中国の知的財産権保護策に考えるブラックリストの共有という方法、その効果とリスク

● 特許だけでなくノウハウも

中国が最近打ち出した、知的財産権の保護対策としてのいわば「特許侵害者のブラックリストの公表」。

知的財産としては、特許や商標のように公開される知的財産も重要ですが、組織内に秘匿すべきノウハウや秘密情報、人が持つ知見、経験の保護も同じく非常に重要ですね。

日本の不正競争防止法による営業秘密やデータ(限定提供データ)の保護のように、ノウハウ等の保護について、中国がどのような施策を打ってくるかにも関心を持っています。

なお、これはうがった見方かも知れませんが、民間企業に対して知的財産を尊重させる一方で、サイバーテロに国家(機関)の関与も指摘されているように、ある意味軍事行動としての知的財産侵害行為については、どのように方針が変わっていくのか、こちらは中々外からは見えないだけに、気になるところです。

 

● ブラックリストの共有による官民双方での監視体制とリスク

今回の、中国政府の施策の背景には中国企業の中でも、自社で優れた知的財産を取得しているところと、他者の知的財産へのタダ乗りを考えている企業があり、これら国内企業同士の知的財産を巡るトラブルも増えているのではないかと推察しています。

今回の記事のようなブラックリストの公表や関係者間での共有は、懲罰効果とは別に、予防という観点からは、企業内でのトラブル事例やヒヤリハット事例の共有や、業界内でのトラブル事例共有に通じるものがありますね。

逆に、行政による恣意的なリスト掲載や、行政への情報提供による競合の蹴落としに使われる懸念もあり、日本企業が標的になるリスクにも要注意と感じるところです。

中国は、依然として市場として大きな位置を占めており、また、最近ではAI・IoT分野での研究開発も盛んですので、中小企業でも直接・間接に関係が出てくる場面は多いかと思います。

今回のような知的財産に係る施策についても、知的資産経営報告書のSWOT分析における外部状況の一つとして、取り上げて置くと、中国市場の把握だけでなく知的財産、知的資産に対する意識を上げて行くという点からも有効かと考えている次第です。

 

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