契約管理関連サービスにみるAIベンダーや事業提携先の選択時のポイント

【今日のポイント】

テレワークなどの業務オンライン化を追い風に、契約業務の電子化が1社での統合サービス、あるいはプロセスごとの事業連携などにより進んでいます。

これらのサービスを提供するベンダーなどのプレーヤ-の変化もまた大きく、ユーザー側としても、また事業連携による市場開拓の先行例としても目配りが必要と考える次第です。

 

【目次】

1.契約の電子化のワンストップサービス提供事例
2.事業提携による契約管理のトータルソリューション化の例
3.自社の業務改革の計画に沿った契約業務などの電子化、デジタル化におけるベンダー選択の重要性

 

1.契約の電子化のワンストップサービス提供事例

 

契約の電子化サービスの中で、1社でトータルソリューションを提供している事例として、以下のプレスリリースをご紹介いたします。

 

・日本の企業エコシステムに適したCLM、Keiyaku.Ai 2.0開始~電子サインは当然、ブロックチェーンにも保管・管理して活用アップ↑~

2021/5/7にクラウドデータ、システムデータ、リーガルデータ、AIデータなどのデータアセットマネジメント事業を展開するAOSデータ株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『契約ライフサイクル管理を行うためのあらゆる分野を網羅し、契約書の作成・編集を支援する「Keiyaku Studios」から、契約書の承認・締結を行なう「Keiyaku Sign」、作成した契約書の保存・管理をする「Keiyaku Drive」を搭載し、契約業務をトータルで一元管理することが可能となっています。』

契約実務のデジタル化は、それぞれのシステムを持つ企業の提携と、今回のような一つのシステムの双方で統合化が進んでいますが、契約関連データの標準化がそれぞれの普及に大きく影響すると感じる次第です。

 

また、同社は、2021/4/16に以下のプレスリリースも公表しています。

『AI、知財、契約、データテック、データソリューションを融合したイネーブラー型インテリジェンスDXサイト「AOSIDX.jp」サービスを開始』

『3.DXに必要な業務ニーズとシーズ発掘を支援するため知財検索と連携
業務のニーズとシーズの発掘は、特許ビッグデータの検索から始まります。

第4次産業革命、DX時代の技術融合・複合のオープンイノベーション環境に入った今は、特許をはじめとする知的財産権が市場の主導権を握る重要な鍵となりました。特に、強力な特許は、それ自体が経営戦略であり、マーケティングであり、技術革新として認識されています。

AOS IDX(TM)は、DX特許検索システムは「Tokkyo.Ai」と連携しており、簡単な入力で知財部だけではなく経営陣、マーケティングや商品開発部などの問題解決のためのシーズ(Seeds)としても活用できるように開発されました。』

知的財産関連の情報と、事業に関する情報やデータ、電子契約など、これまで個別に管理されていた情報・データの一元管理の重要性の認識とニーズが高まっていることが窺われるかと思います。

 

・契約書の電子化をワンストップで 「CIJ電子化ソリューション」提供開始を記念した電子化キャンペーンを実施

2021/5/19に株式会社CIJは表記のプレスリリースを公表しました。

『CIJ電子化ソリューションでは、お客様が保有している契約書の輸送、OCRを含めた電子化作業、電子化データのシステム登録支援、契約書原本の保管および廃棄(溶解)までのサービスをワンストップで提供します。』

電子契約への移行時の既存の契約対応など、電子契約の一部のプロセスに特化した上でのワンストップサービスは、電子契約全体の市場が広がる事で、事業機会も広がるものと考える次第です。

 

2.事業提携による契約管理のトータルソリューション化の例

上記のAOSデータ社のような、自社による複数のソリューションの提供と並行して、以下の様に、多くのリーガルテック関連企業が、契約案の作成、交渉、締結から管理までの契約業務先般に渡るトータルソリューションを他社との事業提携により提供する動きが進んでいます。

 

・契約マネジメントシステム「ホームズクラウド」と電子契約サービス「クラウドサイン」が業務提携

2020/2/3に、契約マネジメントシステムを提供しているHolmes社と弁護士ドットコム社は表記のリリースを公表しました。

『今回の提携では、ホームズクラウド上の電子契約の標準機能にクラウドサインが搭載され、ホームズクラウドのお客様も、クラウドサインの電子契約機能をお使いいただけるようになります。

ホームズクラウドによる最適な契約マネジメントと、法的証拠力を担保するクラウドサインの電子契約を同時に実現することで、滑らかな契約締結業務の連携ソリューションを提供してまいります。』

⇒契約書作成から締結まで、リーガルテックを活用するプラットフォーム同士の連携によるトータルソリューションの提供が、法務分野でも進んでいる事が窺われます。

この様なツール・サービスの活用の巧拙が企業のリスク管理能力や交渉力を左右し、企業競争力に影響する可能性も感じる次第です。

 

・【ニュースリリース】契約業務プロセスのデジタル化を素早く実現する「IM-Sign」をリリース~電子契約・電子サインサービスとBPM/ワークフローを容易に連携~

2021/5/11の株式会社NTTデータ イントラマートのプレスリリース記事。

『<「IM-Sign」で利用できる機能例>
契約書等の文書データの作成や変更
契約書等の文書データのアップロード
契約先(署名者)への送信やリマインド
署名された認証済みの文書データのダウンロード』

⇒こちらも、電子契約は弁護士ドットコム社のクラウドサインを利用するとのこと。業務関連システムと電子契約システムの連携と並んで、これら各システム間の連携のためのツール・環境の提供も進んでいることが窺われます。

また、契約業務のサービスは自社で、その市場の開拓(顧客接点の確保)や、専門家との相談は事業提携やコラボでという動きも見られます。

 

・いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるWebサービス「KIYAC」、オンラインスクール「デイトラ」受講生向けに有料プランを特別価格で提供

2021/2/1にKIYACプロジェクトは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。

『法律文書ジェネレーター KIYAC(キヤク)を提供するKIYACプロジェクトは、WEBスキルを学べるオンラインスクール「デイトラ」を運営する合同会社東京フリーランスと業務提携契約を締結したことをお知らせします。

本提携により、デイトラの受講生は、特別割引料金でKIYACの有料プランを利用できるようになります。』

⇒同社の法律文書ジェネレーターKIYACについては、2021/1/8に秘密保持契約書と業務委託契約書の自動作成を追加するなど、機能改善を続けています。

なお、同社と今回協業する合同会社東京フリーランスが提供しているオンラインスクールの「デイトラ」は、動画中心の買い切り型の学習サービスを提供しているとのこと。

デイトラのサービスサイトはこちら

 

両者の提携によって、受講生によるオンライ学習中およびその後の法律文書自動作成サービスに対する利用結果のフィードバックが得られる事になり、

そのフィードバックによるKIYACサービスの改良、将来の顧客接点の確保等の参考事例としても、今後の展開に期待を寄せる次第です。

 

・Web完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」と マッチング構築システム「カスタメディアMASE」パートナー連携のお知らせ

2021/5/18の株式会社カスタメディアのプレスリリース。

『「カスタメディア MASE」は「クラウドサイン」との連携により、カスタメディアで構築したサービス利用者同士の契約をスムーズに進めることが可能となります。紙の取引で発生していた手間やコスト、Web上で確認できスムーズに契約締結まで進めることができるため、取引満足度向上に繋がります。』

⇒カスタメディア社は、マッチング・シェアリングエコノミーサイト構築システムを提供していますが、ネット上のマッチングサービスと電子契約は相性が良いと考えられますので更に普及し、マッチングサービスから他の分野に電子契約が広がるきっかけにもなるかと考える次第です。

 

上記のような、「各種ビジネスにおける取引に必要な契約の電子化とその管理までのトータルソリューション化」の動きは、今後も事業提携と1社でのトータルソリューション提供の双方で進むものと考える次第です。

 

3.自社の業務改革の計画に沿った契約業務などの電子化、デジタル化におけるベンダー選択の重要性

 

上述のように、電子契約関連のサービスは、1社、または複数社の連携の双方で進んでおり、日々変化しています

また、これらのサービスを利用する側のニーズも、事業環境の変化により、導入の時期などの時間軸も含めて変化して行きます。

このような、変動が大きい分野のサービスを取り入れる場合には、導入するサービス自体だけでなく、その提供者の動向にも注意を向ける必要が出てくるかと思います。

以下のトピックスでもお伝えしているように、自社の特定の事業や業務だけで閉じて使うのか、社内全体や場合によっては取引先とも共有して利用するのかなど、その使い方、使う範囲によって特定のスペックやフォーマットに縛られるリスクを判断することが必要になります(自社が顧客に提供する商品に組み込む場合も同様かと思います)。

 

将来の事業の進め方を具体的にイメージし、社内で共有することでコストやリスクが膨らんでしまうことを防止するために、

知的資産経営のSWOT分析の中で外部状況を考える際には、自社の市場だけでなく、事業に利用するリソース面からも検討を加えながら、価値創造ストーリーを作成し、システム導入やサービス開発を進める事が必要と考える次第です。

 

また、業務のデジタル化の準備段階において、既存の業務プロセスの可視化は欠かせない項目であり、さらに現在から将来に渡る、デジタル化による業務や事業の改革の全体最適化を目指すうえで、そこに知的資産経営の手法による、自社の将来像からのバックキャストを組み合わせることも有望な手法の一つとして検討をお勧めする次第です。

 

『AIプラットフォームのベンダー比較にみる、システム導入時のリスク管理と顧客囲い込み』

 

『業務のデジタル化の準備段階における、業務プロセスの可視化への知的資産経営の活用』

 

なお、電子契約に限らず、他社と連携して事業や業務を進める場合に、顧客の「入り口」やエンドユーザーとの接点を押さえることは、事業の幅を広げたり、提携先に対して有利なポジションをとったりする上で重要な方法となり得ます。

また、自社が押さえる部分が、他社と提携してする進める分野でのエコシステム、あるいはバリューチェーンにおいてボトルネックに当たる部分ならば効果も大きくなります。

なお、バリューチェーンやエコシステムが複雑化する中では、このボトルネックも一箇所ではなく複数に増えてくるかと思います。

従って、中小企業でも小さい規模で押さえられる部分が出てくる可能性があり、それを押さえる技術力やサービス力などがコア事業のために強化すべき知的資産となるものと考える次第です。

 

関連トピックス>

『TRUNKの職業体験サービスにみる、顧客のライフサイクルの段階に合わせたサービス提供と事業提携時のヒント』

 

『ハタプロのコミュニケーションロボットにみる、ユーザーインターフェースというボトルネック』

 

『富士通の戦略解説にみる自社が押さえるべきボトルネック』

 

 

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