特許庁の知的財産活動調査結果に考える公開と秘匿の使い分け
● 特許庁 平成29年度知的財産活動調査結果を公表
2018/9/11に、特許庁は、平成29年度の知的財産活動調査結果を公表しました。
本調査は、我が国の個人、法人、大学等公的研究機関の知的財産活動の実態を把握することを目的として、平成14年度から毎年実施されているものです。
H29年度調査結果概要は以下のURLから見ることが出来ます。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/files/h29_tizai_katsudou/kekka.pdf
(引用は『』でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)
『《知的財産部門の活動状況1~知的財産担当者数~》
○2016 年度の知的財産担当者数は、 38,067 人(対前年比 4.4%増) 。
○業種別にみると、「電気機械製造業」で 17.0 人と最も多く、次いで「輸送用機械製造業」が 12.3 人』
など、日本全体と業界別に、知的財産活動にかける費用、特許出願から登録までの各段階での件数などが掲載されていますが、
6ページの図11以降の、出てきた発明を特許として出願するか、ノウハウとして秘匿するかの使い分けでは、
業種別では機械製造業でノウハウとしての秘匿割合が高く、規模別では、ベンチャーや中小企業でのノウハウ等での秘匿割合が高いとの結果が出ているところになるほどと感じました。
● 出願するか秘匿するか
特許出願し、登録になって特許権を得ても、自社の事業で実際に使っている割合は、本調査によれば、
国内特許権の利用率は 49.0%(対前年+1.2%)であり、外国特許権の利用率は 48.5%(対前年+1.3%)と、約半分となっています。
ただし、自社事業には使っていなくても、将来の選択肢の確保や競合他社への牽制手段として持っている場合もあり、一概に有効活用していないとは言えません。
また、数多くの特許を持っていると、他社の特許技術に抵触しそうな場合の交渉においてクロスライセンスなどの方法も使えるなど選択肢が広がりますが、
中小企業では、経営資源が限られているため数多く出願することは難しくクロスライセンスのような使い方が出来る場合は限られてくるかと思います。
また、自社の特許技術を相手が実施しているかの発見が困難な場合も多く、発見できたとしても訴訟体力の問題もあるので、同じ技術分野でもノウハウとして秘匿する場合が多いことが、本調査の結果からもうかがえます。
● ノウハウとして秘匿する場合の管理の重要性
ノウハウは法的には営業秘密として不正競争防止法で保護を受けることになりますが、秘密として社内できちんと管理ないと保護を受けることは出来ず、また一端漏洩した時のダメージは大きいので、注意が必要です。
また、必要に応じて取引先に自社のノウハウを開示する場合には、契約上の手当てと、前述の自社内での秘密情報管理の双方をきちんと行う必要があります。
出願するかどうか、ノウハウとしたときの管理方法や開示するときの契約などについては、弁理士を始めとする専門家や、中小企業庁や商工会議所などの公的支援の支援も活用して、貴重な自社の知的資産を守り、活用していくことが重要ですね。
中小企業庁の「知的財産支援」サイト
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