米国の学生ローン問題にみる個人・組織の格付けのグローバル化と処遇格差の拡大および「尖る・オタク化」の重要性

Cari DobbinsによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

政治問題ともなっている米国の学生ローン問題。

その背景の一つには、デジタル化、グローバル化を通じて「勝者総取り」による格差拡大と競争激化が進んでいることが挙げられます。

このような環境下では、自社の所属するバリューチェーンやエコシステムのボトルネックに集中する「尖ること、オタク化」が求められていると考える次第です。

『学生ローン400人分肩代わり=44億円、卒業式で資産家が宣言-米』

2019/5/21 時事ドットコムに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『米南部ジョージア州アトランタのモアハウス大で19日開かれた卒業式で、スピーチした資産家が突然、卒業生約400人全員分の学生ローンを肩代わりすると宣言した。米メディアによると、ローンの総額は推計で4000万ドル(約44億円)。』

2019/6/10には ITメディアビジネスオンラインが以下の表題でこの話題を報じています。

『米富豪が学生ローン43億円肩代わり 重い負担は社会問題に』

同記事によると、米国の学生ローンの総債務残高は約169兆円と、米国の学生ローンは大変重く、債務不履行の割合も11%を超えているとのこと。大きな社会問題となっているようです。

『学費ローンは出世払いで、米国の学生が頼る新システム』

一方、2019/5/25 AFPBBニュースでは、学費を出世払いする新たな方式「インカム・シェア・アグリーメント(ISA)」が学生たちに利用され始めていることを伝えています。

このシステムが新たな投資先としてもウォール街で注目されているという記載に、課題あるところにビジネスの種もあることを改めて感じます。

       

米国の学生ローンは、以下の大和総研のレポートにみるように、以前から問題になっていたようですが、以下のブルームバーグ記事で報じられているように、ここに来て話題となっている背景には、金利の上昇で更に負担増になるとの見込みがあるかと思います。

『米国における学生ローンの現状と危機-連邦政府の財政と米国経済の成長、  人々の将来に影響を及ぼしている』
2017/12/28大和総研

『米国の学生ローン危機、今後さらに悪化の恐れ-授業料・金利上昇で』
201820/18 ブルームバーグ

また、今度の大統領選の政策論争でも取り上げられているとのことなので、そちらの面からも注目を浴びているようです。

ネット社会における個人・組織の格付けのグローバル化の進展と処遇格差の拡大

今回の一連の記事からは、「ネット社会における個人・組織の格付けのグローバル化の進展と処遇格差の拡大」が窺えるかと思います。

学生ローン問題の背景として上記の大和総研のレポートや記事に

・大学進学希望者の増加
・大学側のIT等設備投資・大学関係者の報酬の高騰、強気の価格設定
・州の教育予算の減少や大学への寄付金の減少

などが挙げられていますが、

GAFA4騎士が造り変えた世界 2018/7/27 スコット・ギャロウェイ () 東洋経済新報社
では、

GAFAなどが進めているデジタル技術によって生まれた「勝者総取り経済」が及ぼす人生やキャリアへの影響として、

リンクトインなどにより労働市場の競争のグローバル化が進んだことで、トップ人材とそれ以外の人材の需給バランスに大きな差が生じて優秀な人間と平均的な人間の間で能力の差以上の報酬や処遇の格差が生じていること、

それが、出身大学による格差、大学間や大学関係者間の格差の拡大にもつながっていると説いています。

このような処遇格差が、学歴競争、大学間競争を激化させていることが、今回の学生ローンの問題からも窺えるかと思います。

米国にはその現象が顕著に現れていますが、グローバル化が進展する中では、日本も含めて他国にもこのような能力以上の処遇格差や、個人・教育機関の競争激化の傾向が今後現れてきて、社会問題、政治問題となっていく可能性を感じた次第です。

尖ること、オタク化を目指す

上記のような「勝者総取り」による処遇格差や競争激化といった社会環境の中ではどのような対応が必要になるでしょうか?

全ての面で勝者=トップに立つことは困難ですが、一つの対応策として、何かにおいて得意分野や長所を持つこと、できればオタク化するまでに尖ることが必要となってきていると感じます。

『ビザスクのスポットコンサルサービスにみる「尖ることの価値」』

でご紹介した、株式会社ビザスクの「スポットコンサル」のように、ネットなどでは容易に得られない(形式知化されていない)情報や知見のニーズに対応するには、個人レベルでも独自性や先端性といったところが重要視されること、

『ドローン企業の「コト売り」にみる「尖ることの重要性」』
で、企業として独自の強みを持って「尖る」事例など、

個人、企業を問わず、「何かに尖っている」ことの価値(市場価値)が高まっていることが、今後自分の得意分野に集中していくことが非常に重要になってくることが予想されます。

また、『富士通の戦略解説にみる自社が押さえるべきボトルネック』でもお伝えしたように、オープンイノベーションやエコシステム、プラットフォームなどのビジネスモデルの中で、上記のように尖るためには、自社が属するバリューチェーンやエコシステムの中に存在するボトルネックに注目して、そこを押さえるよう意識していくことが肝要と考える次第です。

 

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『ビザスクのスポットコンサルサービスにみる「尖ることの価値」』

現役ビジネスパーソンを中心に、専門家や企業OBまで国内外約50,000名が、アドバイザーとして登録し、色々な企業や個人事業者からの相談に応えるマッチングサービス「スポットコンサル」を運用しているスタートアップ株式会社ビザスクの事例。

このスポットコンサルの利用者には大手企業の方もいて、同社の「暗黙知をつなげる」ビジョンに基づくサービスの質の高さを窺わせます。

『ドローン企業の「コト売り」にみる「尖ることの重要性」』

「技術(開発力)」で尖っていくことで自社の強みの構築を図る、「技術を知的資産とする」ドローン企業エアロネクストの紹介。

一貫したブランド戦略という面でも参考になります。

『パラオのサンゴ礁保護規制にみる優先順位をつけたブランド維持』

観光立国という目的、アイデンティティの確立という同じ目的に対して、利便性、環境維持などの優先順位付けと政策の違いをパラオとバリ島を比較したもの。

自国は何を特長としてブランドを作り上げるのかに関する優先順位付けにおける思い切りの必要性が窺えます。

『大学進学費用の負担の問題に考える「全体の底上げ」の重要性』

日本の奨学金制度の課題に関する事例。
他社に無い独自の強みを持つ「尖っていること」の重要性と同時に自社内、あるいは取引先やお客様も含めた事業全体において、共通言語や価値観などの共有という全体の底上げというのも、また自社の抱える課題への対応やリスクマネジメントの視点からも重要と考える次第です。

『富士通の戦略解説にみる自社が押さえるべきボトルネック』

富士通のような大手企業でさえ、自社単独での事業展開は困難な時代、共創や事業提携は必須となってきていますが、自社が持ち、強化すべきコア技術、コア事業を明確にして資源を集中することは、規模の大小を問わずますます重要になってくるかと思います。

そこのコア事業として、エコシステム、あるいはバリューチェーンにおいてボトルネックに当たる部分を押さえることが重要性を増してきています。

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