コンテナ船の悪天候による事故に考える「想定外」を前提にしたリスクマネジメントの方法

【今日のポイント】

「想定外」の事象自体の内容を予測することはできませんが、「想定の限界」を念頭に置いて、想定外の事象が起き得ることを前提に、自社のシナリオや戦略を柔軟かつ敏捷に変更できる体制を作る必要性が高まってきていると感じます。

 

● 嵐で貨物を失った船

2019/1/15の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。

大型コンテナ船の遭難による有害物質を含む積み荷の流出事故を報じたものですが、
「原油流出事故には備えていたが、これ(悪天候による積荷の流失)には対応していなかった。」という環境問題専門家のコメントに、「想定外の事象」が起きたときの怖さを改めて感じた次第です。

 

● 「想定外の事態を前提としたリスクマネジメント」

今回の記事を読んで、私はあの3.11の発生後、技術士の集まりの中で、「想定外が起こり得るということを科学技術面でのリスクマネジメントにどう落とし込むか」という議論をしたことを思い出しました。

想定外の事態を、大きく

「発生の原因が想定外」の要素と「発生後の事象(被害)が想定外」の要素の2つに分けた場合、

今回の記事は、悪天候という原因面での想定外と、船舶等から大規模に流出するものが石油ではなく、有害物質を含む積み荷だったという事象面での想定外が重なったものといえるかと思います。

想定外の事象が発生した時の対応について、経済合理性も考慮しつつどこまで担保するかはなかなか判断が難しいところですが、

一つの方法としてはリアルタイムでのモニタリング事象への対応の判断のポイントを細かく設定することを組み合わせて、

いわば仮設と検証の繰り返しのように、状況の変化に合わせて機動的な対応をとれるように体制を整えることがあるかと思います。

また、複数のシナリオを想定する際に、発生する可能性は殆どないが、振り切ったシナリオを用意しておくことも、有効なケースが有るかと考えています。

 

● 姿勢としての「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」

リスクマネジメントの手法だけでなく、心構えやリスクに対応する際の姿勢として、今回の悪天候や3.11のように自然の変動に対しては、謙虚に向き合うことが大切かと感じます。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」とよく言われますが、自然や物理現象、他者の行動を変えることは困難でも、自分の考え方、視点は変えることが出来るかと思います。

また、複数のシナリオを持つことは複数の視点を持つことにも繋がりますね。

知的資産経営においても、価値創造ストーリーの作成の際に、複数のシナリオを描きつつ、謙虚に、かつ目的を実現する意思を明確にすることが必要と考える次第です。

 

● 関連する本ブログのトピックス

「公取委のGAFA調査などに考える複数シナリオを持つ重要性」
AI・IoTの普及が進むに連れて、規制の国家間のバラツキや働き方改革などの新規制の副作用の影響と、先行きの不透明感や環境変化のリスク負担の課題もまた顕在化しつつあります。

今まで以上に、複数のシナリオを持って、リスクマネジメントを行う必要性が高まってきています。

「エネルギー情勢懇談会の提言に見る「シナリオの検討方法の重要性」」
環境変化を予測するためのシナリオの作り方および見直し方として、

どのくらい将来が不透明なのか、未来の分岐点があるのかを考慮して「複数のシナリオ」を作ること、そして、そのシナリオに影響を与える要因を洗い出しておいて、適宜その要因に変化があれば、シナリオを柔軟に見直して対応することが重要となっています。

「リニア中央新幹線談合問題にみる「競争環境変化のリスク」」
AI・IoT等は、その応用も含めて変化が激しいので、自社がどこと競争しているのか、していくのかは、中々判断しにくいですね。
業界の壁にとらわれず、幅広くアンテナを張ってリスクマネジメントを行う必要性が高まっています。

「資源エネ庁の「石油がとまると何が起こるのか?」から学ぶリスクの探し方」
自社の事業に関する「ヒト、モノ、カネ、情報」の流れを可視化することで、どこに自社のリスクと改善の機会があるかを見つけ出し、社内で共有することはリスクマネジメントと事業改革に有効な方法かと思います。

 

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