コーヒーの影響調査にみる、長期ビッグデータがひらく知見の可能性と企業競争力への影響
【今日のポイント】
コーヒーの健康への影響に関する、50万人以上の被験者、20年近い期間を費やしての調査研究。
長期間、被験者を使う研究の難しさを感じさせるとともに、ＡＩ・ＩｏＴにより得られる長期間のビッグデータとその解析から得られる知見の大きさに期待が膨らむと同時に、こういった知見の存在を発見して活用できるかが企業競争力にも影響を及ぼす可能性が窺えるかと思います。
● コーヒーはいかがですか？ How do you like your coffee?
2020/4/30の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
（引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。）
『1985年から2003年の間に実施されたこの研究では、ノルウェーの人口から20歳から79歳までの健康な男女508,747人が登録した。
被験者は、消費したコーヒーの量と種類に関する質問に答えるように求められた。心臓の状態に影響を与える可能性のある他の要因も記録された。』
コーヒーの摂取量やそのいれ方が心臓に及ぼす影響について、長期間に渡り大勢の被験者を対象にして行われた研究だけに、その結果には大変興味を持ちました。
基本的にコーヒーは健康に悪影響を及ぼさないが、そのいれ方（フィルターの使用の有無）によって死亡率が変化すると記載されています。
なお、私も参加しているSIGNALプロジェクトの中で、参加者の方が、この論文のURLを情報提供くださっていたので、以下に記載いたします。
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/2047487320914443
● 長期間のビッグデータの価値と提供先の拡大
今回の記事からは、「長期にわたるビッグデータの蓄積が新しい貴重な知見をもたらす可能性の拡大」が窺えるかと思います。
今回の大規模かつ長期間の調査に関する記事を読んで、私が最初に連想したのが、「ナン・スタディ」と呼ばれている、修道院の修道女たちの協力を得て、その履歴、生活環境などとアルツハイマー病の関係を、死後の脳の提供による解析も含めて行われている調査でした。
『【Books】100歳の美しい脳 デヴィッド・スノウドン 2018.12.23』一般社団法人 日本Happy Ending協会
『100歳の美しい脳―アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』トミタクリニックのブログ 2918/8/7
『J-STAGE /情報管理/ 55 巻 (2012) 6 号/この本！～おすすめします～脳を読む』
『ノートルダム教育修道女会の協力，75歳から実に106歳までの678名の修道女本人の承諾を得て始まったナン・スタディは，加齢と健康，特にアルツハイマー病に関する壮大な疫学研究である。
規則正しい生活，残された記録と定期的な身体・精神能力検査，そして神に召された後の献脳。
修道院は過去と未来がつながる大いなるアーカイブズであり，まさに科学者にとって「輝く黄金」であった。』
長期にわたるこの様な研究調査、特に人を対象にした場合の困難さとその価値は如何程かは、この研究が多くのアルツハイマー病の解説記事になどに引用されている事からも窺えるかと思います。
この様な研究は、研究者の努力や被験者の献身的な協力、そして継続的な資金の確保が必要となりますが、
現在のAI・IoTによってビッグデータを長期間取得し、かつ分析することがより容易になってきたことや、クラウドファンディング等の資金調達方法の多様化が、
この様な長期間の調査研究ロジェクトが数多く実施されると共にその精度も向上し、更に貴重な知見が今後も得られていくものと期待しています。
● 情報は既にある、どうやって見つけて使うかが課題に
上記のように、貴重な知見が今後さらに蓄積されていきますが、
これらの知見がインターネット等を通じて公開され、入手できる現在、自社事業への活用（事業機会や商品・サービスのアイデア、消費者動向の把握など）の有無や巧拙が企業競争に与える影響もまた大きくなってくるものと改めて感じます。
まずは、こういった研究などについて、情報収集のアンテナを張ることから始めてみてはいかがかと考える次第です。
なお、私のアンテナの張り方、情報収集方法については、以下のトピックスで情報源を含めて具体的にご紹介していますので、ご覧いただければ大変幸いに存じます。
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