中国の知的財産権保護策に考えるブラックリストの共有の効果とリスク

知的財産保護

● 知的財産権侵害への懲戒を強化、米国との協議も背景に
(中国、米国) 

208/12/12のJETROビジネス短信に表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『(中国)国家発展改革委員会など38部門は連名で12月4日、「知的財産権(専利)分野における深刻な信用失墜主体に対する共同懲戒の実施に関する覚書」を発表した。各部門は実施に向けた細則や実施手順を制定し、2018年12月末までに「共同懲戒」を実現する。

「知的財産権(専利)分野における深刻な信用失墜行為」は、次の6つとした。(1)専利権侵害の繰り返し行為、(2)法による執行の拒否行為、(3)専利代理人の深刻な違法行為、(4)専利代理人の資格証書の借用行為、(5)異常専利出願行為、(6)虚偽文書の提供行為。

国家知識産権局は、全国信用情報共有プラットフォームを通じて、この覚書を締結したその他の部門・単位に「信用失墜主体名簿」を提供し、かつ「信用中国」ウェブサイト、国家企業信用情報公示システム、国家知識産権局政府ウェブサイトなどでその名簿を公表する。その他の部門は覚書の規定により、それらの主体に対して共同で懲戒措置を実施するとした。』

と、中国政府が、知的財産権分野における深刻な信用失墜行為として、6類型を挙げ、中国の特許庁である国家知識産業局が、全国信用情報共有プラットフォームを通じて他の行政部門に、これらの行為を行った主体(組織)の名簿を提供し、かつウェブサイトで公表するというものです。

いわば特許侵害者のブラックリストの公表ですね。

そして、侵害者に対しては、行政部門が共同で懲戒措置を実施するとしています。

この行政措置が、今後どれだけの効果を及ぼすものか、また米国や日本などの外国企業にどのような影響が出てくるのか、要注目かと思います。

 

● 特許だけでなくノウハウも

知的財産としては、特許や商標のように公開される知的財産も重要ですが、組織内に秘匿すべきノウハウや秘密情報、人が持つ知見、経験の保護も同じく非常に重要ですね。

日本の不正競争防止法による営業秘密やデータ(限定提供データ)の保護のように、ノウハウ等の保護について、中国がどのような施策を打ってくるかにも関心を持っています。

なお、これはうがった見方かも知れませんが、民間企業に対して知的財産を尊重させる一方で、サイバーテロに国家(機関)の関与も指摘されているように、ある意味軍事行動としての知的財産侵害行為については、どのように方針が変わっていくのか、こちらは中々外からは見えないだけに、気になるところです。

 

● ブラックリストの共有による官民双方での監視体制とリスク

今回の、中国政府の施策の背景には中国企業の中でも、自社で優れた知的財産を取得しているところと、他者の知的財産へのタダ乗りを考えている企業があり、これら国内企業同士の知的財産を巡るトラブルも増えているのではないかと推察しています。

今回の記事のようなブラックリストの公表や関係者間での共有は、懲罰効果とは別に、予防という観点からは、企業内でのトラブル事例やヒヤリハット事例の共有や、業界内でのトラブル事例共有に通じるものがありますね。

逆に、行政による恣意的なリスト掲載や、行政への情報提供による競合の蹴落としに使われる懸念もあり、日本企業が標的になるリスクにも要注意と感じるところです。

中国は、依然として市場として大きな位置を占めており、また、最近ではAI・IoT分野での研究開発も盛んですので、中小企業でも直接・間接に関係が出てくる場面は多いかと思います。

今回のような知的財産に係る施策についても、知的資産経営報告書のSWOT分析における外部状況の一つとして、取り上げて置くと、中国市場の把握だけでなく知的財産、知的資産に対する意識を上げて行くという点からも有効かと考えている次第です。

 

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