライン化の分野では、

『電子契約のインターフェースにみる、検索機能による顧客接点の確保と知的資産経営ツールの活用可能性』でご紹介した、株式会社LegalForce契約管理システムの検索機能とAIによる契約レビュー技術の組合せや、情報資産管理ソリューションを提供している株式会社ワンビシアーカイブズサイボウズ株式会社のユーザーインターフェースに関する提携、

『商取引の電子化を知的資産構築のチャンスとして捉える』ご紹介した、マネーフォワード法律文書ジェネレーター KIYAC(キヤク)を提供するKIYACプロジェクトのように、DXにおける書類の効率的なテンプレート化技術・サービスによる他社との連携、

『弁護士ドットコムとHolmes社の提携にみる、オンラインでのワンストップサービスの進化』の事例のような、契約書の作成から電子署名までのワンストップサービス化のための提携など、

商取引のフローの中で、自社が手掛けるサービス・技術とが流れの中の他のフェース(段階)で持つサービス・技術とをつなげて顧客にワンストップサービス(トータルソリューション)を提供する取り組みが進んでいます。

 

また、

『AI・IoT活用のヒントとなる切口〉AI・IoT×混雑解消』でご紹介した、株式会社バカンの「空き情報の提供」という自社のサービスそこで持つ強み(AI・IoTの活用技術)を、トイレの待ち時間から、新型コロナ下での飲食店その他の空間の混雑解消まで展開していく成長戦略や、

 

『エアロネクストの知財戦略にみる一貫したブランド構築戦略の作り方のヒント』
『エアロネクスト社のドローンロボットにみる、グローバルなブランド戦略と自社事業へのヒント』などで何度かでご紹介している、株式会社エアロネクストのような、自社のドローン技術特許や商標などの知的財産の形で活用した事業展開とブランド構築の推進など、

知的財産を始めとする自社の知的資産を軸に事業提携と自社のブランドの確立を進めていくことは、業界・分野を問わず必要性を増しており

それを支援する行政や民間の動きも活発化してきていますので、これらの支援も活用しつつ、自社の知的資産の棚卸しと他社との連携への活用の検討を進めてはいかがかと考える次第です。

特許庁の「オープンイノベーションポータルサイト」(モデル契約書などを掲載)はこちら
https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html

 

東京都(産業労働局, (公財)東京都中小企業振興公社)中小企業・スタートアップの知財活用支援に関する2022/4/13のプレスリリース記事はこちら

『中小企業・スタートアップの知的財産活用支援
新たに知財戦略策定支援や人材育成事業を開始します』
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/04/13/07.html

 

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