委託契約のポイント(入門編)-その(1)委託契約はなぜ必要か?

委託契約

【今日のポイント】

本日より、主に研究開発や調査などの「委託契約のポイント(入門編)」について5回シリーズでお届けします。

第1回目の今回は、「なぜ、(中小企業でも)委託契約は必要なのか?」についてお話ししたいと思います。

● 委託契約とは、「頼み事のお約束」

まず、契約一般について、

「契約」とは「お約束」のことです。

従って、ビジネスはもちろん日常の約束もある意味契約の一種と言えます。

「これお願いしたいんだけど」、
「いいよ、いつまで?」
「明日までにお願いできるかな?」
「了解」

といったお願い事もお約束ですね。

「これお願いね」と言って話をして、相手が承諾すれば、それは「お願いごとの約束=委託/受託契約」となるわけです。

ここで、「委託」はお願いする側「受託」はお願いされる側となります。
(それぞれ「委託者」「受託者」といいます。)

なお、「委託契約」はお願いする側からみた際の契約、「受託契約」はお願いされた側からみた際の契約となりますが、契約の当事者には双方が存在するので、契約書のタイトルは「委託」の場合もあれば「受託」の場合も出てきます。

ここで、お願い事を引き受けた側が、相手の願い事を叶えられなかったら、相手に迷惑をかけますし、信用も失いかねませんね。

逆にお願いごとをする側が「●●円払うから」や「代わりに●●するから」などと、引き換え条件(いわゆるお願いごとの「対価」)を約束して、相手がお願いごとを叶えてくれたのにその対価を払わなかったら、これも相手に怒られ、信用も失いかねないことになります。

ビジネスでは、どちらの側に立ったとしても、取引上の約束を守らないことで、個人間の約束事以上に深刻な事態を招きかねません。

そのリスクを回避する手段の一つが、お願い事=委託内容の取り扱いについて、あらかじめとり決めるお約束=委託契約です(あくまでも一つの手段であり、契約すれば全てのリスクを回避できるというものではありませんのでご注意下さい)。


以前のトピックス 『研究開発の委託と受託、委託する際の契約のポイント

で、主に研究開発や調査時の委託契約について契約交渉前の段階における準備を中心にお話しましたが、

本ブログでは、以下の通り5回に渡って、もう少し詳しく委託契約についてお話ししたいと思います。

なお、今回も委託する側からみた契約のポイントについてお話いたしますが、後述のように、受託する側になったときにも、委託する側の考え方を知っておくことは有意義かと考える次第です。

1.なぜ、委託契約は必要なのか?←今回の説明事項

2.契約交渉前の準備

3.委託契約書の構成と各条項の概要および「ひな形」について

4.委託契約書の各条項および条項間で気をつけるべきポイント

5.契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで

● 第1回 なぜ、委託契約は必要なのか?

1-1.誰に何を「委託」するのか

さて、どんなときに委託契約は必要になるのでしょうか?

 前述の通り、誰かに何かをお願いすることが「委託」となりますが、
技術契約の中では、例えば

(1)技術指導や研究開発の一部、あるいはすべてを大学の先生や公的研究機関にお願いする
(2)必要な部品の製造を他の企業にお願いする
(3)コンサルタントに、商品開発やそのために必要な研究開発についてアドバイスをお願いする
(4)コンサルタントや専門の調査機関に、研究開発のテーマを決めるために必要な情報、商品開発のための市場調査などをお願いする

などの「お願い事」が考えられます。

 

1-2.中小企業が委託する場合

中小企業では、開発や部品製造などのお願いを引き受ける「受託」側にたった契約が従来多かったのではないかと思います。

しかし、前述のトピックスでもお伝えしたように、AI・IoTなど新技術を取り込むことが、企業規模を問わず求められている中で、自社だけで行える研究開発や調査には限界がありますので、中小企業においても、委託する側に回る場面は増えて来ることが予想されます。

 

1-3.委託する際のリスク

ここでいざ、委託をするときに、どんなことについて取り決めておかなくてはならないかを知っておかないと、お願い事をする側にとってもリスクを抱えることになります。

例えば、「どんな内容の研究開発を」「どのくらいの期間で」「所定の費用の範囲で」といった内容をきちんと取り決めておかないと、研究開発が間に合わなかったり、予想以上の費用がかかったりする事態が発生するリスクが出てきます。

また、「具体的にはどんな成果(権利など)を貰えるのか」といったことも事前に明確にしておかないと、想定していた成果を得られず、事業に使えないといった事態も起こりかねません。

 

1-4.委託契約によるリスク回避

これは、委託の場合だけではなりませんが、上記のような種々の項目とその内容を相手と交渉して取り決め、その証拠としてお互いに共有するうえで、契約を結ぶことは大変重要な手段となります。

また、契約書に明記することは、相手との間での共有だけではなく、次回にお話する自社内での目的の共有などの際にも大変役に立ちます。

1-5.受託する側に立つ場合に委託側を知る効用

また、「盾の両面を見よ」というように、物事を表と裏の全体をみて判断することは、契約においても重要です。

この場合の表と裏は、「敵を知り、己を知らば」ともいうように、自分と相手に相当するかと思います。

委託する側が何を期待し、何についてリスクを感じるのかということを知ることは、受託する側に回ったときにも、交渉を円滑に進め、お互いにWin-Winの関係を築くうえで役立つことは、契約に限らず交渉術などでも言われているところかと思います。

上記のように、委託の場面が今後増えてくると予想されること、受託する側に回ったときに相手の考え方を知ることの双方から、委託契約について知っておくことをお勧めする次第です。

以上、委託契約の必要性についてお話いたしました。

【まとめ】

1.技術契約において、委託契約は研究開発や調査、試作品の製造、研究開発や技術に関するアドバイスの提供などを外部に委託(お願い)するときに締結する。

2.今後、オープンイノベーションが広がり、また、AI・IoTなど新技術の影響が広がる中では、企業の規模を問わず、委託する側に回った契約を結ぶ機会が増えてきます。そのときに適切な契約を結ばないと、期待した成果が得られないなどのトラブルが発生するおそれが出てくる。

3.自分が委託を受ける(受託する)側に回るときでも、委託する側のニーズや懸念点、スタンスなどを知っておくことは非常に重要。

次回は、契約交渉に入る前の準備についてお話したいと思います。

 

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