研究開発における技術契約のポイント>研究開発の各段階と契約の種類の関係(2)

契約 研究開発

【今日のポイント】

2回シリーズでお届けしている、研究開発の各段階と必要な契約の種類に関するトピックス。

後半となる今回は、いよいよ共同で研究開発を行う段階、あるいは相手にその一部を委託する場合、さらに研究開発で得た成果を活用する段階などで必要となる契約についてお話いたします。

● 研究開発の流れと技術契約(前回の概要)

前回はこちら

前回は、以下の事業目的からの技術の特定から情報収集、接触する相手の絞り込みと協業できるかの検討を共同で行う段階までについてお話しました。

1.事業目的の設定と必要な技術(分野)の特定

ネッド情報、特許情報、自社内や今までお付き合いのある取引先などから、自社の事業目的から必要な技術を検討。

この段階では、特に新規の契約が必要になる場面は少ないかと思います。

2.必要な技術に関する情報収集

この段階では、特定した技術について、それを持っているであろう相手への情報収集を行うことになります。

その相手が、今まで取引のない相手であったり、今までとは異なる事業に関する相談であったりする場合には、「秘密保持契約」が必要となることがあります。

3.共同検討

お互いの持っている技術やそれ以外の経営資源)と、お互いの事業目的から、協業の可否や役割分担について詰めていく段階。

この段階でも多くは「秘密保持契約」を用いることになります。

以上が前回の概要でした。

 

● 共同開発、委託開発以降の段階

ここからは、研究開発を行う際の契約、研究開発成果を利用する段階での契約などについてお話いたします。

4.共同研究開発

相手の持つ技術(製品・サービス)をそのまま導入する場合もありますが、自社にも研究開発能力がある場合、

相手の技術や製品を自社向けにアレンジする、
あるいはお互いの技術を使って、双方にとって新しい商品やサービスを開発するなど、

共同で研究開発を行うことが必要になる場合があります。

この場面では、共同開発契約、共同研究契約(以下、総称して「共同開発契約」と呼びます)を結んで、研究開発を進めていくことになります。

共同開発契約では、

1)お互いにとっての、今回の研究開発の目的

2)研究開発の範囲

3)役割分担

4)研究開発に必要な資源(場所、設備、人など)

5)費用負担

6)研究開発期間とその間の進捗管理方法

7)成果の特定方法とその帰属の決め方

8)成果の実施の方法

9)秘密保持規定

10)契約自身の有効期限、その他の一般的な条項

などを規定します。

 

5.委託開発

中小企業でも、大学や公的研究機関の支援を受けることはありますね。

今後は、ITやAIベンダーと組んで、新サービスを開発すると言った場面も増えてくるかと思います。

その際には、「委託(研究)開発契約」を結ぶことになります。

その中では、共同開発契約と同様に、

委託の目的、範囲、期間、研究開発に必要な資金や設備、自社情報の提供、成果の帰属、秘密保持などについて規定していくことになります。

なお、共同開発契約にも共通することですが、相手が第三者に開発の一部を委託していることがあります(特に、デザインやソフトウェアの開発ではよく見かけます)。

このような場合、その第三者についてもどのような義務を負ってもらう必要があるかを考え、委託先に対応して貰う必要が出てきます。

 

6.研究開発成果の活用

研究開発の段階でも、予め出て来る成果とその活用を想定して、共同開発契約に盛り込んでおきますが、具体的な成果が出てきてから改めて、相手と取り決めるべき事項もありますね。

その際に結ぶべき契約の一つに、共同で発明等を行った場合に、その発明等を出願するための「共同出願契約」があります。

共同出願契約では、出願すべき発明等の特定、権利の持分割合、出願手続きを主に行う担当、費用負担、秘密保持規定、契約の有効期間、特許権等取得する知的財産権の実施方法の概要などを取り決めます。

出願して知的財産権を得た段階で、その知的財産権をどう扱うかを詳細に決めるときには、「ライセンス契約」を結ぶことになります。

この場合、
知的財産権を共有する権利者間では実施契約
第三者にそのライセンスを供与する場合には実施許諾契約を結んで、
知的財産権の利用方法、ライセンス料やその支払い方、どこまでライセンスする技術内容を保証するかなどについて取り決めていきます。

さらに、研究開発成果の活用に限らず、共同で事業を行う場合には、事業提携契約、開発した成果を更に改良する際には、次の共同開発契約などを結ぶことにもなります。

また、研究開発した成果を自社では使わなくなった場合は他社へのライセンス契約「譲渡契約」を結んで、成果の再利用につなげることも考えられます。

以上、研究開発の各段階に応じた契約の種類について、ざっと概要を述べてきましたが、必ずしもこのような形だけでなく、

例えば、MOU(Memorandum of Understanding、基本合意書)などを結んでから共同検討を始めるなど、実態に応じて柔軟な使い分けが必要となってきます。

また、不幸にして研究開発が目的を遂げられなかった場合を想定して、そこまでかかった費用負担や、交換した秘密情報の取扱、開発途中で得られた成果の取扱いなども考えておく必要あるかと思います。

ネットで検索すると、上記でお話した契約のひな形なども多く見つけられますが、自社の目的や研究開発体制、研究開発テーマの難度や相手との関係によって、契約の内容も変わりますので、専門家にご相談しながら慎重に対応することをお勧めしたいと思います。

なお、委託開発については、以前のトピックス

『研究開発の委託と受託、委託する際の契約のポイント』
もご参考いただければ、大変幸いに存じます。

 

★ この記事がいいなと思ったら、クリックよろしくお願い申し上げます(^^)。


中小企業診断士ランキング


特許・知的財産ランキング

Follow me!