イスラエルの「交通状況の先読み」サービス開発に想う、スマートシティの影響予測

●　交通トラフィックを先読みする

2017/12/27に、表記の題名で、自動車の運行に関する様々なデータを総合的に分析することで、スマートシティの実現への貢献を目指す、イスラエルのスタートアップ「Waycare」が紹介されていました。

https://wirelesswire.jp/2017/12/62832/
（引用は「」でくくります。　改行は筆者挿入、以下同様）

「公道に敷設されている電磁誘導式やマイクロ波、カメラによる交通トラフィック監視システムだけでなく、気象情報、公共交通機関の運行状況、工事や事故の情報、コンサートやスポーツなどのイベント情報、さらには車載機器やモバイル・アプリから受け取る情報などをリアルタイムで総合的に分析する。

これにより、交通信号が変わるタイミングを調整したり、最高制限速度をリアルタイムに変更することでトラフィックの流れをスムーズにすることができる。また、交通事故の発生の可能性が高い場所を特定して、警察機関などに注意を喚起することも可能だ。」

と、ＩｏＴを駆使して交通に影響を与える種々のデータを収集・分析し、リアルタイムで情報を関係機関に提供したり、信号機などをコントロールすることを可能にするシステムを開発しているようです。

インフラにおけるリアルタイムでの情報分析と制御は、スマートシティのインフラとしてもよく採り上げられるエネルギーシステムではリアルタイムで電力価格を変動させて、受給制御を行うシステムなどがありますが、スマートトランスポート等と呼ばれる、交通インフラにおいても、色々な企業が技術開発やビジネスモデルの構築に取り組んでいますので、その動きはめまぐるしいものがありますね。

●　スマートシティのプラットフォーム

以前、「経産省のスマートコミュニティ事例集の使い方」https://wp.me/p8EI7Z-bl　などでご紹介したとおり、日本でも幾つかのスマートシティ（スマートコミュニティ）への取り組みが既に始まっていますが、海外の動きは日本以上に早く、幅広いものがあると感じています。

実際に欧州などで進んでいるものとして、街灯などの照明をLED化し、さらにセンサーと通信機能を付加して、駐車場や防犯灯、電気自動車の充電ステーション、携帯通信の基地局など、LED街灯に複数の機能を持たせるスマート照明などの取り組みが挙げられますが、交通というのも以前からスマートシティの重要な取り組み対象とされているので、東京オリンピック・パラリンピックにおけるスマート化など国内外の動きは目が離せませんね。

こういったスマートシティのプラットフォームとしては、センサー系、通信系、制御系、そしてこれらの情報を分析し制御するコントロール系など複数の階層がありますが、これらのプラットフォームが統合される方向に行くのか、ある程度分散しながら相互に連携する方向に行くのかは、国や地域、分野によっても一概にその傾向を予測することは困難かと思います。

ただし、交通の制御の高度化にも多種多様な情報が必要であり、逆に今まであまり関係が無いように考えてきた情報を採り入れることが進む中で、スマートシティにおけるプラットフォームの概念が広がって行くことは間違いないところかと感じるところです。

●　自社への影響の拡大を想定しておく

「「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」にみる中小企業の活路のヒント」
https://wp.me/p8EI7Z-gs　を始め、何度かお伝えしているように、
少子高齢化や省エネルギー・環境問題、地方創生などの社会課題から、スマートシティやコンパクトシティは、これらの課題のソリューションとして重要性を増してくると考えております。

交通システムがスマート化された時に、交通の流れなどが変わることで、その地域の、特に中小企業の商圏が大きな影響を受ける可能性は高いですね。

このように、スマートシティのように社会インフラ全般に影響を及ぼすスマート化は、思わぬところで、自社の事業環境に影響を及ぼす可能性があります。

また、ＡＩ・ＩｏＴなどの新技術は、国境を越えて適用先が広がってくるので、海外の取り組みが、国内に波及してくる可能性とスピードも高くなってくることを想定する必要がありますね。

このように、幅広く、今は中々想定できないような影響を及ぼすスマート化という流れも、ＡＩ・ＩｏＴのように今後モニタリングしていくために、普段からネットなどでアンテナを張って情報収集するとともに、
知的資産経営報告書の作成・更新の機会を活用して、自社への中長期の影響を検討することは、今後重要性を増すものと考える次第です。

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