ターゲットマーケティングを提供するClearBrain社にみる「データ取引の仲介役」の可能性

●　中小企業や商店にAI利用のターゲットマーケティングをお安く提供するClearBrain

2018年2月8日のTechCrunch　Japanに、表記の記事が掲載されていました。
http://jp.techcrunch.com/2018/02/08/2018-02-07-clearbrain-launch/

（引用は『』でくくります。　太字と改行は筆者挿入、以下同様）

同社は、中小企業に月額500ドル以下の低コストでＡＩを用いたターゲットマーケティングを提供しています。

『 “われわれのミッションはAIをマーケターのために民主化することだ”。

とCEOのBilal Mahmoodは言うのだが、しかしOptimizelyのプロダクトマネージャーだったMahmoodと彼の協同ファウンダー、Googleの広告部門の技術者だったEric Pollmannは、すべての民主化が一度で実現するとは考えていない。具体的な課題を一つ一つ解決していくことが必要だ…

まず第一にそれは、広告をもっと有望性の高いユーザーにターゲットすること。言い換えると、ターゲティングの打率を上げることだ。

Mahmoodによると、そのようなターゲティングは大企業がすでに行っているが、中小企業や一般商店などにとっては、買うにしても作るにしても費用が高すぎる。しかしClearBrainに頼めば、月額499ドルからですべてをやってくれる。それだけ安上がりにできるのは、Segment, Optimizely, Heapなど既存のさまざまなツールのAPIを組み合わせて使っているからだ。それにより、さまざまなデータの有効利用ができる、とMahmoodは言う。

“それらのデータレイヤの上にインテリジェンスレイヤ（AI層）を置くことができる”、と彼は語る。

つまりClearBrainは、企業がすでに使っているツールからデータを取り出して、その上に人工知能を適用して分析し、ユーザーを特性別にグループ化する。そしてClearBrainの顧客企業は、それに基づいて、Facebookの広告や、メールマーケティングや、そのほかのメッセージング提供をターゲティングする。』

と、ＡＩが利用するデータを既存のＡＰＩツールから取り出し、消費者のアクションとの関係を中立的に調整して、ユーザー企業が利用できるようにする「仲介役」として機能することを目指しているようです。

ClearBrain社サイト　https://clearbrain.com/

●　データ取引におけるデータ提供者と分析者の懸念とリスクの解消

ClearBrainは、ＡＩの活用のにおいて、多くのデータや情報処理の階層があるところで中立的な立場でユーザー企業が活用できる形に各階層間でのデータの受け渡しを調整しているものと思われますが、

ＡＩにおける階層的なデータ構造は、企業間におけるＡＩを活用するためのデータ取引においても、データ提供者とデータ利用者の間の懸念や不安感を醸成する要因となっているように感じています。

データ提供者側は、ＡＩ（色々な種類があり、ベンダーによってもその内容は異なります）がどんな機能を持つのか、自分のデータがどのように処理されていくのかについては良くわからないため、データの提供をためらうことになりがちな面もあるようです。

従って、データ提供者とＡＩベンダーの間を取り持つ仲介役（プラットフォームの形かもしれません）が必要な場面が出て来るのではないかと考える次第です。

これは、ヤフーオークションやアマゾンマーケットプレースなどが持っている機能のデータ取引版とも言えますね。

●　取引における懸念や不安をビジネスチャンスに変える

自社とお客様、あるいは自社の取引先との間でも、何らかの不安や懸念をお互いに持っている場合、特にお客様が自社や自社の提供している商品・サービスについて、その懸念や不安を解消することは非常に重要ですが、

同様の不安や懸念を持つ取引における仲介役になれないかという視点で、自社の取引先や顧客との関係を見直してみると、そこに新しいビジネスチャンスが見つかるきっかけになるかもしれません。

ＡＩ・ＩｏＴなどの新技術によって、データを始めとする情報のやり取りは今後多くの企業で更に増えてくるものと思います。