スターシップの打ち上げなどにみる、トライ・アンド・エラーの重要性とサイクルの加速
【今日のポイント】
今年4月のSpaceX社によるロケットの打ち上げは惜しくも失敗に終わりましたが、貴重な知見を得られたと同社が捉えていることも報道されています。
イノベーションを起こす上で、トライ・アンド・エラーを素早く回すことと、そこから得た知見を活用する仕組みをプロジェクト設計時から整備しておくことの重要性もまた高まっていると感じた次第です。
【目次】
1.スターシップの打ち上げ失敗
2.トライ・アンド・エラーのサイクルを、デジタルツインなどのDX技術とデータベースが加速、普及させて行く
3.トライ・アンド・エラーのサイクルを回す仕組みとそこから得た知見を自社の知的資産として蓄積・活用する
今年4月の、SpaceX社の無人ロケット「スターシップ」の打ち上げ失敗については、
以下の、2023/5/2の、1日5分ビジネス英語やBBCなど、各社が報道しているのでご存知の方も多いかと思います。
『スターシップの打ち上げ 歓声から爆発まで Starship Blastoff: From Cheers to Explosion』
https://matt-english.com/podcast/2023050
(引用は『』でくくります。改行は筆者挿入。以下同様。)
『イーロン・マスクは、スターシップ1号機の爆発事故にもかかわらず、未来に対して前向きな姿勢を崩していません。
彼は、今回のリフトオフの成功を、重要なステップであり、次のスターシップ打ち上げのための貴重な学習経験であると考えています。”私たちは文明の中で、複数の惑星を持つ種族になることが可能な、この短い瞬間にいます。それが私たちの目標です。チャンスはあると思う」と語った。』
『スペースXの大型宇宙船「スターシップ」、試験打ち上げで爆発』
2023/4/21の、BBCの記事。
https://www.bbc.com/japanese/65345207
⇒各記事とも、今回の失敗に対して、スペースX(イーロン・マスク氏)は、最終的な成功への1ステップとして前向きに捉えていることを報じており、同社のチャレンジは今後も続くため、その前進に期待する次第です。
2.トライ・アンド・エラーのサイクルを、デジタルツインなどのDX技術とデータベースが加速、普及させて行く
上記の記事や、様々なイノベーションの事例からは、
「失敗をトライ・アンド・エラー(試行錯誤)の一プロセスとして捉えて努力と工夫を続ける重要性は今後も変わらず、そこにデジタルツインなどのツールが加わって、このサイクルを加速、普及させて行く」事が予想できるかと思います。。
以下の、NetflixのDVDの記事も、失敗ではなく事業変化への対応と考えれば、前向きな姿勢での事業改革の一部と見る事も可能かと思います。
『Netflix、ルーツであるDVDレンタル事業を年内終了へ』
2023/4/19の、ITmedhiaNEWSの記事。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/19/news082.html
(引用は『』でくくります。改行は筆者挿入。以下同様。)
『同社は1997年に、1月にCEOを退任したリード・ヘイスティングス氏がマーク・ランドロフ氏と共同で設立した。
その段階ではレンタルDVD企業だった。
月額約29ドルで1度に3作品借りられるという当時画期的なサービスで、急速にサブスク会員を増やした。』
⇒ ネットフリックスは、「コンテンツは多様化(発散)、商流はオンラインに集約」という方向性を持っていると、上記の記事からも感じています。
現在オンラインのデバイスも、スマートフォンやタブレット・TVまで広がっているため、DVDなどの録画媒体と較べて、ユーザー層や流通コストの面でオンライン側の優位性が高まる傾向は今後も続くかと思います。
今回紹介した、スターシップの打ち上げに限らず、
イーロン・マスク氏の事業も決していつも順調に進んできたわけではなく、多くの課題をトライ・アンド・エラーで乗り越えてここまで来たものであり、それは他の分野の成功者も同様かと思います。
そして、不確実性の高い時代において、今回の記事やBBCの記事に記載されているスターシップの打ち上げ失敗をポジティブに捉える姿勢や、
以下の記事の失敗学の様に、失敗も学びの一つの過程として最初から織り込んでおくためのプロジェクトマネジメント手法やデータベースと、
デジタルツインの様に種々の要因を変えつつ織り込んで試せるシミュレーション技術なども後押ししつつ、
あらゆるイノベーション創出の場面で、トライアンドエラーのサイクルが更に加速されて進んで行くものと感じる次第です。
『- 失敗知識データベース:科学技術分野の事故や事例: 失敗知識データベースとは』
学校法人関西大学の、関西大学図書館WEBサイトより。
https://kansai-u.libguides.com/c.php?g=753393
3.トライ・アンド・エラーのサイクルを回す仕組みとそこから得た知見を自社の知的資産として蓄積・活用する
今回の、スターシップやNetflixに限らず、トライ・アンド・エラーを繰り返しつつ、新規事業の創出や既存事業の改革を進めることは、各社がすでに取り組んでいることですが、
その際に、最初から失敗=エラーの発生を前提として、そのエラーを知見に変え、蓄積して活用する仕組みを整備し、運用することが必要であり、かつデジタル技術などにより、その仕組みを構築する方法・サービスも、
『AIによる契約書チェック機能にみる、自社のナレッジマネジメントの進化の機会』( https://wp.me/p9D2bS-1uf )でご紹介した、AIによる契約チェックサービスによる過去のノウハウ活用などのように、かなり利用範囲が広がってきています。
そして、
『「進化思考」~「温故知新」と「不易流行」による螺旋的発展と生き残り戦略』( https://wp.me/p9D2bS-24y )で紹介した
「PTEF(予測(仮説)⇒トライ&エラー⇒フィードバック)のサイクルと進化」、
『未来予測と、バックキャストでの課題設定の連携方法は?』( https://wp.me/p9D2bS-22Nhttps://wp.me/p9D2bS-22N )でお話した、
「設定した課題に取り組んで行く際に、対象が不確実性の高い未来予測に基づく課題であるため、取り組んでいる間にも、PDCAやTECA(トライ・アンド・エラー⇒チェック⇒アクション)等のマネジメントサイクルを、今までよりも細かい周期で素早く回して、仮説構築と検証をくりかえす必要性」、
『日本の防災新幹線にみる、弱みを強みに変えるためのトライ・アンド・エラーの重要性』( https://wp.me/p9D2bS-1yf )でお伝えした、
「我が国の天災などの弱みを、従来我が国が持っている、高品質や信頼性などの強みと組み合わせて強みに変えるために、仮説と検証のサイクルを他者より早く、低コストで効率よく回す必要性」
などの視点も含めて、小さく、早くトライ・アンド・エラーのサイクルを回しつつ、各サイクルで得た知見をデータベース化して組織内で共有することが「見えない強み」である知的資産を構築する上で重要であり、
また、そのデータベースには、【社会や技術、市場などの外部環境】も含めて成功・失敗の要因をフォーマット化して記録しておくことをお勧めする次第です。
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