トランプ大統領のパリ協定離脱に見る「漁夫の利」の機会
● トランプ大統領のパリ協定離脱宣言
既にニュースでもご案内の通り、6月1日、トランプ大統領は、「パリ協定離脱」を宣言しました。
海外からは、おしなべて遺憾の意を表明し、
さらに、トランプ氏が、再交渉に言及しているのに対して、
グランス、ドイツ、イタリアの首脳は連名で協定は再交渉できない
との声明を出しています。
● 米国のパリ協定離脱で漁夫の利を得た国は?
このニュースに対して、他国の影響という点で参考になったのが、
北野幸伯氏のメルマガ「ロシア経済ジャーナル」でした。
「トランプの「パリ協定離脱宣言」を、習近平が大歓迎する理由」
http://archives.mag2.com/0000012950/20170604000000000.html?l=roc138dce3
北野氏は、メルマガの中で、実態として中国はCO2排出を削減するの
は難しいだろうが、今回の米国のパリ協定離脱で、環境問題について
も、国際世論上、米国よりも有利に立ち、「漁夫の利」を得たと
指摘しています。
北野氏のHP
http://rpejournal.com/
● 企業にとっての「漁夫の利」
米国のパリ協定離脱宣言が日本の各産業に与える影響は、業界に
よっても多様であり、予測し、対応することも当然ながら重要ですが、
今回の米国と中国の立場に関する北野氏の見解を読んで、
企業における「漁夫の利」を、得る立場と与えてしまう立場の双方に
立って考えることの重要性も改めて感じました。
「足の引っ張り合い」に陥ることは避けるべきだと思いますが、
自社の顧客や取引先との競合他社との関係の変化、
自社が顧客や取引先との関係でトラブルを生じたときに、競合に
与える影響などについて、リスクとチャンスの両面から検討しておく
ことは、環境変化の想定と並んで重要ではないかと思います。
知的資産経営報告書の作成では、SWOT分析を行いますが、
その際のOT(機会と脅威)の分析においても、上記の「漁夫の利」
の視点を入れておくことは有効と考える次第です。