ファーウェイの5G標準化にみる、知的財産と活用事例の重要性

5G

【今日のポイント】

欧米を中心に、中国のファーウェイ排除の動きは進んでいますが、同社の知的財産は無視できない存在として、5Gのライセンスや通信規格の分野でその影響力を確保するとともに、中国では5Gのインフラ整備や活用事例の蓄積も進んでいます。

自社の持つ知的財産だけでなく、その活用経験も貴重な知的資産であり、それらの棚卸しと活用検討は、経営戦略を立てる上で重要な段階と考える次第です。

 

● 米、ファーウェイと議論容認 5Gの基準作りで

2020/6/16の日本経済新聞に表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『米商務省は15日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が参加する次世代通信規格「5G」などの国際基準づくりの議論に、米企業が参加するのを認めると発表した。
事実上の禁輸措置は続けるが、基準作りの目的に限って一定の技術開示を認める。』

以下の同社の特許ライセンスと同様に、知的財産の事業に及ぼす影響の大きさ、使い方の重要性が窺われるかと思います。

『ファーウェイ排除後も「知的貢献」消えず-5Gで特許料支払い発生』
2020/6/9のBloombergの記事。

『中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)は、次世代通信規格「5G」技術のほとんどの特許を所有し、トランプ米政権がサプライチェーンから排除しようと動いても、同社は特許料収入が確実に得られる見通しだ。』

自社事業はもちろんのこと、事業以外での影響力という点でも知財の重要性が現れているかと思います。

 

● グローバルな通信規格を目指した5Gは、いまや世界を“分断”している

2020/7/18のWIREDでは、表記の題で、5Gの規格が欧米規格と中国規格に分断される方向に進んでいることを報じています。

インターネットも米国、欧州、中国と3つの規格があると言われますが、
ローカル5Gへの影響も含めて、通信規格の分裂の動向は目が離せませんね。

 

● 中国で蓄積が進む5Gの活用事例(ユースケース)

2020/7/13のJETROの、表記の地域・分析レポート – 海外ビジネス情報では、中国での5Gの活用事例が蓄積されている様子を伝えています。

『中国の5Gのポテンシャルは、世界の中でもトップと言ってよい。

通信機器メーカーの強さ、ネットワーク整備状況、市場規模についてみてみよう。
通信機器メーカーの競争力が分かる指標として、5G関連の特許数がある。
ドイツの市場調査会社IPLYTICSによれば、5G関連の特許出願件数ランキングで、1位は華為技術(ファーウェイ)、3位がZTEだった。
国別シェアでは、中国が3割超で首位、次いで韓国、欧州勢、米国、日本となっている(表1参照)。
また、2019年の通信基地局などのネットワーク通信機器の売り上げでも、華為とZTEで世界シェアの約4割を占める(注2)。』

(中略)

『ネットワークの整備とともに、5Gの具体的な活用事例(ユースケース)の蓄積も進む。
前述した通り、5Gはビジネスプラットフォームだ。
すなわち、5Gを活用して、新たなサービスをいかに生み出すかがカギになる。

工業情報化部、国家発展改革委員会、科学技術部は合同で、5G推進のために、業界関係者と専門家を交えて「IMT-2020(5G)推進組 」(以下、IMT-2020 )を立ち上げた。
このIMT-2020は、2018年から「ブルーミングカップ(綻放杯)」というユースケースコンテストを開催している。2019年に開催された第2回大会には、全国から1,000を超える参加者と3,731件のプロジェクトが集まった。
プロジェクトの実施数では、3大通信会社(中国移動、中国聯通、中国電信)と基地局メーカー(華為、ZTE、外資ではノキアとエリクソン)が上位を占める。
分野別にみると、医療健康、公共安全、スマート交通が多かった(表2参照)』

この、ユースケースの蓄積というのは、供給側の技術と同様に、ユーザデータの視点からも非常に重要な資源と考える次第です。

 

● 事業の競争力強化と、収益源や影響力強化の選択肢を多様化するツールとして、知的財産やデータを含めた知的資産を捉える

上記のように、5Gにおいて、技術・規格・インフラ・活用事例(ユースケース)の各分野で欧米・中国の競争が進む中で中国の存在感が増して来ています。

5Gに限らず、知的財産の活用については、自社の事業上の権利を守り、他社の市場参入を防ぐだけでなく、
ライセンス料や標準化など事業に必要な活動等の選択肢を増やすことによって、将来の成長とリスクマネジメントにつながることは、既に多くの解説記事などで目にするところですが、

 

中国の事例に見るように、特許等の知的財産権だけではなく、自社の事業活動において、サプライヤー・ユーザーの双方の立場での成功・失敗体験から得られた知見も貴重な経営資源であり知的資産となってきます。

ブランドの構築含めて、中小企業でも範囲を絞って知的財産戦略、知的資産戦略による複数の選択肢確保を経営戦略に組み込むことは、事業環境の変化が激しく、かつ不確実性が高まる現在できるだけ手持ちの経営資源を活用して変化に備えるためにも今後益必要となってくるものと考えられます。

そのためには、まずは知的財産や自社の知見など手持ちの知的資産を棚卸しして、

自社事業とその環境の、現状と今後の変化から、強化・確保すべき知的資産は何かを明確にすることから始める必要があります。

上記の取り組みにおいて、経営デザインシートや知的資産経営報告書を作成して社内外で共有しながら自社の事業計画を立てることは有効な手法であり、活用をお勧めする次第です。

 

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