共同研究開発の成果を最大化する方法! 共同研究開発契約入門(3/3)

共同研究開発契約入門-3

3回に渡ってお送りしている予定の共同研究開発入門編。

第3回(最終回)は以下の通り、

契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで、
本トピックスの
まとめ、
参考文献および(当研究所のブログ)参考トピックス

についてお話させていただきます。

1.はじめに

2.「技術契約」「共同研究開発契約」とはなにか

3.研究開発の流れと技術契約

4.共同研究開発契約―契約交渉前の準備

5.共同研究契約書の構成、各条項の概要とポイントおよび「ひな形」について

6.共同研究開発契約書の条項間で気をつけるべきポイント

7.契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで←本トピックス

8.まとめ                      ←本トピックス

9.参考文献および(当研究所のブログ)参考トピックス ←本トピックス

7    契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで

7.1   契約交渉時のポイント

(1)契約締結前後を含めた社内の認識共有と調整

①自社のどんな事業上の目的を達成するために共同研究開発するのかという目的から逆算して契約条件を決め、自社内の関係者で共有するという作業が、いわゆる「根回し」も含めて、契約交渉中も重要となります

②相手との交渉中に契約条件を変更していく際にも、大本の目的に立ち返ってそれで良いかを確認し、4.7でご説明した「BATNA(交渉が決裂した時の最善の対処策、案不調時対策案) 」を含めて自分たちの持っている手札を念頭に置きながら交渉を進めることが重要です。

③また、契約担当者だけでなく、交渉経緯を関係者で共有していくことが、交渉の中で社内のニーズを合わない方向に進んでいくリスクを減らし、また対応策を関係者で検討・準備することにも繋がりますので、交渉の過程も関係者間で(秘密保持には気を付けつつ)随時共有していくことをお勧めいたします。

④そして、最終的に相手と合意に至った際に、合意結果のフィードバックと共に、最終案を社内関係者間でも共有して問題がないかを再確認することが大切なプロセスとなります。

 

(2) 相手との認識の共有

①立場が異なり、置かれている状況がわかりにくい相手とは、もともと事業環境などの条件や、共同研究開発でお互いに目指すべき目的などの認識にズレは生じるものとの前提で交渉を進めることが肝要かと思います。

②また、お互いに自社の希望が通っているものと考える「希望的観測」のバイアスにかかりやすくなるので、相手の提案の意図や、自社の提案が相手に必要以上に都合よく受け取られていないかなどを確認しつつ、交渉してくことが求められます。

 

③契約書案をベースに交渉するときには、案文の修正だけはなく、ワードのコメント機能や先方に修正案を送る際のメールの本文などで修正の理由、背景を記載したり、 契約書案以外の資料(図表など)も使いつつ、会議など対面でのコミュニケーションも併用しながら、お互いの認識のすり合わせを行いつつ交渉していくことが必要です。

この点は、現在の新型コロナ対応などで、対面での協議からオンラインでの協議にコミュニケーションの方法が変わったときなど、特に注意が必要かと思います。

④交渉中にも、相手先の状況把握は効果を発揮しますので、普段お付き合いの無い新規の契約先等の場合はもちろんのこと、お付き合いがある相手でも、新しい案件ではどのように反応するか、相手の事業環境に変化はないかなどを事前にできるだけ関係者などから情報を収集しておくことをお勧めいたします。

 

(3) 全体から入り、個別の条文に進む

全体観を持って交渉を進めるうえで、いきなり個別の条文の条件交渉に入るのではなく、全体の目的についてお互いに合意できるかの検討・確認から入って、個別の条文の検討に移るよう進め方も工夫することが望ましいかと思います。

そのためには、最初に骨子案やビジネスの全体像の資料を共有してから契約書の文案交渉に入る方法も検討し、取り入れることをお勧めいたします。

 

(4) お互いに抜け漏れはないかを確認する

成果の帰属や費用など、特定の条件に交渉が集中すると、その他の条文との整合性を含めて、抜け漏れが生じる場合をときおり見かけます。互いに、今交渉中の項目以外についても検討・交渉すべき事はないか、契約全体に注意を払いながら交渉を続けることが必要です。

(5) 全体から入り、個別の条文に進む

全体観を持って交渉を進めるうえで、いきなり個別の条文の条件交渉に入るのではなく、全体の目的についてお互いに合意できるかの検討・確認から入って、個別の条文の検討に移るよう進め方も工夫することが望ましいかと思います。

そのためには、最初に骨子案やビジネスの全体像の資料を共有してから契約書の文案交渉に入る方法も検討し、取り入れることをお勧めいたします。

 

(6) お互いに抜け漏れはないかを確認する

成果の帰属や費用など、特定の条件に交渉が集中すると、その他の条文との整合性を含めて、抜け漏れが生じる場合をときおり見かけます。互いに、今交渉中の項目以外についても検討・交渉すべき事はないか、契約全体に注意を払いながら交渉を続けることが必要です。

 

 

7.2   契約書締結までの手続き

このプロセスは、企業によっても異なるところが多いため、以下はあくまで一例としてご覧いただければ幸いに存じます。

契約内容について相手と合意したあとの作業のフローとしては、以下のようなものがあります。

合意した契約案の社内での確認

⇒相手との最終確認

⇒各締結者の社内手続き(契約締結と費用支払に関する稟議書の上申など)

⇒社内手続き完了(稟議書の決裁)

⇒契約書の製本と押印手続き

⇒契約書を取り交わして、関係する資料と一緒に保管、写しなどを関係者で共有

この締結作業の期間中に、有効期間の変更の必要性などが生じる場合や、書式で言えば平成から令和に年号が移るなどの契約書文案の修正が生じる場合もありえますので、締結までの作業にどの程度の期間が必要かも予め相手と見積もっておく必要があります。前述のように、締結までに十分な余裕を持って所要期間を確保することをお勧めする次第です。

 

7.3   契約後の管理

(1)研究開発期間中の進捗管理

契約業務というよりは、まさに研究開発活動の一環として行うべきものですが、その進捗状況から、契約の見直し、変更などが必要にならないかとのチェックは、契約担当者、または共同研究開発した研究開発に関する担当者のいずれが行うかなど、役割分担を決めて事前に対応できるようにしておくことが望ましいかと思います。

 

(2) 研究開発期間終了時の成果の確認・共有と費用の支払い

契約で取り決めた通りに進んでいるかどうかということで、契約担当者というよりは、研究開発部所や経理担当者が行う場合が多いかと思いますが、そこでトラブルを生じさせないためにも、契約内容の事前確認と共有を社内関係者間で行っておくことが重要となります。

 

(3) 研究開発期間終了後の成果の実施や秘密情報の管理

①得られた成果を共同研究開発相手(契約先)ときちんと共有し、後の使用の障害を生じないように権利などの帰属に必要な手続き(発明等の出願など)や、使用にあたって必要な相手の権利に関する手続き等も済ませておくことを共同研究開発期間終了の前後で実施します。

②また、共同研究開発期間は終了しても、契約で規定した各種の有効期限の管理(特に秘密情報の管理)は続くことが多いので、こうした期限管理をできればデータベースなどのシステムを使って組織的に行うことが、後のトラブルの予防となるのでおすすめいたします。

(4) 次の段階の契約など

本研究開発が終了したあとでも、そこで見つかった課題解決のための開発や、関連する他の研究開発、あるいは本研究開発の成果に関する契約(共同出願契約や実施契約など)を結ぶ必要が出てくることも多いので、予めスケジュールを組んでいる場合はもちろんのこと、本研究開発の実施中も、次の段階の契約の準備を、本研究開発の進捗状況もにらみながら進めていきます。

その際に、現在と同じ部署が契約を結ぶとは限らない(例えば研究開発部門から事業部門に契約の担当部署が変わる)こともありますので、現在の契約内容や、契約に基づく業務の内容、秘密情報などの資料の引き継ぎなども併せて抜け漏れの無いように、進められるよう、余裕を持ってスケジュールを組むことを、ここでもお勧めする次第です。

 

8.   まとめ

駆け足ですが、7章に渡って、共同研究開発契約の入門編として、主にその契約の記載内容と内容を決めるプロセス面からのポイントをお話ししてきましたが、

以上はあくまで一般的なポイントのサワリであって、契約はどんな相手か、どんな目的か、さらに、自分と相手が置かれている状況はどんなものかなどによって、契約で取り決めるべき内容は変わってきます。

従って、ひな形や過去の契約書をそのまま使いまわしするのではなくケース・バイ・ケースで適宜その内容をカスタマイズすることを意識し、社内でも意識付けすることが非常に重要となります。

本記事が、貴社の共同研究開発を実施する際のご参考になれば、大変幸いに存じます。

 

9.   参考文献および(当研究所のブログ)参考トピックス

9.1   参考文献

以下にインターネット上で入手可能な参考文献を記載いたしますので、ご参考になれば幸いに存じます。(以下の参考文献及びそのリンク先は執筆時点のものです。)

 

(1)技術契約全般

公益財団 東京都中小企業振興公社

独立行政法人 工業所有権情報・研修館

パテント2004-Vo l .57 No.2 渡辺  秀治氏 日本弁理士会

近畿経済産業局 2016年4月15日更新版

2019年4月22日 経済産業省

公正取引委員会のガイドライン

  2019年12月9日 経済産業省

 

(2)秘密保持契約関係

●「秘密情報の保護ハンドブック」の 参考資料2 「各種契約書等の参考例」  経済産業省

  ● 共同研究開発契約関係

  ● 『大企業と研究開発型ベンチャーの契約に関するガイドラインについて

2019年11月25日 経済産業省

 

(3)委託契約関係

● 情報サービス・ソフトウェア産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン

2017年3月改訂版 経済産業省

 

(4)ライセンス契約関係

● 知財契約の種類と注意点~契約書の読み方、作り方

2011年11月19日 日本弁理士会東海支部 加藤光宏氏 日本弁理士会

パテント2011-Vol. 64 No. 13村西 大作氏 日本弁理士会

石田正恭 青山学院大学法学部特別招聘教授 パテント2017 Vol.70 No.4

 

9.2   IAM研究所ブログの参考トピックス

ご参考までに、IAM研究所の関連するブログ記事のURLを以下に記載致します。お役に立てば幸に存じます。

(1)秘密保持契約関係

● 秘密情報のリスクを回避する方法!秘密保持契約入門(15)~秘密保持契約が必要な場面

  新規の取引先探し、新しい取り組みの検討時、事業提携や共同研究開発などの前段階、事業提携や共同研究開発などの前段階など、秘密保持契約はどんなときに必要かについてご説明しています。

  秘密情報を交換する目的の明確化と社内での共有、交換する秘密情報の使い方と管理の仕方の検討、相手に出す秘密情報の準備など、契約交渉前の準備についてご説明しています。

  秘密保持契約のの主要項目のうち、目的、秘密j方法の定義、秘密保持義務とその例外規定などについてご説明しています。

  秘密保持契約の主要項目のうち、秘密情報の返還義務、損害賠償、解約規定、有効期限、その他の一般条項についてご説明しています。

秘密保持契約締結後の秘密情報の管理や秘密保持契約自身の期限管理などについてご説明しています。

 

(2)共同研究開発契約関係

● 共同研究開発と契約契約交渉前のポイント(ビジネスからの逆算)

共同研究開発は、相手と組むかどうかの検討段階で結ぶ秘密保持契約や、相手に研究開発をお願い、あるいは相手から引き受ける委託/受託契約以上に、事業提携を前提とした検討と準備が必要となります。

本記事では、契約交渉の事前検討におけるポイントをごく簡単にご紹介しています。

 

(3)委託契約関係

● 研究開発の委託と受託、委託する際の契約のポイント

研究開発やデザインなどの作成を委託する側、受託する側、いずれも自社の事業目的と相手のニーズおよび、自社と相手の将来の事業環境の変化なども想定しながらWin-Winの関係を築くために、契約の交渉に入る前に考えるべきポイントについてご説明しています。

「なぜ、中小企業でも委託契約は必要なのか?」について、必要な場面も交えながらご説明しています。

「契約交渉に入る前にどんな準備が必要か?」について、自社内での目的の共有や、相手の手札の予想などの観点からご説明しています。

「委託契約書の構成例と各条項の概要」についてご説明しています。

「契約書の各条項および条項間で気をつけるべきポイント」についてご説明しています。

条項間の整合性などについても、契約交渉中に契約案をお互いに修正しているうちに矛盾点が出てきていないかなどの注意が必要となります。

「契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで」についてご説明しています。交渉中は、特に契約案を修正する都度、社内関係部所への確認と相手との認識合わせが重要になります。

 

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