経営デザインシートに考える、今と未来のSWOTの使い分け
【今日のポイント】
本ブログでも活用をお勧めしている経営デザインシートですが、その作成において、SWOT分析を利用されることも多いかと思います。
その際に、現在のSWOTと将来のSWOTを分けて作成してみることも、バックキャストで課題検討する際の方法の一つとなり得るものと考える次第です。
【目次】
1.経営デザインシートはバックキャストで課題を考える
2.現場の把握と将来像の具体化の双方を行う上でのSWOTの利用
1.経営デザインシートはバックキャストで課題を考える
本ブログでは、その時々のニュースを題材に、経営デザインシートなどの知的資産経営のツールの活用について採り上げて来ましたが、
実際に経営デザインシートを利用する場合には、経済産業省の利用方法の解説などにも記載されていますように、
自社のビジョンや理念、アイデンティティの明確化
⇒自社の将来像(将来の顧客への価値の提供方法=価値創造メカニズム、必要な知的資産などの経営資源)の想定
⇒現状の事業把握(現在の顧客等への提供価値と、そのために利用している経営資源)
⇒将来像と現状のギャップから、ビジネスモデルの移行と必要な経営資源に関する課題を形成し、課題解決のための戦略を策定する
というように、ビジョンや将来像からのバックキャストで今後取り組むべき課題を考える方法を提案しています。
この、自社の将来像を考えるとき、また、現状を把握するときに、SWOT分析も利用することが多いかと思いますが、SWOT分析をどのように使えば良いかについて迷われることも多いのではないでしょうか。
2.現場の把握と将来像の具体化の双方を行う上でのSWOTの利用
上記の経営デザインシートの従来のフォーマット(以下の図)では、
トップ左側に「自社の目的・特徴」と右側に「経営方針」を記載し、
中段左には現在の経営資源とその資源を利用したビジネスモデル、現在提供している価値や提供先から自社が得ているものを記載し、
中段右側に自社の目指す将来像(提供価値、ビジネスモデル、資源)を記載し、
下段にこれまでの外部環境や全社の課題、現状から将来像に移行するための戦略(これからの外部環境、移行のための課題、必要な資源、解決策)を記載する形式をとっています。
(『「経営デザインシート」について(新デザイン版)』P24知的財産戦略本部「経営をデザインする」サイトより)
この中段左側の現状分析でのSWOTは、以下の図を見ますと、自社の現在の強みと弱み、現在の強みと弱みに影響を与える外部環境を記載することになるかと思います。
(『経営デザインシート作成補助シート3(SWOT分析)』知的財産戦略本部「経営をデザインする」サイトより)
また、経営デザインシートの中段右側の将来像を具体化する際には、自社のビジョンやアイデンティティがSWOT分析における自社の強みに入ってくるかと思います。
外部環境(O=機会とT=脅威)は、これから起きると想定している外部環境を記載して、クロスSWOT分析で将来のビジネスモデルを検討することになります。
外部要因には、将来起こり得る変化や、人口推移の様に中長期に精度が高い予測を入れ、
現在の自社の強み、弱みではなく、将来の環境変化と自社のありたい姿から、自社の強みと弱みを考えることが必要ですね。
また、現在の強みが弱みに、弱みが強みに変わる可能性も検討する必要が出てきます。
将来のSWOTの弱みは、経営デザインシートでは移行のための課題に入ってくるものとなるかと思います。
このように、現在のSWOTとは別に、将来のSWOTを作ることは、経営デザインシートの基本的な使い方であるバックキャストによる検討を容易にするとともに、
自社のビジョンや理念が将来の環境の変化の中でどの様な課題を持つのかを通じてビジョンの明確化や具体化にも繋がる事が期待できるかと思います。
経営デザインシートに限らず、自社の将来像からバックキャストで経営や事業の戦略を考える際に、現在と将来のSWOTの使い分けを利用することも有効な方法となり得るものと考える次第です。
なお、経営デザインシートの詳細については、『経営をデザインする』(知的財産戦略本部サイト)をご参照いただければ、大変幸いに存じます。
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