「日本に仲裁機関設立へ」に考える海外紛争解決が自社に及ぼす影響
● 知財の国際紛争解決向け、日本に仲裁機関設立へ
2018/8/14の読売新聞に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『知的財産を巡る企業間の国際紛争の解決に向け、日米欧などの知財の専門家が連携し、9月中にも常設の仲裁機関を日本に設立することが分かった。先端技術の発達で知財に関する紛争が増える中、当事者間で早期解決を図る仕組みを整え、ビジネスの円滑化につなげる。知財立国を掲げる政府も活用促進に向けた支援を行う。』
と、知的財産に関する国際紛争を解決するため、常設の仲裁機関を日本に設立する動きがあるとのことです。
残念ながら、今はWebには載っていないようですが、同様の記事は、2018/6/27の日経新聞にも掲載されていたので、今後の動向に注目したいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32323330X20C18A6MM8000/
● 海外での紛争リスク、法的リスク
海外で事業を行うときや、日本国内でも海外企業と取引や事業提携をおこなうときに、不幸にして紛争となった場合、
例えば米国での裁判では、ディスカバリー制度(紛争に関連する証拠を全て開示させられる制度)や高額の弁護士費用など、多くのデメリットが出てきます。
中国では、色々な強行規定があって、企業同士の契約ではリスクを回避できないことも多いなど、国によって紛争時のリスクや法的リスクは異なってきますが、はやり日本企業にとっては国内で紛争解決することが望ましい事は言うまでもありません。
また、日本で仲裁としておけば、海外企業が気軽に訴訟を起こせなくなるので、訴訟提起の抑止力にもなります。
残念ながら、現時点では日本の仲裁機関はあまり利用されていないようですが、今後、日本国内の紛争解決手段が充実してくれば、自社だけでなく、自社の取引先が海外紛争に巻き込まれるリスクの低減にも繋がりますね。
● バリューチェーン全体でのリスク管理
各国の独禁法、貿易管理に関する法規制、知的財産や労働者に関する法規制など、紛争にかかわる規制や制度の変更も、思わぬところに波及する可能性が高いので注意が必要です。
取引先を含めてバリューチェーン全体で紛争に巻き込まれるリスクを考える必要がありますね。
強行法規など、契約に優先するものもありますが、リスク管理の一つとしての契約の重要性はやはり大きいものがあります。
海外との契約については、各国法制度など、非常に高度な専門性が要求され、専門家の支援が必須となりますので、自社事業が自分の経営戦略、または取引先との関係から海外展開を進めることになった際には、早め早めに行政やJETROなどの相談窓口などを活用して、リスク管理の準備も進める必要があると考える次第です。
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