日本弁理士会の、「知的財産経営センター」(続き)
知的財産経営センターに関する記事から
先日、日本弁理士会の知的財産経営センターについてお話しましたが、
産経Bizでも、
「【生かせ!知財ビジネス】動き出した弁理士会(下)新業務の探索を開始 」
との題で採り上げられています。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/170421/cpd1704210500005-n1.htm
この記事の中で、特に印象に残ったのが、以下の2点です。
「利用者ニーズと弁理士の10年先の姿を見据え、弁理士が関与を深める可能性がある新規業務分野を探索し、ビジネスモデルのあり方や普及、人材育成方法などについて研究していく。」
「「知財金融」と「弁理士周辺の知財関連ビジネス」の2分野が候補」
・従来やっている業務=自分が得意で、かつお客様等に認知されている業務の周辺で新規事業を考えること、
かつ
・利用者の将来のニーズを起点にして、利用者=お客様との関係性を深められるようなビジネスモデルを考えていくこと
この2点が重要なことは、士業でも、他の業界でも同様ですね。
レッドオーシャンからレッドオーシャンへ
記事中では、今回の日本弁理士会の動きの背景として、サービス競争の激化が指摘されていましたが、
従来の事業分野への新規参入によるレッドオーシャン化を理由に、周辺事業へ展開するときには、その周辺事業の選び方と展開方法に注意が必要です。
なぜなら、
自分にとっては新規市場でも、既にそこには既存の事業者が居ること場合が多いからです。
別の業界の例では、昨年度の電力に続いて、今年度は都市ガスの小売も自由化された、エネルギー業界では、お客様を獲得するために、サービス競争が始まっています。
その中で、生活周りのサービス(水回りのトラブル対応など)とのセットは、エネルギーそのものではありませんが、お客様の日常生活に関連するという意味で、親和性が高い事業への展開の一つかと思います。
しかし、ご案内の通り、この分野では既に既存の生活周りのトラブル対応を専門にしている事業者や、「すぐやる課」が話題になったように、行政がサービスを提供している場合もありますね。
レッドオーシャンから抜け出るためにブルーオーシャンに入ったと思ったら、そこもレッドオーシャンだったというのでは、目も当たられないことに合ってしまいます。
新たなレッドオーションに飛び込むことにならないために
周辺事業に参入する場合でも、やはりお客様に選んで頂くための差別化が必要ですが、
その起点では「お客様のニーズ(困りごと、喜び)の深掘り」と「自社の強み、独自の知的資産の把握・構築」の間を何度も行き来してつなげていくる作業が必要です。
ニーズの深掘りでは、既存事業者と違うニーズの捉え方(弁理士さんの例では、お客様の技術開発の悩みを、技術の調達という視点から捉え直す)が重要かと思います。
自社の知的資産側からの検討では、現在の知的資産を活かすために、新たな関係が作れないかとの視点から、自社が参入する市場の既存事業者と競合関係でなく補完関係に立てるようなビジネスモデルを考え、新たな関係資産を構築するという検討も一つの方法と考える次第です。