米中貿易戦争に見る波及効果の範囲の広さ

● 米中の制裁関税応酬、想定超えた不確実性 習政権に衝撃 

2018/08/11の朝日新聞オンラインに表記の記事が掲載されていました。

https://www.asahi.com/articles/ASL875QGKL87UHBI017.html?iref=pc_ss_date

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『米国内で大豆がだぶついて価格が下がれば、農家は収穫した大豆を貯蔵庫に置いておくしかない。

 ノースダコタ大豆生産者協会のナンシー・ジョンソン氏によると、そうした事態に備えて一部の農家は貯蔵施設を増やし始めた。

 しかし、米国が中国などの鉄鋼・アルミ製品にも高関税措置を発動した影響で貯蔵施設の資材費が高騰。ジョンソン氏は「誰もが施設を建てる余裕があるわけではない」と心配する』

と、米中貿易戦争により、輸出する大豆がだぶつくのではとの予測から米国の大豆農家が貯蔵施設を増やそうとしても、貯蔵庫用の建設資材の高関税による高騰が、関税対象でない大豆にも波及していることを報じています。

逆に中国では報復関税を想定して大豆の作付け奨励するも、時期が遅すぎて効果が出ていないとのこと。

資源関係の政策の波及効果の範囲の想定がいかに重要かが現れている事例ですね。

 

● 政策の波及効果をどこまで広げて捉えるか?

「米中貿易戦争、AI・IoTにみる新たな「資源」」
https://wp.me/p9D2bS-zi
でもお伝えしたように、
エネルギー等の既存の資源だけでなく、知的財産、個人情報、データなどの無体物(形のない、見えないもの)が有用な資源となっている現在、自社の経営資産とその資産を活用して産み出す自社の強みについても、これらの新しい資源との関係を考慮する必要性はますます高まってきています。

今回の記事のように思わぬところで自社が必要とする資源の制約の影響が出てくることもありますね。

とはいえ、自社のインフラの範囲をバリューチェーン全体、更にその周りまで広げるとしても、自社の情報収集の能力や想像力にも限界があることは否めません。

したがって、関係資産の一つである専門家の意見を聞く機会を上手に活用することとともに、

「「日本のエネルギーの歴史」にみる「使い方の変化が資産に及ぼす影響」
https://wp.me/p9D2bS-zG

でお伝えしたような、歴史に学ぶことも必要になってきていると考えます。

例えば、石油ショックのときに何が起きたか、
サブプライムローンショックのときにで何が起きたかなどを見ることで、

今回の米中貿易戦争のような国家間の紛争や、環境問題、エネルギー問題、金融危機などが起きたときにどのような事態がその後生じるのか、自社や業界にどのような影響を及ぼすのかを、知的資産経営報告書の作成などの機会に考え、さらに保険や取引先との契約など、影響に対する備えまで検討しておくことは、中長期のリスク管理としても重要なものとなってきています。

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