顧客満足度指数を利用した実証分析-に考える比較するための共通の土俵の重要性

● どのような企業のサービスの質が高いのか-顧客満足度指数を利用した実証分析-

先日、(独)経済産業研究所(RIETI)のサイトに、表記のレポートが掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『本稿での実証分析から、企業規模、手元流動性、社齢が企業の提供するサービスの質と強く相関していることが確認された。

また競争環境との関係では、厳しい競争に直面している企業も独占度の高い企業も質を高める努力を行っており、二極化していることが確認されている。』

と、顧客満足度指数を利用して、企業のサービスへの満足度=サービスの質と企業規模、手元流動性(財務面)、企業の年齢(経験、実績など)が強い相関関係を持っていることを確認したとしています。

同レポート自体も、今回の分析はあくまで相関関係であり、因果関係を実証したものではないと断っていますが、サービスの質の向上を図るための有益なヒントになるものと思われます。

 

● サービスの質と生産性の関係

さらに、同レポートは、上述の実証分析結果をベースに、サービスの質と労働生産性の相関関係についても検討しています。

『次に、こうしたメインの実証分析結果を踏まえ、サービスの質と労働生産性との間の相関関係についても検討した。
例えば、労働効率を高める合理的なコーヒー・ショップの経営形態が顧客に受け入れられており、同時に従来の喫茶店に比して生産性も向上しているといったケースが想定される。
仮に、こうした事例が中心的であれば、高いサービスの質を実現している企業が、生産性の面でも優れているというパターンが中心的な事例となるであろう。
最も、労働効率の向上には必ずしも繋がらないものの、少ない顧客に対して多くの従業員がサービスを提供することで、顧客満足度を高める高級旅館のようなケースも想定されるため、サービスの質と労働生産性との間の相関関係を記述することは、サービスの質の「あらまし」をより詳細に理解するために有用であると考えられる。

本稿で用いた顧客満足度は、大半の分析対象企業において労働生産性と正の相関関係を有しており、生産性の面で優れた企業がサービスの質についても高い水準を実現していることが確認された。しかしながら、一部の業種においては低生産性企業が高い顧客満足度を示す例も見られるなど、各企業の技術的な選択の結果として発現する生産性とサービスの質の組み合わせが、同一産業内であっても多岐にわたる可能性を示唆している。』

と、大半の企業では、労働生産性とサービスの質は正の相関関係(労働生産性が高いほどサービスの質も高い)にあること、一方で高級旅館のような一部の業種では低い生産性企業が高い顧客満足度を示す例も見られるなど、生産性とサービスの質の組み合わせは、各企業のサービス提供方法の選択によって多岐にわたる可能性も示しているとしています。

この点は、生産性を高めることでサービスの質を上げるケースと、手間を掛けてもサービスの質を高めるケースのいずれを自社が選択するかを考えるうえで、自社の置かれている業界などの特性、市場特性の把握が重要なことを示唆しているかと思います

 

● 比較するための共通の土俵や指標

今回のレポートでは、実証分析に使用した顧客満足度データは他の分析にも活用可能として、なんらかの方法によって基準化した顧客満足度指数を労働生産性と組み合わせることによって、顧客満足度を高めるための労働生産性の計測の可能性を例として挙げています。

このように、顧客満足度と生産性との関係も興味深いですがが、顧客満足度という共通の土俵(指標)を利用することにより相関の高い項目が分かることで、その項目から比較したい対象の洗出しが効率的、効果的に出来ることになるかと思います。

自分たちが求める評価(この場合はサービスの質)自身のデータが入手しにくい場合などに特に効果的ではないでしょうか。

サービスの質に限らず、自社の競争力や企業体力、経営の健全性などを他社と比較する、あるいは自社の打ち手のビフォア・アフターで比較してそのうち手の有効性を検証するなどの事業場の判断において今回の顧客満足度のようなデータや指標の引き出しを多く用意しておくことも、将来の選択肢を増やすという点で重要な知的資産になるものと考える次第です。

 

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