日立製作所の働き方改革支援事業に考える、使った自社の取り組み経験の体系化と商品化のヒント(経営デザインシートの活用)
【今日のポイント】
日立製作所の自社の働き方改革やコールセンター事業などで培ってきた知見を活用したソリューション提供の事例等からは、自社の取り組みを体系的に整理して、転用できる知的資産を構築する必要性が窺えます。
その際の、自社の改革の全体感と個別着手のバランスの取り方も体系化すべき知見であり、そこでは経営デザインシートなど知的資産経営のツールも活用できるものと考える次第です。
●ニューノーマル時代の新たな働き方の確立に向け、多様な日立グループ30万人が取り組むさまざまな抜本的改革のノウハウ・技術を体系化し販売開始
2020/11/25に 株式会社日立製作所は表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『15年以上にわたりグループ横断で取り組んできた働き方改革と経営効率を改善する人財・アセットマネジメント改革、それを支えるIT戦略のノウハウや技術をもとに、ニューノーマルな働き方を支援するサービス(以下、本サービス)を体系化し、2021年1月から順次販売を開始します。
本サービスは、場所を選ばず快適に仕事ができるIT環境を提供する「ワークスペース」、従業員の生産性を最大化する人財マネジメントを推進する「プロダクティビティ」、そして、データ活用によりオフィス空間を再設計して価値最大化を提案する「ワークプレイス」の3つのカテゴリーで構成され、順次拡充しながら提供していきます。
これらの3つのカテゴリーをバランスよく組み合わせ、人事・総務、開発・SE、営業などの部門や働き方に応じたペルソナ別のサブスクリプション型メニューとして提供することで、従業員一人ひとりのデジタルシフトと生産性向上を支援し、人を中心とするニューノーマル(新常態)時代にあった持続可能な新たな働き方の確立に貢献します。』
⇒自社自身の働き方改革の取り組みから得た知見の体系化と商品化の事例。
全体最適化と個々人や業務プロセス単位からの着手・カスタマイズのバランスの難しさと必要性も窺えます。
日立製作所では、以下の様に、テキスト要約技術の商品化も進めています。
『トヨタのコールセンター業務に、テキスト要約システム「CoreExplorer/TS」を適用』
2020/11/30の同社のプレスリリース。
『今後、日立が長年のコールセンターシステム事業で培ってきたシステム間の連携や運用の省力化など技術やノウハウを生かし、本システムの拡張やデータ活用を促進し、トヨタの次世代コールセンター実現に向けた取り組みを支援していきます。』
⇒これも、自社の取り組みから得た知見を体系化して商品化する事例として参考になるかと思います。
● 社内DXのグランドデザインを学べる事業構想大学院大学「DX推進者養成講座」を開講
2020/11/27に、一般社団法人IT顧問化協会は表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。
『社内のペーパーレス化などのデジタル化(社内DX)推進において課題となっているのが、「最適な業務環境に変革するためのグランドデザインがなく、部分最適化に留まってしまうこと」です。
そこで、本格的に社内の業務改善を進めていかれる方や、包括的なIT活用支援(IT顧問・ITコンサルタント)をされたい方に向けて、ムダをなくし、生産性を高めて売上を上げるためのグランドデザイン設計をし、それを実現するためのロードマップに落とし込むための講座を開講いたします。』
⇒出来る所から始める際にも、全体の将来像を持って進める重要性が窺えるかと思います。
● 全体最適と個別着手のバランスのヒント
上記のように、働き方改革やDX、デジタル化を進める際に、全体感をもって、かつ出来るところから個別着手していくためには、
『キーボード一体型のPCにみる、個々のユーザーに応じたリモートワークの環境整備と商品カスタマイズのヒント』
でお話ししたように、先ず、自社のビジョンや将来像から、事業全体の流れを把握して、その中で現在最も改革が必要(効果が大きい、ある日は緊急性の高いボトルネック)を特定して、社内全体で全体と改革箇所の関係、その後の流れを共有し、それから改革に着手する事が、全体最適と個別着手のバランスを取る上で先ずは必要になるかと思います。
この時点で、経営デザインシートとSWOT分析の組み合わせは、全体感を持つ事、個別のプロセス間の関係を検討する為に有効なツールとなります。
その上で、以下の記事の様に、自社内、あるいは自社が属しているバリューチェーンの上流と下流に改革を広げていく事で、無理なく、かつ全体の整合性も取りつつ改革を進める事が期待できます。
『契約マネジメントシステム、ホームズクラウドが電子契約機能の強化を目的にクラウドサインを標準実装開始』
2020/11/26の株式会社Holmesのプレスリリース。
⇒電子署名を中心に業務の上流と下流にサービスを拡大する動き。
プラットフォームの構築方法としても関心を惹く次第です。
● 改革をリアルタイムで体系化していく
改革が終了、あるいは一段落してからの体系化も必要ですが、その前に、あらかじめマイルストーンを設定し、その時点ごとに知見をまとめて、実施視している部署だけでなく、前述の全体像に落とし込んで社内で共有する事も効率的かつ柔軟な対応を取る上で有効かと思います。
この点でも、経営デザインシートなどにより、改革の全体像とそこに至る道筋を明確しておく事は、大変有効な手段として検討をお勧めする次第です。
『経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)ー首相官邸サイトー知的財産戦略本部』
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