「SF思考」ー物語で見せる未来予測(2/3)

SF

【今日のポイント】

3回に渡ってお送りする、SFの発想法や構想、コンセプトの深め方などを未来予測や未来像の創造に適用する思考法とその実践方法を説く「SF思考」

中編の今回は、本書の第3章以降の中で、私が特に印象を受けた部分をご紹介しております。

 

【目次】

1.『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版 藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著)』←前編

● 本書の構成と概要←前編

● 私が参考になると感じた内容(第1章~第2章)←前編

● 私が参考になると感じた内容(第3章~おわりに)←中編(今回のトピックス)

2.SFの発想法と物語の組み合わせ←後編

3.ビジョンや自社の将来像からのバックキャストで現在の課題を考え、ストーリーに乗せて社内外に発信する。←後編

 

1.『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版 藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著) 形式: Kindle版』

中編の今回は、本書の第3章以降の中で、私が特に印象を受けた部分をご紹介しております。

本書の構成を再掲いたします。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『『はじめに──変化の時代に、変化し続けるための、オリジナルな思考法

第1章 SFとビジネスの関係

第2章 3×5のSF思考

第3章 「自分の未来」を創造するSF思考

第4章 SF思考がはばたく「未来ストーリーづくり」

第5章 SF思考で、いまと未来を変えていく

第6章 SF作家×企業でつくる未来ストーリー

第7章 SF思考から生まれた5つの未来

おわりに──明日からできるSF思考』

 

● 私が参考になると感じた内容(第3章以降)

本書の中で私自身は、以下の箇所が大変参考になりました。(各文頭のPXX Kindle版のページ数で、単行本とは異なります)

 

第3章 「自分の未来」を創造するSF思考

P1056『今の現実はひとまず忘れて「こうしたい」と思える未来を描く。そしてその未来を起点に、バックジャストで方策を考える。未来を予想するのではなく、想像するのです。』

⇒パーソナルコンピュータのコンセプトの提唱者アラン・ケイ氏「未来を予測する最良の方法は未来を発明すること」に通じる言葉ですね。

このバックキャストで現在の課題と対応を考えることは、この環境変化の激しい時代に必要な思考法だと、経営デザインシートなどの利用を通じても感じているものですが、令和2年度の科学技術白書でも、第1章、第2章を割いて、未来予測からの政策策定プロセスや2040年の未来予測について解説しています。

『第1章 科学技術による未来予測の取組』
令和2年度科学技術白書
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202001/detail/1421221_00004.html

『第2章 2040年の未来予測-科学技術が広げる未来社会-(Society 5.0)』
令和2年度科学技術白書
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202001/detail/1421221_00005.html

 

第4章 SF思考がはばたく「未来ストーリーづくり」

P1269『「面白いかどうか」を判断するポイントは「パッと見は意味不明だけど、複数の意味付けができそう」かどうかです。』

出てきたアイデア(言葉)の絞り込みのポイントですが、「複数の意味付け」=「複数の選択肢や複数のケース」と考えたときに、複数の未来像を想定するためにも複数の視点や意見を用意することは必要かと思います。

また、複数の未来像ごとに有効な選択肢を考え検討する上で、一貫したビジョンや志を持ちつつ多くのケースを検討するためには、多くの適用先を持てるアイデアは重要であり、ビジネスでの利用の広がりという点からの判断基準として使えるかと考える次第です。

 

第5章 SF思考で、いまと未来を変えていく

『社員の一体感のよりどころとなる会社全体のビジョンをしっかり構築するなら、第6賞で説明するように、プロのSF作家さんとの協業による未来ストーリーづくりにぜひ取り組んでほしいと思います。』

『「肌感を持ってビジョンを共有したい!」人の活用法』の一節。

SFの形ならずとも、未来像をストーリーとして考えることは、知的資産経営の現在と将来の『価値創造ストーリー」の構築と共通しています。

また、著者は、『自社の未来を決定づける可能性のある事件なトレンドの変化の可能性は、出来る限り詳しく洗い出しておきましょう』と説かれていますが、

未来像というアウトプットに必要なインプットとしての情報の重要性という点からも参考になるものと考える次第です。

 

第6章 SF作家×企業でつくる未来ストーリー

『未来予想の多くは、「なにかが起きた後、どうなるか」という視点のものが多くなりがちです。しかし、実は「何かが起きている真っ最中」を考えることはとても重要です。』

⇒これは、中々気づかない視点かと感じました。
現在新型コロナの中で、まさに「何かが起きている最中」に私達はいるわけですが、その中での対応とその後の「アフターコロナ」、「ウィズコロナ」を考える事はあっても、将来にコロナ禍のような事象が起きた最中を詳しく想像して対応を考えるというのは、BCPなどのリスク管理の一面も持つものかと思います。

著者はこの「未来に起きている事象の最中」を正確に記述するためにパターン分けの活用を提唱しています。

 

第7章 SF思考から生まれた5つの未来

⇒この章は、ネタバレになってしまいますし、紙幅の関係で内容はご紹介は省略しますが、5つの物語とも、大変味わい深く、かつリアリティを持って迫ってくるものを感じました。

まさに「あり得る未来」とそこで私達が遭遇する心身の影響を想像できるものだと感服した次第です。

 

おわりに──明日からできるSF思考

『空き時間に、新しい言葉をつくる癖をつける』

⇒著者が提案する、2つの「明日からできるSF思考」の一つ。

「始めに言葉ありき」と言われるように、「言葉=思考・コンセプト」という視点から、新しいコンセプトを考える訓練としても大変役に立つかと思います。

私も、新しい言葉を考えて、スマートフォンのメモなどに記録しておこうと考えている次第です。

次回後編では、

2.SFの発想法と物語の組み合わせ

3.ビジョンや自社の将来像からのバックキャストで現在の課題を考え、ストーリーに乗せて社内外に発信する。

についてお話させていただきます。

 

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