AIによる図面解析に考える、技術情報と契約の一環管理

Michael L. HiraethによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

建設業界におけるAIを用いたペーパレス化の取り組み。

個別の資料ごとでなく、例えば技術情報と関連する契約をデジタル化し、一括管理することを、確実な契約の管理やトラブル回避、また知的資産の強化(暗黙知の形式知化)にも繋げられるものとお薦めする次第です。

 

地域建設業新未来研究会とフォトラクションがAIの共同研究を開始

2019/10/4に地域建設業新未来研究会とフォトラクションは表記のリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『全国の地方建設会社で結成された一般社団法人地域建設業新未来研究会(事務局:東京都千代田区、代表理事:中村 光良、以下「CCA」)、

CCAで建設IoTワーキンググループのリーダーを務める株式会社砂子組(本社:北海道空知郡、代表取締役:砂子 邦弘、以下「砂子組」)、

建設業向けクラウドサービスを提供する株式会社フォトラクション(本社:東京都中央区、代表取締役:中島 貴春、以下「フォトラクション」)は、

建築工事における見積や設計照査の生産性向上を目指して、紙図面からの数量拾いを自動化するAIの共同研究を開始いたしました。

(中略)

■ 共同研究に至った経緯
一般的に、自由なレイアウトや様々なルールで記載されている建築図面をAIで解析することは困難と言われています。しかしフォトラクションでは、2年近くに渡り建設産業に特化したクラウド型AIエンジンの研究開発を行い、図面から通り芯や部屋の間取りを解析するなど、建築図面に特有の独自ノウハウを蓄積してきました。

一方、全国の中堅・中小企業が集まるCCAでは、地域建設業が国土や地域産業を守り発展に寄与することを目的に、技術力の向上、生産性の向上、人材育成などの様々な取り組みを各社で連携してきました。

さらに、ICTやIoTの取り組みを推進し地域建設業にあった展開を行うための「建設IoTワーキンググループ」を結成し、独自の検査システムや営業支援システム開発支援などを行ってきました。

建設業で働く技術者の生産性を向上し、建設の世界を限りなくスマートにしたいという双方の想いが合致し、今回の共同研究に至りました。』

システムの全体像はこちら

建設業における、印刷物のデジタル化による生産性向上への取り組みです。

紙図面からの数値情報の抽出を自動化し、見積もりや設計照査の迅速化を図り最大で約10倍の生産性向上が期待できるというもの。

個別の企業だけでなく、中小の建設業者も含めて、データの共有化や標準化にもつながるものと考える次第です。

 

ペーパレス化の効用と目的

今まで、ペーパレス化による生産性向上については、

『新事業のヒントとなるキーワード>AI・IoT×レガシー』
で、既存の紙情報という「レガシー」の活用方法、

TACのデジタル教材アプリに考える、ペーパレス化による顧客接点強化』

『「おもてなし」を活かすための効率化と顧客理解の両立』
で、マーケティング面や顧客満足度向上の面からの活用方法、

『ペーパレスでの飛行機搭乗システムにみる「AI・ICT技術によるアイデンティティの拡散と原点回帰」』
で顔認証などの個人のアイデンティティとの関係、

『中小企業のペーパレス化に考える業務効率化の逆算思考』
でペーパレス化の進め方、考え方

などから取り上げてきましたが、

今回の建設業の事例のように、髪による技術情報のデジタル化は、同じく従来は紙で保存されていたことが多い、技術契約のデジタル化と併せて行うことで、

契約とその契約に基づく関連情報の一括管理にもつながることが期待されます。

 

技術契約と関連技術の一括管理の重要性

今までも、

『秘密情報のリスクを回避する方法!秘密保持契約入門(55)~秘密保持契約締結後の管理』

『委託契約のポイント(入門編)-その(5)契約交渉時のポイントと契約締結から契約後の管理まで』
で、契約前の事業目的から逆算した契約の目的の明確化と並んで、
契約締結後の契約自身と関連情報の管理の重要性について、

『年度末の整理と新年度の準備>契約管理上の注意すべきポイント』

2019年度始めに行う技術契約の手当てについて』
で、年度替わりや担当者の異動、組織変更に伴う契約の管理について、

『研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(2)』
で、研究開発の流れの中で、各段階で締結する契約同士の連携や管理の重要性についてお話してきましたが、

上記のような技術契約とその契約に基づき契約相手と交換する秘密情報や、達成した共同開発の成果などがどんな契約内容(義務や権利)と紐づいているかについては、事業化まで含めると、長期間の管理が必要となります。

これを、契約と関連資料とをそれぞれ紙媒体のみで管理することは大変手間がかかり、特に以前の契約などとの関連を調べることは、大手企業でも困難な場面が出てきます。

契約書と技術情報の双方をデジタル化することにより一括管理が可能になり、契約違反のリスク回避や、得られた技術成果の有効利用にも繋がります。

ペーパレス化においては、上記のように個別の分野や部所で管理する書類を互いに連携して管理するという視点で進めることが非常に重要となってきます。

そして、このような一括管理は生産性向上だけでなく、知的資産経営においては契約リスクの回避による関係資産(取引先との信頼関係)の維持強化、

暗黙知(これは技術情報がどこにあるかという情報源に関する知識も含まれます)の形式知化による人的資産から構造資産への転換という視点からその進め方を検討することをお勧めする次第です。

 

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