ノートルダム大聖堂の大火災にみる文化財保護の資金調達へのデジタル化やブロックチェーンによる貢献

ノートルダム大聖堂

【今日のポイント】

2019/4/15に発生したノートルダム大聖堂の火災事故。

建物に大きな被害を出した模様です。

貴重な文化財保護のための資金調達、マネタイズニーズの高まりと、デジタル化やブロックチェーン、3Dプリンターなどの新技術がそのニーズに貢献することへの期待が高まっていることが窺えます。

● 2019年4月15日のノートルダム大聖堂の火災

既に以下の記事の他、多くのメディアが報じているのでご案内のとおり、パリ中心部にある世界遺産のノートルダム大聖堂で火災が発生し、尖塔が消失するなどの大きな被害が出ました。

『ノートルダム大聖堂の火災、朝までに鎮圧 尖塔と屋根が崩落』

2019/4/16 のBBCの記事。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『フランス・パリ中心部にあるノートルダム大聖堂で15日夕に発生した大規模な火災は、16日未明、発生から約9時間後にほぼ消し止められた。

2棟の塔など大聖堂の主要な構造は焼失を免れたが、尖塔と屋根が崩落した。』

「茨の冠」を始め多くの美術品などは無事だったようですが、尖塔や12世紀のパイプオルガン、屋内装飾などは大きな被害を受けたことが報じられています。

一刻も早い、再建を願うばかりです。

● 文化財保護のための資金調達と文化財によるマネタイズニーズの高まり

今回の記事からは、「文化財保護のための資金調達と文化財によるマネタイズニーズ」が今後更に高まって来ることが予想されるかと思います。

上記のBBCの記事では、老朽化した大聖堂の改修の費用捻出のため、フランスのカトリック協会が寄付を募っていたことも記載しています。

日本国内に目を向けると、
今回のノートルダム寺院の火災を受けて、文化庁が日本の世界文化遺産を構成する国宝・重要文化財の防火管理状況を調査し、建造物への自動火災報知設備などの設置率が99%以上に上っていることを明らかにしたとのことの記事が、2019/4/26の時事ドットコムニュースに掲載されていました。

『防火設備の設置率99%=世界遺産の建造物-文化庁』

一方で、2019/4/16の毎日新聞は、世界遺産に登録後の文化財に大きな火災は起きていないが、国指定重要文化財は2009年に横浜市の「旧住友家俣野別邸」、12年に岡山市の「金山寺(かなやまじ)本堂」が全焼し、さらに防火のための補助金も年々減少していることを報じています。
『国内の世界遺産、大規模火災なし 防災補助金は年々減少』

このような状況の中で、以前『出開帳や展示会に考える、文化財保護のマネタイズへの新技術適用方法』 でお伝えしたように、
2019年2月には、我孫子市の中里薬師堂にまつられている、補助金や市民の寄付金で保存修復を進めてき市指定文化財の仏像を、十六~十九日、JR我孫子駅北口のイトーヨーカドー内にある市民プラザギャラリーで「出開帳」されることを報じています。

一方で2019/2/5に中日新聞が、「利家ゆかり 神社閉鎖 参拝減「収入1000円の年も」」
との題で、加賀藩祖の前田利家が本堂を建てたと伝えられる金沢市寺町の八阪神社について痛みが激しく、改修費用の工面も困難なことから解体したいという宮司側と、文化財として改修・保存を希望する市が話し合いを続けているとの記事などから、日本でも、一部の人気のある神社仏閣を除けば檀家や参拝客の減少など、神社仏閣などの文化財が置かれている経済状況は厳しいことが窺われます。

● 文化財保護のための資金調達(マネタイズ)ニーズの高まりへの新技術による対応

このような、文化財保護における資金調達や文化財を活用したマネタイズのニーズの高まりに対して、上記の本ブログトピックスでも紹介した以下の記事のように、お賽銭や祈祷料などのキャッシュレス化や、企画に共感したら友人同士でお金を集めるアプリ「polca(ポルカ)」スポーツチームをブロックチェーン技術を使った投げ銭コミュニティで応援する動きなどが始まっています。

『おさい銭もキャッシュレス?!スマホ決済できる神社一覧【2019】』

『投げ銭もデジタル時代 スマホアプリで手軽に夢を応援 「つながる面白さ」 交流のきっかけに』

『エンゲートがスポーツチームとファンをブロックチェーンでつなぐ”投げ銭コミュニティ”を9月に提供開始』

以前、『葬儀ビジネスフェアにみる「必ず通過するイベントという市場機会」』 の中でご紹介したように、XRとネットでの投げ銭システムによるバーチャル参拝も今後は進むものと予想されます。

このように、神社仏閣に限らず、文化財の保護に必要な資金を確保するためのマネタイズに、AI・IoT、XRが重要な役割を果たしていくものと考えられます。

また、不幸にして被害を受けた文化財の修復等については、

2019/4/16のWIREDの記事『火災に遭ったノートルダム大聖堂の「未来」は、遺されたデジタルデータが握っている』 

や、以前の本ブログ『3Dプリンターによるバチカン衛兵のヘルメットにみる伝統的デザインの活用方法』でご紹介した3Dプリンターによる16世紀のオリジナルのデザインの再現の事例にみるように、

文化財が無事なうちに文化財のデジタルアーカイブ化を進め、修復時には3Dプリンター等を活用して再現するというように、デジタルアーカイブ化と3Dプリンティングの組み合わせなどにより、文化財の保護・再現が進むことを期待する次第です。

 

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