「宇宙ゴミの掃除ベンチャー」にみる「プレーヤーと受益者のギャップ」という市場機会を見つける方法

宇宙衛星 ゴミ ビジネス

● 宇宙のゴミを掃除する日本のベンチャー「ASTRO SCALE」

2018/5/3のバイリンガルニュース(英語と日本語でニュース解説を行うポットキャスト)で、宇宙のゴミ(スペースデブリ)問題に取り組むベンチャー企業の株式会社アストロスケールのマーケティングマネージャー 田口優介氏をゲストに迎えて、同社の取り組みを紹介していました。

http://bilingualnews.libsyn.com/314-taguchi-050318

(同ポッドキャストのフェイスブック記事 https://www.facebook.com/BilingualNewsPodcast/

田口氏は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で宇宙飛行士の訓練インストラクターを勤めていて、その後アストロスケールで活躍されているとのこと。

上記のポッドキャストでは、JAXA時代からアストロスケールとスペース・デブリについて、大変興味深いお話が伺えます。

同社の概要 (https://astroscale.com/ja/about-astroscale/company-overview/)では、

アストロスケールは、人工衛星の寿命延長や運用終了時のデブリ化防止などのライフサイクルマネジメントの面も含めて上記のゴミ問題に取り組んでいます。

このような宇宙のベンチャーが日本から生まれているというのは心強いですね。

 

● スペース・デブリへの取り組み

上記のリリース記事には、

宇宙開発に伴って急増するスペース・デブリが問題となっていることを述べています。

2018/01/17の1日5分ビジネス英語』( https://matt-english.com/category/podcast )でも

「宇宙ごみを取得する新しい衛星 New satellite to capture space debris」

との題で、サリー・サテライト・テクノロジー社の宇宙ゴミ回収衛星の開発を採り上げています。

https://www.wisdomsq.com/contents/bepod/20180117.html

この宇宙ゴミ回収衛星の動画も掲載されていますが、宇宙のゴミを網や銛を使って回収するという、大変面白いものでした。

https://youtu.be/7CEH9V9psKY

 

● プレーヤーと受益者が異なる故のギャップ

バイリンガルニュースでの田口氏のコメントの中で、スペース・デブリ問題の難しさとして、
衛星を打ち上げる主体は主に各国政府機関だが、GPSなどの衛星によるサービスの受益者は民間であり、そのどちらがこのスペース・デブリについて責任を持つべきかという議論が、課題の一つとなっている。
という指摘がありました。

このギャップは、環境問題などにおける、いわゆる「外部経済化」の問題と捉えることが出来るかと思います。

外部経済に起因する問題の解決(内部経済化)の一つには、環境規制など法規制による強制力がありますが、法規制と技術開発の双方の進展の中に、今回のアストロスケールのような、新規ビジネスのチャンスも生まれてくることを、田口氏も述べています。

 

● 「ポテンヒットを防ぐ」眼で市場機会を見つける

プレーヤーと受益者が異なるというのは、環境問題だけでなく、グーグルなどのオンラインサービス(広告収益モデル)でも同様の構造がありますね。

従って、そこに何らかの問題が生じた際に、誰がその問題の解決に費用を負担するなどの責任を負うのかという問題は、これからのネットサービス拡大の中でも色々と生じてくるものと想定されます。

そうした問題で「ポテンヒットを防ぐ」という視点で自ら手を挙げて問題に取り組むことが、新規市場を見つける一つの手段になるものであり、アストロスケールもそうやってブルーオーシャンを見つけたと言えるかと思います。

そして、知的資産経営におけるSWOT分析や価値創造ストーリー作成の際にも、上記の視点で自社とその周りの問題を見直してみては如何かと考える次第です。

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「宇宙ゴミの掃除ベンチャー」にみる「プレーヤーと受益者のギャップ」という市場機会を見つける方法” に対して1件のコメントがあります。

  1. ゴッちゃん より:

    『団塊世代の我楽多(がらくた)帳』ブログのhistoria様より、以下のトピックスをご紹介いただきました。
    『「宇宙ゴミ掃除をビジネスにする話」ダイスケ氏の小説と岡田光信氏のビジネス!』
    https://skawa68.com/2019/09/27/post-22673/

    宇宙ゴミへの取り組みについて、詳細に解説されています。
    historia様、どうも有難うございます!

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