共同研究開発と契約〉契約交渉前のポイント(ビジネスからの逆算)

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【今日のポイント】

共同研究開発は、相手と組むかどうかの検討段階で結ぶ秘密保持契約や、相手に研究開発をお願い、あるいは相手から引き受ける委託/受託契約以上に、事業提携を前提とした検討と準備が必要となります。

今回は、契約交渉の事前検討におけるポイントをごく簡単にご紹介いたします。

共同研究開発契約の交渉に入る前のポイント

以前のトピックスで、秘密保持契約や、委託開発契約のポイントについてお話いたしましたが、今回は、共同研究開発を取り上げます。

以前のトピックス
『研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(1)』
『研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(2)』

の内容も取り入れながら、共同研究開発とそこで取り扱う契約の、主に契約交渉に入る前の段階でのポイントについてお話したいと思います。

 

技術契約とは

共同研究開発は、技術契約の一つですが、

例えば、東京都中小企業振興公社の『技術契約マニュアル東京都中小企業振興公社』では、以下のように9種類の契約を挙げています。

秘密保持契約
共同研究契約
業務委託(受託)契約
共同出願契約
実施許諾(ライセンス)契約
譲渡契約
オプション契約
OEM 契約/ ODM 契約
技術指導契約

今回は、上記の2の共同研究契約を対象としていますが、技術開発の流れ全体を視野に入れて、現在はどの段階だからどんな契約が必要か、今までに相手と結んだ契約との関係や今後必要となる契約との繋がりも考慮しながら準備を進める必要があることは、共同研究開発においても変わらないことを強調しておきたいと思います。

ビジネスからの逆算

相手と取引や共同研究開発を始めるかの検討段階で相手と情報交換を行う際の秘密保持契約や、相手にこちらから研究開発をお願いする委託契約、あるいは相手の研究開発を受注する際の受託契約以上に、

共同研究開発においては、特に民間企業同士の場合、研究開発だけでなく、その成果を用いた事業においてもパートナーの関係となることがほとんどの場合前提となってきます。

したがって、秘密保持契約等以上に、ビジネスの目的から常に逆算して技術の調達と事業提携の両面から検討し、今回の共同開発の方針と目的、目標を設定する事が必要となってきます。

そこでは、研究開発の役割分担とその後の事業提携における役割分担の間で整合が取れていること、成果の取り扱いが非常に重要となります。

そのポイントとしては、成果の帰属はどちらかの単独か共有か、成果はどのように実施するかについて、研究開発後のビジネスを具体的に想定しながら、 研究開発の成果だけでなく、お互いが既に持っている技術や知的財産の利用も含めて検討することが必要です。

通常、成果については共有が原則となりますが、

例えば、研究開発対象がシステムの場合、そのハード部分とソフト(システムの運用方法など)部分で成果の帰属を、今後製品を製造する側はハード部分、システムを販売してその運用もサービスとして提供する側はソフト部分を自社の帰属とするなど、事業提携における役割分担に適した形で帰属を分けることも選択肢に入ってきます

また、共同研究開発は机上検討ではなく、実際に研究開発という実務を行うので、お互いに、今までよりもヒト、モノ、カネが動くことになります。

その中では、研究開発中の取り決めとして、

研究開発の実施内容を上記の役割分担も含めて具体的に取り決めること、

安全管理などの危険負担、研究開発がうまくいかないときの対応などのリスク管理も重要になってくるので、こういった部分についても相手とどのように交渉していくかを前もって検討してから交渉に臨む必要があります。

以上、ごく簡単に共同開発契約の交渉に入る前に検討すべきポイントのサワリについてお話しましたが、事業毎、対象となる技術、そして相手によって当然のことながら検討項目や内容も変化しますので、過去の似たような契約をそのまま焼き直すのではなく、案件ごとに事前検討を入念に行うこと、その検討過程と結果を社内で共有していくことをお勧めする次第です。

本ブログの関連トピックス

『研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(1)』

他社とも関わり合いながら進める研究開発の各段階と、それに関わる技術契約の種類について、2回に分けて解説しています。

第1回めでは、事業目的からの必要な技術(分野)の特定、その技術を持っている相手探しと協業検討の段階までを取り上げています。

 

『研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(2)』

共同で研究開発を行う段階、あるいは相手にその一部を委託する場合、さらに研究開発で得た成果を活用する段階などで必要となる契約についてお伝えしています。

 

『秘密情報のリスクを回避する方法!秘密保持契約入門(25)~契約交渉の前準備』
契約ではその前準備と、契約締結後の管理も非常に重要です。このトピックスでは秘密保持契約を結ぶ前の準備として、目的から逆算して出すべき秘密情報の内容やその使い方の検討についてお伝えしています。

 

『研究開発の委託と受託、委託する際の契約のポイント』
研究開発やデザインなどの作成を委託する側、受託する側、いずれも自社の事業目的と相手のニーズから逆算するとともに、自社と相手の将来の事業環境の変化なども想定しながらWin-Winの関係を築くために、契約の交渉に入る前に考えるべきポイントを記載しています。

 

『委託契約のポイント(入門編)-その(2)契約交渉前の準備』
5回シリーズでお届けした「委託契約のポイント(入門編)」

第2回目は、「契約交渉に入る前にどんな準備が必要か?」について、自社内での目的の共有や、相手の手札の予想などの観点からお伝えしています。

 

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