infit社のSNS就職支援サービスにみる他社のお客の活用方法

Employment support

【今日のポイント】

自社事業の成長や新規事業への展開において、顧客の獲得と維持は必須となりますが、他社の顧客を活用することもその方法の一つとなり得ます。

その際に、自社が不利な立場とならないためのポジショニングのとり方について、複数の切り口を持っておくことは大切なことかと考える次第です。

 

● infitSNS型就職支援「LinkT」サービス開始で電通とパートナー契約

2019/9/3のICT教育ニュースに表記の記事が掲載されていました。

株式会社infitのリリースはこちら
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『株式会社infit(本社:東京都渋谷区、代表取締役:後藤剛志 以下、当社)は、企業と学生の1:1のマッチングを可能にするSNS型就職支援プラットフォーム『LinkT(リンクト)』(以下、“LinkT”)のサービス開始にあたり、株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本敏博)との販売代理パートナー契約が成立したことをお知らせいたします。

今回成立した販売代理パートナー契約により、当社と電通は“LinkT”の全国での顧客開拓について協業していきます。

具体的には、電通の取引先企業に“LinkT”サービスを直接紹介するとともに、各地の有力メディアを通じ地域の有力企業に対して当サービスをプロモートしていく予定です。

当社は“LinkT”の展開を通じて地方に所在する地域の有力企業・新興企業が感じている人材不足の解消に貢献します。

同時に就職先を探す学生に対しても企業と本人の志向や得意分野のマッチングを通じて、地域を問わずより働き甲斐がある職場を見つけられること、それによって将来にわたり一人一人の志向に合ったライフスタイルの実現に貢献できると考えています。』

上記の提携は、自社の強みと他者の持つお客を繋げる取り組みと言えるかと思います。

電通のような大手企業と組む場合、特に先方の顧客を利用したい場合に、自社が下請けとならないための工夫や仕組みはどのようなものかという点にも、興味を惹かれた次第です。

事業提携におけるボトルネックの押さえ方

同社サービスの説明サイトをみると、
動画とオンライン面接による、従来の書類審査とリアル面接の間を埋めるサービスを展開を展開しており、そこで就活学生の課題への対応を通じて、就活学生を押さえつつ、企業側の開拓は電通等とも提携しています。

ここにも、以下の富士通の記事と同じく、バリューチェーンやエコシステムの中の事業提携において、ボトルネックを押さえることの重要性が窺えるかと思います。

『富士通の戦略解説にみる自社が押さえるべきボトルネック』

ボトルネックの押さえ方には、色々あるかと思いますが、
以下の資生堂のように、ユーザーサイドにおいたIoTマシンとスマホアプリによるテーラーメイドのスキンケアサービスにおいて、自社のスキンケアの知見とブランドという、長年築いてきた強みを活かす方法や、

ドローンフライトの申請代行サービスのように、規制の変化により生じた、フライトに申請が必要というボトルネックを解消するという、外部環境の変化への対応に加えて、申請代行のプロである行政書士と、ドローンという商品のプロが提携することで、顧客にワンストップサービスを提供し、新規市場を開拓するという方法、

TRUNKの、29歳以下は完全無料の職業体験・育成サービスの提供のような、顧客の「就職」というライフサイクルの入り口を押さえる方法など、複数の切り口を持っておくことは非常に重要かと思います。

このように、自社の知的資産を使って、他社のお客さんへ何か価値を提供できないかと考える際に、自社の知的資産を今の事業に限定せずに、その価値を上位概念で捉えておき、同時に自社の既存事業とその周辺の分野にアンテナを貼っておくことが重要と考える次第です。

『資生堂サブスクリプション型IoTスキンケアサービスにみる自社が活用すべき強みの押さえ方』

『ドローンフライト申請代行サービスにみる、新規市場の見つけ方』

TRUNKの職業体験サービスにみる、顧客のライフサイクルの段階に合わせたサービス提供と事業提携時のヒント』

 

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