特許庁のオープンイノベーション関連のコンテンツを知的資産経営の視点からみると

【今日のポイント】

特許庁では、オープンイノベーションの促進を知的財産の面から支援するために、様々なコンテンツを用意しています。

これらのコンテンツを特許などの知的財産以外の知的資産に関するオープンイノベーションの検討で参考にすることは、自社と他社の関係の把握などに役立つものと検討をお勧めする次第です。

 

【目次】
1.特許庁のオープンイノベーションに対する知的財産の面からの取り組み
2.オープンイノベーションに関する行政のコンテンツを知的資産経営の視点から見てみる

 

1.特許庁のオープンイノベーションに対する知的財産の面からの取り組み

現在、環境問題対応、新型コロナのようなパンデミック対応やその他の社会課題への対応策として、
国境も業界も超えた、オープンイノベーションによる事業改革や新規事業(新しい顧客への提供価値)の創出は、DXの活用などと並んで官民の主要課題の一つとなっていると考えている方も多いのではないかと思います。

そのオープンイノベーションについて、日本の国際競争力強化の観点も含めて、政府も取り組みを進めており、
以下の特許庁サイトの内容だけでなく、本ブログトでよく採り上げている、内閣府のデザイン経営もその一環と捉えています。

『オープンイノベーションポータルサイト』
特許庁サイト。

『経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)ー首相官邸サイトー知的財産戦略本部』

上記の特許庁のサイトでは、スタートアップと事業会社(主に大手企業)がオープンイノベーションを円滑に進め、WIN-WINの関係を築くために必要な企業業同士の取り決めに関して以下の3分野について、コンテンツを記載しています。

 

●『研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0』
『対価交渉のケーススタディーβ版』 のような、仮想事例に基づく基本的な考え方や、秘密保持から共同開発、ライセンスなど、オープンイノベーションの各段階に関係するモデル契約解説付きで掲載しています。
また、特許庁は同サイトでモデル契約書の内容とポイントを以下のように説明しています。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『1.共同研究開発の連携プロセスの時系列に沿って必要となる、秘密保持契約、PoC(技術検証)契約、共同研究開発契約、ライセンス契約に関するモデル契約書を提示しています。
2.仮想の取引事例を設定して、契約書の取り決め内容を具体化することで、交渉の勘所を学ぶことができます
3.契約書の文言の意味を逐条解説で補足することで、当該記載を欠いた場合の法的リスクなど、契約に潜むビジネスリスクへの理解を深めることができます。』

●『特許情報を活用したビジネスマッチングレポート』
特許庁では特許情報を活用したビジネスマッチングレポートを開発し、その後2年間にわたり、レポートを中小・ベンチャー企業や大学等に提供して行った効果を行っています。

マッチングレポートのサンプル、マニュアル、活用事例やその分析には以下のページに掲載されています。
『事業連携に有効なマッチングツールを紹介します!』
令和元年8月特許庁総務部総務課

 

●『参考資料』
『【パンフレット】知財を使った企業連携4つのポイント(2018年6月作成)』
『【令和元年度実務者向け説明会】オープンイノベーションにおける知財リスクについて』(テキスト、レジュメ、講義動画)などのコンテンツを掲載しています。

上記のコンテンツは、オープンイノベーションを進める上で、特にスタートアップなどの中小企業が知的財産の面で不利な立場とならずに、新規事業や新規技術の展開の推進を支援することに配慮しているので、
スタートアップ側の方はもちろんのこと、スタートアップと協業を考えている大手企業にとっても、相手の立場を理解し、協業を円滑に進める上で参考になるものと考える次第です。

 

2.オープンイノベーションに関する行政のコンテンツを知的資産経営の視点から見てみる

上記の特許庁のコンテンツを、知的資産経営(知的資産の構築と活用)の視点からみてみると、

● モデル契約書について:
特にスタートアップの主要な経営資産である技術を、知的財産としていかに保護しつつ有効活用するために大手企業等との協業を進めるかという観点から作成されているとの印象を受けております。

このモデル契約書を、知的資産(人的資産、構造資産、関係資産)の視点からみると、技術そのものはもちろんのこと、

1>技術を持っている人材の育成・スキルアップ(人的資産
2>その技術を他社と利用するために必要な契約契約書のひな形や、事例などの知見・コンテンツ(構造資産
を主眼において、作成されていると感じます。

取引先等との関係構築という知的資産経営の関係資産は、上記1,2の内容を活用することで構築できるものという立て付けとなっているとの印象を持ちました。

上記のような観点からは、このモデル契約書を取引先と実際に使う以前に、
社内でモデル契約書の解説などを読み込むことで、オープンイノベーションにおいて自社が取るべきポジションや、そこで必要なスキルの確保、今後の知見共有などの目的でまず利用することが有効と考える次第です。

 

● 特許情報を活用したビジネスマッチングレポートについて:
上記の特許庁のサイト『事業連携に有効なマッチングツールを紹介します!』 では
オープンイノベーションを希望するベンチャー、大学等の技術を分析して、その技術とシナジーのある特許技術を持つ事業会社をショートリストにしたレポートを作成すると記載しています。

この、特許技術は、知的資産の重要な要素であるとともに、その情報は所定のフォーマットで記載されて公開されているため、AIなどで各種の分析をするのに大変適したデータとなっています。

また、いわゆる「己を知り、相手を知れば」自分と相手の双方の技術的な強みと弱み、またその時間的な推移を技術分野も含めて分析出来るため、

『AI利用のマッチングサービスにみる、「お客の課題発見」という特許情報のビジネス活用』 や 『特許情報活用にみる技術と市場の双方からの俯瞰』でもお伝えしているように、

自社の技術を必要とする相手や自社が必要とする技術を持つ相手を、注力している技術分野の移り変わり(注力する事業(市場)の変化も反映しています)を含めて把握することが期待できます。

上記の活用方法を、特許以外の知的資産で利用するには、まずは己を知る=自社の経営理念やビジョンの再確認と現状把握」から始め特許のIPランドスケープのように、他社と比較できる共通のフォーマットを、
「特許情報を活用したビジネスマッチングレポート」を参考にして自社のフォーマットを判断項目・判断基準、チェックリストなど、ポジショニングマップなどの形で用意して、上記の確認事項を整理していくのが効率的かと思います。

その次に、経営デザインシートなどで自社が今後必要とする技術(知的資産)将来の提供価値、ビジネスモデルから特定して、それを持っている企業を特許情報やプレスリリース記事などから複数探してみて、上記のフォーマットに落とし込んでみるという作業を行うと、自社の技術との対比も行え、社内での共有にも役立つかと考える次第です。

 

なお、リスク回避の考え方などは、特許庁の参考資料も参考にしながら、必要に応じて専門家の知見を借りることも重要かと検討をお勧めいたします。

 

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