アマゾンへの公正取引委員会の立入検査にみる「コスト・マネジメント」と「リスク・マネジメント」のアナロジー
● アマゾンに立ち入り検査 公取委、独禁法違反の疑い
2018/3/15の日経新聞に、表記の記事が掲載されていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2815184015032018MM0000/
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が、同社の通販サイトに出品する事業者に値引き販売した額の一部を補填させていた疑いがあるとして、公正取引委員会は15日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)容疑で同社を立ち入り検査した。』
値引き販売の原資を取引先に負担させていた、つまりは「値引きコストの付け替え」とも言えるかと思います。
● 「コストの付け替え」と「リスクの付け替え」
値引きコストの付け替えだけでなく、中間業者に在庫を持たせる「在庫コスト」「運送コスト」の付け替えなども、コンビニや製造業などでは行われていますね。
これらの方法は、バリューチェーン全体のコストを下げるものではなく、自社のコストを他に転嫁しているので、今回のように、一方的な転嫁につながると法的なリスクも発生してしまいます。
ところで、
リスクマネジメントのなかで、リスクの対応策には、
回避、転嫁、軽減、受容の4種類がありますが、
この内の、リスクの転嫁は、例えば保険を掛けることで、金銭的な損失のリスクを、他者(この場合は保険会社)に転嫁するものであり、いわば「リスクの付け替え」とも言えますね。
この場合、リスクの総量は変わらないことに注意が必要です。
それどころか、2009年の「サブプライム住宅ローン危機」のように、
リスクが見えにくくなることで、かえってリスクの総量が膨らみ、大きな問題を引き起こすことも出てきます。
同じ様に今回の事例のような「コストの付け替え」もコストの総量は変わらず、負担者が変わるだけであり、リスクマネジメントの対応策である「リスクの回避」や「リスクの低減」には相当しないものであるところに、原因を求めることが出来るかと思います。
● リスクマネジメントの手法からビジネスモデルを考える
最近、「商品・サービスのイノベーション」に加えて「ビジネスモデルのイノベーション」の重要性が語られています。
ビジネスモデルを9つの要素に分類し、それぞれが相互にどのように関わっているのかを図示するビジネスモデル・キャンパスなどの手法なども色々と提案されていますね。
『「AI、ITでの当たり前」をリアルに-新しい螺旋的発展の起点』
https://wp.me/p9D2bS-vu
で、
Eコマースなどのビジネスモデが、今後のリアルのビジネスにおいて、螺旋的発展の新しい起点(お手本、出発点)になっていく動きについてお話しましたが、
ビジネスモデルの進化=イノベーションにおいて、それが単なる「コストの付け替え、転嫁」となっているのか、バリューチェーン全体にわたってコストを低減するものになっているかといった、リスクマネジメントにおけるリスク対応策とリスクの総量との関係と同様の視点が必要であることを、今回のアマゾンの記事から改めて感じた次第です。
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