商取引の電子化を知的資産構築のチャンスとして捉える

テンプレート 電子化

【今日のポイント】
現在、オンライン相談から商品紹介、取引の契約、請求と支払い、商品・サービスの提供までデジタル化やオンライン化が業界を問わず進んでいます。

このような商取引の電子化にともなうデジタルテンプレートの作成と利用は、自社にとって貴重な知的資産の構築のチャンスとなりますので、これらのテンプレート作成と利用方法の設計時には、この視点も含めて検討することをお勧めする次第です。

 

【目次)
1.商取引におけデジタル化とテンプレート
2.商取引の電子化、オンライン相談などを自社の知的資産構築の機会として活用する

1.商取引におけデジタル化とテンプレート

現在、オンライン展示会・商談会、オンライン相談などの商取引の入り口から、契約・支払いなどの出口までデジタル化が進んでいるのはご案内のとおりかと思います。

その中で、紙書類などでも従来から使用されているフォーマットやテンプレートにも、新しい動きが見えていると感じています。

 

● 『マネーフォワード クラウド契約』、「テンプレート機能」の提供を開始
契約書の作成時間を大幅に削減

2022/2/28に株式会社マネーフォワードは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000731.000008962.html
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『従来の『マネーフォワード クラウド契約』では、電子契約の書類を送信する際、内容の確定した契約書をアップロードする必要があり、送信の度に日付や取引先名などの契約内容をExcelやWordで入力し、PDF化・アップロードする手間が発生していました。
そこで、登録したテンプレートを呼び出し、『マネーフォワード クラウド契約』上で契約内容の入力を可能にすることで、契約書作成にかかる時間を削減したいという思いから、本機能を開発しました。』

⇒契約に限らず、テンプレートも、エクセルやワードだけでなく、クラウド上でのフォーム形式が増えつつありますが、
テンプレートの作成と共有は、個人のスキルと経験を組織知に変える、知的資産経営の手法としても重要なツールとなります。

また、クラウド上などでのフォーマットやテンプレートの利用は、デジタルデータであることからオンライン化含めて共有や検索が容易となり、紙書類以上に知的資産の活用範囲が広がるものと考える次第です。

 

● 三菱電機、MNTSQの契約DXサービスの全てを導入~知財戦略を支えるシステム基盤の構築を目指す~

2022/1/26にMNTSQ株式会社(モンテスキュー株式会社)は、表記のプレスリリースで、三菱電機株式会社に契約DXサービスが導入されたことを公表しています。

https://www.mntsq.co.jp/news/mntsq-mitsubishi-electric/

以下は同社のサービスの一つである自動ドラフティングに関する記載です。

『自動ドラフティング
対話式で質問に答えていくだけで自動的に契約書のドラフトが作成でき、Word形式のファイルにエクスポートできるサービス』

⇒契約だけでなく、対話形式での書類作成は、特許などのフォーマットや使われる用語がある程度決まっている分野から今後普及が進んで行くものと改めて感じるます。

 

● いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるWebサービス「KIYAC」、オンラインスクール「デイトラ」受講生向けに有料プランを特別価格で提供

2021/2/1に、法律文書ジェネレーター KIYAC(キヤク)を提供するKIYACプロジェクトは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000073631.html

『KIYACは、弁護士が監修する「法律文書ジェネレーター」です。いくつかの簡単な質問に答えるだけで、WEBサービスやアプリで必須となる「プライバシーポリシー」「利用規約」「特定商取引法に基づく表示」をはじめ、「業務委託契約」や「秘密保持契約」などの雛形・テンプレートを、質問の回答内容に基づいて自動生成することができます。』

テンプレート自体をユーザーの回答内容を反映して自動作成するツールというのも、標準化とカスタマイズ、効率化などの複数のメリットが期待できるサービスであり、
ツールの利用結果のフィードバックによるサービスの改良、将来の顧客接点の確保等も期待できますね。

また、テンプレート作成のための質問項目自体が、テンプレートの一種であり、何を質問するかや選択肢は自社の知見ともなります。

この質問項目自体の標準化により、データ活用もさらに促進されるものと思います。

また、私のブログでもアクセス数トップを維持している、
『「話すことによるストレス解消法」にみる「自己開示のメリット」とビジネスでの活用方法』でもお伝えしているように、

相談する側にとっても、
事業上の悩みや問題を誰かに相談してみる、あるいは相談するために書き出してみるというのは、対象と悩みや問題を客観視して、全体像を把握し、問題点を整理するうえで大変効果的ですが、

その際に、ある程度相談したい内容をカテゴライズして、入力項目に落とし込んでテンプレート化しておくことは、抜けもれなく自分の悩み・課題を整理して相手に伝える上でも有効な手段となります。

 

● 業務マニュアル兼チェックシートのペーパーレス化と人の仕事をスタメンボードで見える化し生産性を向上させるクラウドサービス「IoTGO DX」をリリース

2022/1/19に株式会社マイクロリンクは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000002852.html

『IoTGO DXは、機械に加えて人の生産性と品質向上を実現するクラウドサービスで、Microsoft Azure (App Service, Azure SQL Database等を利用)を基盤として構築しました。現場のチェックシートのペーパーレス化や数値の合否判定、技術・管理部門の業務マニュアル兼チェックシートを作成して運用することにより、様々な業務のD X化を推進、ペーパーレス・技能伝承・品質向上・仕事の属人化からの脱却が図れます。』
※Microsoft、Azureは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

⇒ペーパレス化などの効率化に加えて業務全体の見える化と改善による生産性向上、ノウハウを会社の資産とする効果などを謳っていますが、
マニュアルやチェックシートなどのデジタル化知見やスキルなどの知的資産の更新と共有にも貢献する様子が窺えるとともに、ユーザー側もそのような活用方法を意識してデジタル化を進める重要性が高まっていると考える次第です。

 

2.商取引の電子化、オンライン相談などを自社の知的資産構築の機会として活用する

現在、オンラインでの無料相談が、保険など従来の分野だけでなく、多くの業界で取り入れられていますが、

顧客接点や顧客情報に加えて、回答率や回答内容などから顧客のニーズや関心事を引き出す手法の知見質問表や相談時の問診票の形で形式知化し、構造資産として蓄えるためにも有効な手段となり得ます。

 

また、前述のモンテスキュー社のような対話形式での書類作成方法を、顧客への商品・サービス説明に利用すれば、顧客ごとにある程度カスタマイズした商品説明による顧客の納得感向上とともに、自社内でも、他の顧客属性と組み合わせた個々の顧客の情報の蓄積と、顧客のTPOに合わせた商品の開発や選択と提供のシステム化にもつながるものと考えています。

また、これらのテンプレートの更新履歴をその更新理由とともに記録しておくことは、外部環境の変化と自社の対応を振り返り、自社の環境変化への対応の特色を把握し、経験を蓄積する手段となります。

これは、知的資産経営報告書や経営デザインシートのような、知的資産経営ツールの更新においても必要な視点ですね。

そのような意識で知的資産を構築する仕組み自体も、また重要な知的資産となるものと考える次第です。

 

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