HPのリーガルテック企業買収の訴訟にみる、データと現場把握を統合する分析手法の必要性
【今日のポイント】
HPのリーガルテック企業オートノミーの買収劇は、両社の訴訟合戦となりましたが、中小企業にとっても、規模は違えど、事業提携やM&Aにおいて、事前のデューディリジェンス等によるデータ中心の調査と、M&A後も含む現場の把握とマネジメントの重要性が窺える事例と考える次第です。
2020/3/13の一日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
HP社は以下の記事にみるように、この案件以前にも積極的にM&Aを繰り返すなかで、訴訟等のトラブルも多く抱えていたようですが、今回のトピックスからも、M&Aの難しさ、メリットだけでなくリスクも大きいことを改めて感じさせられた次第です。
『経費削減とM&Aで売上を増加させたHP業界に多大な影響を与えた現存メーカー』
2020/1/17ASCIIデジタルの記事。
●リーガルテックと現場把握を統合するデューディリジェンス手法+コーポレートガバナンスの手法の導入が進む
上記の記事からは、「リーガルテックと現場把握を統合するデューディリジェンス手法+コーポレートガバナンスの手法の導入が進む」ことが予想出来るかと思います。
自社で設立する際やM&A、特に海外子会社の設立後の本社からの支援や管理は重要かつ難しいですね。
以前、外部の委員会で、海外子会社への本社の知財・法務部門の関わり合い方について調査検討を行ったことがありましたが、グローバルに活動している企業でも、各社各様の体制やマネジメントシステムを持ちつつ、様々な課題について試行錯誤していらっしゃいました。
HPが買収したオートノミーは、eディスカバリーソフトウェアの企業だったようで、当時相場より高い価格で買収して一転巨額の損失を計上したというのはなんとも皮肉なことだと感じます。
(以下の記事では、2014年に、日本HPは、オートノミーが開発したインフォメーションガバナンス製品のラインアップ拡充を報じています)
『訴訟プロセスに対応、IDOLの検索・分析機能と連携―日本HP、インフォメーションガバナンス製品のラインアップ拡充』
『「最悪の買収」を裏づけたHPの減損処理、巨額赤字、不正会計 存亡の機、金融取、売上高半減』
また、海外企業の買収の失敗という点では、東芝のウェスティングハウスの買収が思い出されますが、海外子会社の管理は、現場の状況(開発力、販売力や会計・財務状況、経営層や従業員のモラル、モチベーションなど)の把握が難しいので、権限移譲による自主性や敏捷性との両立は非常に困難なことが窺えるかと思います。
『東芝を沈めた原発事業「大誤算」の責任米子会社破産なら損失1兆円PRESIDENT 2017年4月17日号』
上記のような事例を見ると、M&Aの検討時のデューディリジェンス、買収後の企業統治の双方で、データだけでなく、現地の状況を把握し、国内と同様に管理できる手法のニーズは高く、その開発も今後更に進むことが予想できるかと思います。
これという一般解は中々見つけられませんが、この試行錯誤しつつ日々現状把握と改善を繰り返していく事が必要であり、また事前のデューディリジェンスの段階も含めて相互のコミュニケーションを活性化することが、非常に大切ではないかと感じます。
なお、ネットでのデータ収集と、五感を使った実際の現状の把握の双方が必要というのは、企業のM&Aだけでなく、個人のネット通販やSNSでの情報収集などにおいても意識すべきことであり、それをサポートするサービスのニーズとビジネスチャンスもあるものと考える次第です。
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