南極氷山の飲用水プロジェクトにみる利用可能な資源の拡大と新たな課題
【今日のポイント】
南極の氷を牽引して水不足を解決しようとする巨大プロジェクトがケープタウンで計画されています。
以前にも浮かんでは消えたこのようなプロジェクトもニーズの高まりと技術の進展でまた日の目をみるという事例の一つであり、「ニーズの高まりと技術の進化による従来使えなかった資源の有用性の復活」という視点は自社内外の経営資源を見直す際の視点としても有効なものと考える次第です。
2019/6/18の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
ケープタウンの水不足問題を、南極から氷山を牽引してきて解決しようという「サザーン・アイス・プロジェクト」に関するトピックス。
2億ドル以上の巨大プロジェクトとのことです。
2017年にアラブ首長国でも同様のプロジェクトが計画されていましたが、今回は南アフリカの水不足問題への対策とのこと。
水不足の深刻さの広がりと、「見える資源」としての氷山の魅力が伺われます。
●ニーズの増大による利用可能な資源の拡大と新しい環境影響の課題発生
今回の記事からは、「ニーズの増大による利用可能な資源の拡大と新しい環境影響の課題発生」が始まっていることが見て取れるかと思います。
砂漠にバケツやコップとビニールシートを持って行って穴を掘り、底にバケツを置いてシートを張っておくと、砂漠の砂に含まれるわずかな水分が昼間蒸発して夜シートに結露し、バケツに水を溜められるという方法(砂漠の夜間温度差の利用)を子供の頃に、本で読んだことがありましたが、
今後、氷山や土中の水分など、今まで構想はあっても実用化に至らなかった資源の利用に再度チャレンジする動きが広がってくることが予想されます。
当然そこには、例えば氷山の消費による南極や地球の環境影響、氷山の運搬経路の安全性や海水温度低下の可能性への対応など新たな課題も生じる事は避けられないかと思います。
そしてそこには、新たな課題解決も含めて開発された新技術の他、以前『イケアとNASAのコラボにみるイノベーションに有効な方法』でご紹介したNASAとIKEA宇宙探査の居住性に関するコラボや、
『「火星探査のためのロボット蜂開発」に思う「開発環境・開発課題という資源」』でご紹介した火星探索のためのロボット開発、
『中国の月着陸にみる高度な課題設定という世界情勢を見るときのヒント』でご紹介した中国探査機の月の裏側への着陸など、
他の厳しい環境への対応策や難度の高い技術課題への対応として開発されている技術の転用が進み、新しい産業や事業展開につながっていくものと考える次第です。
そして、このような「ニーズの高まりと技術の進化による従来使えなかった資源の有用性の復活」という視点は、自社の周りでも規模を変えて起こり得るものとして、自社の知的資産の見直しや、取引先との関係構築などの際にも有用なものとして利用をお勧めする次第です。
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