『歴史思考』を読んでー温故知新とパターン認識によるメタ認知の効用

【今日のポイント】

『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する「歴史思考」』

多様化と急激な変化の双方が続く現在、世界の動向をどのように認識し、対応するかについて、
歴史上の人物を興味深く採り上げつつ、わかり易く説いてくれる、お薦めの一冊です。

【目次】
1.世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する「歴史思考」
2.本書の中で印象に残った点
3.温故知新とパターン認識

 

1.世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する「歴史思考」

先日、『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考 Kindle版
深井 龍之介 (著) 』を読みました。
https://amzn.to/3SGBlzY

単行本(ソフトカバー)こちら
https://amzn.to/3BTNATR

 

● 本書の構成と概要

本書の構成は、以下のとおりです。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

プロローグ 僕たちの「当たり前」を疑え チンギス・カン
1. スーパースターも凡人だった イエス・キリスト、孔子
2. 100%完璧な人間なんていない マハトマ・ガンディー
3. 人生のクライマックスは終盤に現れる カーネル・サンダース
4. 奇跡を起こすのは誰だ アン・サリヴァン
5. 千年後のことなんて誰も分からない 武則天
6. 僕らの「当たり前」は非常識 性、お金、命
7. 悩みの答えは古典にある アリストテレス、ゴータマ・シッダールタ
エピローグ 今こそ教養が必要なワケ

各章では、歴史上の偉人を採り上げて、その意外な側面を紹介しながら、歴史を学ぶことで、いかに視野が広がるかと広げ方、その効用を具体的に提示されています。

本書は単行本で208ページと手頃な分量で、かつサクサクと読めますので、歴史を学ぶだけでなく、歴史を見る際の視点を得るという面での入門書として一読をお勧めする次第です。

なお、著者の深井さんコテンラジオというポッドキャストも配信されていて、私も本書で知って早速登録しましたが、
これが歴史上の出来事を深掘りしつつ、色々な解釈を提示されていて大変面白く
また、現在のウクライナ情勢なども含めて、社会の変化をどう解釈するかや、今後の予測と対応を考える上での参考にもなりますので、
是非一度視聴されることをお勧めする次第です。

 

『歴史を面白く学ぶコテンラジオ』のサイトはこちら。
https://cotenradio.fm/

 

2.本書の中で印象に残った点

以下では、私が「面白い、参考になる」と感じた点をいくつかご紹介します。

●『メタ認知力があれば、目の前にある悩みにとらわれ ずに済むこともあるはず です。
だって、悩みの原因になっている「 当たり前」が当たり前じゃないことに気づけるんですから。
そして、歴史を知ることによるメタ認知のことを、この本では「歴史思考」と呼びます。
歴史を知ること、そして「歴史思考」を身に付けることは、悩みから解放されることでもあるんです。』

『プロローグ  僕たちの「当たり前」を疑え チンギス・カン』の一節。

本書の目的であるメタ認知を歴史から身につけることの効用をシンプルに教えてくれています。

この「メタ認知」は、私も「温故知新」「螺旋的発展」などのキーワードから目の前の事象を解釈したり、複数の事象を結びつけたりする上で意識している手法ですが、
この歴史思考は、未来予測の手法であるスキャニングなどとも共通点があると感じた次第です。

 

●『イエスや孔子は計算して意図的に世界をつくり変えたのではありません。
彼らの存在が他者に波及して、その影響がさらに波及して……と、ものすごく複雑な過程を経て、結果的に世界をひっくり返したんです。
歴史はとんでもなく複雑です。
ある人のある行為が将来にどのような影響を及ぼすかなんて、誰にも分かりません。』

『スーパースターも凡人だった イエス・キリスト、孔子』の一節。

孔子は何度かその伝記を読んで挫折なども味わっていた事は知っていましたが、改めて彼らの行為の波及効果という視点からみてみると、世界はまさに「バタフライ効果」のような複雑系である事を再認識しました。

また、上記の指摘は、我々自身も世界に何らかの貢献を与えられるという希望と、逆に世界にデメリットを与える可能性や、他者の行為の思いがけない影響など、リスクマネジメントの上での想像力の重要性やその限界(想定外)が存在することの認識の重要性も示していると感じた次第です。

 

●『僕たちが考えるようなこと、直面するような悩みは、昔の人たちがあらかた考え尽くしている。昔にもずば抜けて頭が良い人はいて、彼らは自分の考えを本に 残しているんです。
大学で卒業論文を書いた経験がある人なら、論文を書く前に「 先行研究」
をちゃんと調べましょう、と習ったはずです。』

『悩みの答えは古典にある』の一節。

著者は、「比較対象を提供してくれる先行事例」としての古典の価値について、上記のように記載しています。

この「比較対象」「先行事例」というのは、特許などの知的財産においても大変馴染みの深い要素ですが、歴史に関する古典は、社会や世界全体の課題を考えるうえでも、個人的な悩みに対する上でも参考にしようと私も感じた次第です。

 

●『大切なのは、その価値観が唯一絶対だと思い込まず、ほかの価値観も認めておくこと。
そのほうが、現代では生きるのが楽になるはずです。場合によっては複数の価値観を持ってもいいでしょう。』

『エピローグ 今こそ教養が必要なワケ』の一節。

複数の価値観が存在し、かつそれぞれが変化していくことを前提にどのように対応していくか、そのための拠り所としての歴史観を持つことの有用性を著者は説いています。

VUCAの時代と言われる現在、上記のような多様性と変化を受け入れるためにも、「メタ認知」を得る手段としての「歴史(古典)」を学ぶ重要性が窺えます。

また、本ブログトピックス『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』を読んで-』https://wp.me/p9D2bS-1aP でご紹介した、
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 山口 周著(光文社新書) 新書 』https://amzn.to/2zazagA が説いているような、芸術や哲学を通した「美意識」や「感性」の練磨の重要性とも通じるものがあると感じる次第です。

 

3.温故知新とパターン認識

上記のように、本書では歴史上の人物を描きつつ、多様な価値観やメタ認知の重要性と、それを身につけるために歴史(古典)を学ぶ重要性について述べていますが、

著者は前述の「コテンラジオ」で、「歴史上の複数のパターン」を認識し、それらを現代に当てはめてみることについても述べています。

本ブログでも何度か「温故知新」「螺旋的発展」「集中と分散の繰り返しや結合」などの視点を用いて最近のニュースなどを紹介してきましたが、

これらもパターン認識の一つと言えるかと思います。

 

このようなパターン認識も含めて、現代社会の変化をみる視点とその取得方法を得る上で、非常に参考になるものと、昨年ご紹介した『進化思考』『SF思考』と共に、一読をお勧めする次第です。

『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考 Kindle版
深井 龍之介 (著) 』 https://amzn.to/3SGBlzY

 

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