米国の関税政策にみるサプライヤーサイドに偏った施策の怖さ

貿易 通商 取引

● トランプ氏、対中関税第3弾の準備進める 米報道

2018/9/15の日経新聞に表記の記事が掲載されていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35426510V10C18A9000000/

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『米ブルームバーグ通信は14日、トランプ米大統領が中国に対する制裁関税の第3弾の準備を引き続き進めるよう側近に指示したと報じた。米政権は現在、中国からの輸入品2千億ドル(約22兆円)分に課す追加関税の詳細を詰めている。トランプ氏は関税の早期発動にたびたび意欲を示しており、9月中にも最終判断する。』

と、中国に対して、追加関税の措置を取る方向で検討を進めている模様です。

すでに中国だけでなく、欧州や日本にも米国は、自国製品を買うように圧力をかけ始めていることは、ご案内のとおりです。
2018/7/26のダイヤモンド・オンラインでも、
「自動車関税で打撃「4兆円」試算も、貿易戦争日本への影響」
https://diamond.jp/articles/-/175660
と、日本の自動車産業への影響を報じています。

私が愛読しているメールマガジン、「ロシア経済ジャーナル」の北野幸伯さんも、
2018/9/13の記事
「とうとう日本にも。トランプが突きつけた貿易戦争を避ける手段」
https://www.mag2.com/p/news/370622
の中で、安倍首相との親密な関係にもかかわらず、トランプ大統領は対日制裁を含めた対日貿易赤字の解消を迫っているという現状と、トランプ氏の性格(対応の仕方)と引きながら、その対策についてコメントしています。

すでに対岸の火事ではなくなった現在、トランプ政権の言動には目が離せませんね。

 

● サプライヤー側に偏った視点の問題

一方で、トランプ政権の関税政策は、自国の産業にも悪影響を及ぼしているようです。

2018/9/1の1日5分ビジネス英語では
「高い関税、米自動車業界にとって逆効果」
https://matt-english.com/podcast/20180901
との題で、

『高くなった関税は、スチールとアルミニウムのコストを上昇させた。これらは、自動車業界で使用されている2つの重要な原材料である。結果的に、自動車工場での生産コストは増えている。自動車業界大手のゼネラル・モーターズは、この政策は2018年第2四半期の同社の製造コストを3億ドル増やしたと発表した。』

と、輸入している原材料のコスト高が、米国の自動車産業とその消費者に悪影響を与えていることを採り上げています。

このように一連の記事をみると、トランプ政権は、
一般消費者だけでなく、産業界も含めてサプライヤー側としての立場だけを考え、コンシューマとしての立場からものを見ていないと感じます。

「米中貿易戦争に見る波及効果の範囲の広さ」
https://wp.me/p9D2bS-Fh
でも、米中貿易戦争により、輸出する大豆がだぶつくのではとの予測から米国の大豆農家が貯蔵施設を増やそうとしても、貯蔵庫用の建設資材の高関税による高騰が、関税対象でない大豆にも波及していることをお伝えしましたが、

自国産業の保護としても、サプライヤーサイドからだけ国際競争を見ているため、判断を誤っているのではないか。
誰かの供給は誰かの消費という盾の両面を見るという視点が抜けていると思うところです。

例えば、日本政府が作成している産業連関表でも、色々な産業が需要側と供給側両方の面を持って動いていますし、非常に複雑なため、5年に1回程度しか作成されていません。(現在の最新は2011年版)
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/index.htm

このように、ただでさえ複雑な通商政策において、需要と供給の一方からしか見ていないのでは判断を誤るのもむべなるかなというところです。

● トランプ政権を他山の石とする

このように非難が集まっているトランプ政権の通商政策ですが、
自分を振り返ってみて、果たして物事の両面、あるいはもっと多くの面や立場から考えつつ判断をしているかと考えると心もとないところもあると反省しております。

私は資格試験の勉強などにおいて、よく「盾の両面作戦」といって出題者、採点者の視点から問題を眺めることを心がけていますが、

ビジネスにおいても、顧客目線はもとより、取引先、業界、社会など多くの立場に立って自社事業や提供している商品・サービスを考える必要があることは、異論のないところかと思います。

とはいっても、言うは易し行うは難しなのですが、
このような場合に、色々なフレームワークを使ってみることが一つの方策となります。

3Cで自社、市場(顧客)、競合のそれぞれの立場に立ってみる

5Fで取引先や代替商品の提供者やそれを求めるユーザーの立場に立ってみる

など、自社側から、フレームワークに登場するプレーヤー、ステークホルダーを見るだけでなく、彼らの立場から自社や自社の業界を想像力を働かせて見てみることが有効と考える次第です。

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