竹中平蔵と不動産賃貸業ボルテックス社 宮沢社長の対談に考える「知的資産の複利経営」

● 「100年企業に向けて」東京の「不動産価値」を活かす 「区分所有オフィスR」とは? 

収益不動産を核とした資産形成コンサルティング事業を行っている株式会社ボルテックスが、自社のサイトに表記の題名で、
竹中平蔵・東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授とボルテックスの宮沢文彦社長の対談を掲載しています。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『宮沢 丸の内エリアは、旧三菱財閥グループが1890年に国から払い下げを受けて再開発したものですが、三菱地所の資料によると、当時の買い上げ価格1坪あたり11.96円に対して、現在の価値は1坪あたり7750万円。

これを複利で計算すると年利約13.5%になります。
 経営者の方々は一般に売り上げや利益を重要視しますよね。例えば売上高100 億円で純利益5億円だったとします。売上高純利益率は5%です。この5億円を再投資せずに毎年毎年内部に蓄積していくだけなら、単純計算で100年経つと500%、企業価値としては約5倍になります。

これに対して、100億円の固定資産 が年率5%ずつ価値上昇すると、価値が内包された状態で上昇し続けることになるので複利計算となり、100年後には131倍になる。
大変な差が生まれるわけです。

 本業でしっかりと利益を出し続けることはもちろん重要ですが、企業経営を100年、200年の長期ビジョンで見た時に、売却可能な固定資産をどのような形で組み込むかを考えるBS経営こそが、100年後の企業価値を高めるためにはよりインパクトが大きいと言えるのではないでしょうか。』

と、100年単位での複利の効果を考えて、事業のポートフォリオに不動産賃貸業を組み込むという考え方を提案しています。

同社ではマンションのような区分所有という考え方をオフィスビルに適用した「区分所有オフィスR」という不動産戦略を提言しています。

この区分所有オフィスというビジネスモデルも面白いですが、

今回は、資産運用では基本的な『複利』の概念を事業ポートフォリオに持ち込む事を提言している点に興味を惹かれました。

 

● 100年単位の長期にわたる事業のポートフォリオ

上記の記事にもあるように、企業は通常は、利益について株主への還元の他に、その利益の一部を事業拡大や新規事業に再投資するか、内部留保に回すか、現在の債務の返却に回していますね。

事業の拡大、新規事業への再投資は、いわゆる拡大再生産ということで、ある意味複利に近いものと言えますが、
そこに資産運用を組み合わせることで、事業資産のポートフォリオの充実を図るという考え方(バランスシートの面から複利で事業資産を成長させるという視点)は、不動産投資を選ぶかどうかとは別に、普段資金繰りなどのキャッシュフローや、損益計算に眼が向きがちな中では、中長期の企業経営において検討に値するものかと思います。

 

● 知的資産を複利で増やす

上記の複利の考え方は、いわゆるネットワーク効果(顧客が増えれば増えるほど、ネットワークの価値が高まり、顧客 にとっての便益が増し、事業競争力の強化につながる)にも通じるものがありますね。

ネットワーク効果(ネットワーク外部性)byウィキペディア

昔から例として挙げられるマイクロソフトのOSや、アマゾンが赤字でも事業拡大を目指していること、ネットビジネスを手がけるスタートアップが現在の収益性よりもそのユーザー数で評価されるのは、まさにこのネットワーク効果の評価ということになります。

そして、顧客数、あるいは顧客を誘引する仕組みなどは知的資産の関係資産や構造資産と位置づけることが出来ます。

このように、通常の事業利益の再投資の他に、複利で増える、それも自社の人員などの増加を伴わずに、増やすことが出来る知的資産という視点から事業と知的資産のポートフォリを見直してみることは、自社の企業体力の強化や知的資産の新しい活用方法のヒントになるものと考える次第です。。

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