富士フイルムのモノクロフィルム復活にみるアナログとデジタルの切磋琢磨

jlxpによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

富士フイルム白黒フィルムの販売を再開。そこには、SNS世代からの復活要望も数多く寄せられたとのことです。

「デジタル技術とネット利用の進化が、アナログにも技術革新を促しつつ取り込んでいく流れ」、いわば「アナログとデジタルの切磋琢磨」という「螺旋的発展」の事例として、他分野でも同様の復活が起こり得るものと考える次第です。

黒白フィルムの販売を今秋より再開世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現で超高画質を実現 黒白フィルム「ネオパン100 ACROS(アクロス)II」 新開発

2019/6/10に富士フイルムはリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

 

『富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現で超高画質を 実現し、幅広い分野の撮影に適した、黒白フィルム「ネオパン100 ACROSII(以下、「アクロスII」)」を新たに 開発しました。

2019年秋に、35mmサイズ、ブローニーサイズの2種類を発売する予定です。

当社は、黒白フィルムの需要の減少と、生産に欠かせない原材料が入手困難になったため、黒白フィルムの販売を昨秋に終了いたしました。

しかし、フィルム愛好家をはじめフィルム独特の風合いによる写真を好むSNS世代の若年層の方を中心に、当社の黒白フィルムの販売継続を望む声が多く寄せられたことを受け、あらゆる角度から販売再開に向けた検討を進めてきました。入手困難になった原材料の代替品の研究や新たな原材料に合わせた製造プロセスの抜本的な見直しにより、このたび、黒白フィルム「アクロスII」の開発に成功しました。

富士フイルムの2019/6/10のリリースは、このモノクロフィルムの復活について、フィルム愛好家だけでなく、SNS世代の客年層からも多くの要望が寄せられたと伝えています。

デジタルの品質アップユーザーの感性面の要求レベルアップアナログによるニーズ充足デジタルへのニーズアップと技術レベルアップの循環による螺旋的発展が起きていることが窺われるかと思います。

 

アナログとデジタルの切磋琢磨

今回の記事と、先日の『リクルートのスタディサプリにみる顧客生涯価値の高め方』からは、「デジタル技術とネット利用の進化が、アナログにも技術革新を促しつつ取り込んでいく流れ」、いわば「アナログとデジタルの切磋琢磨」が窺われるかと思います。

リリース記事の『SNS世代』という表現から、デジタル画像の高画質化によって写真の品質に対するユーザー側の要求レベルが高まり、フィルム写真の風合いへの関心とニーズにつながっていった可能性は高いものと推測されます。

また、フィルム写真のプリントのサービスインフラが維持されているだけでなく、フィルムで撮った写真のDVD化など、アナログとデジタル間の変換技術も高度化し、フィルム写真をSNSなどで利用することも可能になっていることも、今回のモノクロフィルムのニーズにつながっているものと考えられます。

富士フイルムのプリントサービスサイト

富士フィルムの写真を変換する(フジカラーリメイクサービスほか)サイト

上記は富士フィルムの例ですが、

先日のトピックスで採り上げた教育関連では、リクルートのグループ会社が、オンライン教育の統一ブランド「スタディサプリ」について、2018/8/6に株式会社リクルートマーケティングパートナーズは以下のリリースを発表しています。

『新たな学びを提案する専門情報誌『スタディサプリ社会人大学院』86日に発売』
こちらの方も、学生向けの多くの学習コンテンツを統合する中で、以下の記事のようにデジタルコンテンツの使い勝手を高める工夫をしつつ、元々リクルートが就活支援事業を始める際から行っている就活雑誌などアナログの情報誌の世界を取り込んで行っている様子が見て取れます。

『『スタディサプリ』講義動画の「講師の声」を検索可能-「見たい講義」を瞬時に検索、学習者の利便性向上に寄与』
2019/6/14株式会社リクルートマーケティングパートナーズのリリース。

上記のように、デジタル技術が進み、SNSなどネットでのコンテンツ活用が活発化することで、アナログを駆逐するのではなく、アナログ自身の技術革新を促しながら取り込んでさらに進化していく流れ、「アナログとデジタルの切磋琢磨」が見えているかと考える次第です。

 

本ブログの関連トピックス

『リクルートのスタディサプリにみる顧客生涯価値の高め方』
小中学生から社会人まで、オンライン教育を展開するリクルートの「スタディサプリ」。

今回の「講師の声から求める講義を検索する」機能は、ブランド統合による顧客層の拡と個別ニーズへの対応の両立という課題への対策としても、参考になるものと思います。

 

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