オフィスの緑化にみる、温故知新による生産性向上のヒント
【今日のポイント】
名古屋市のゼネコンがオフィス緑化事業に参入する際に用いた「バイオフィリックデザイン」。
以前から進められている「屋上緑化」や「壁面緑化」とも通じるものを感じます。
このような、今までの他社や他業界を含めた取り組みを参考にする「温故知新」の活用において、キーワードの探し方、知的資産経営と連携などのヒントになれば幸に存じます。
● 矢作建設、オフィス緑化事業に参入へ 「バイオフィリック」で生産性向上
2020/10/20の中日新聞Webに表記の記事が掲載されていました。
名古屋市の中堅ゼネコン矢作建設工業株式会社のバイオフィリックデザインの手法を用いてオフィス緑化事業に参入する取り組みを報じています。
同社のプレスリリース(2020/9/24)はこちら
『生産性・創造性を高める空間の実現に向けた取り組みの開始について』
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『SDGs を念頭にバイオフィリックデザインを取り入れた快適で生産性・創造性を高める空間の実現に向けた取り組みを開始し、この度、その第一段階として本社ミーティングラウンジを改修しました。
今後、当社施設を使用しデータ検証や実証実験を行うことで、設計手法の確立を目指していきます。
1.バイオフィリックデザインとは
バイオフィリックとは『バイオ=生命・自然』と『フィリア=愛好・趣味』から生まれた造語で、人間は本能的に自然を好む感性(バイオフィリア)を持っているという考えです。
この考えに基づき人工的な環境下で緑など自然の要素を取り入れる設計手法をバイオフィリックデザインといい、ストレス軽減に加え幸福度・生産性・創造性を向上させる効果があることが実証されています※。
近年、健康経営の普及や働き方改革などによりオフィスの在り方は多様化しており、働く人の満足度や生産性に配慮した空間に対するニーズは今後高まると予想されます。
※出典:ロバートソン・クーパー社「ヒューマンスペース 世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」』
上記のリリース記事中で引用されている「ヒューマンスペース 世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」はこちらのレポートかと思います。
『Human Spaces: 世界中の職場における、バイオフィリックデザインが与える影響』
⇒世界各国で都市化が進む中、自然を取り入れるバイオフィリックデザインが生産性や創造性に及ぼす影響とその取り組み事例に関する調査結果をまとめています。
緑化による生産性向上は、オフィス内だけでなく、オフィス街、更にはテレワークなどにより業務を行う場所が多様化している現在、屋上、壁面などの屋外環境も含めて要注目かと感じる次第です。
※>「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
● 以前の都市、建物の緑化から、現在のオフィスの緑化のヒントを得る
上記のオフィス内の緑化や、屋上緑化やビルの壁面緑化などは、以下のサイトなどにもみるように、以前から検討や普及の努力が進められています。
『みどりの技術プラットフォーム|屋上緑化をすすめるために』
公益財団法人 都市緑化機構
現在の新型コロナ下でのテレワークを含めた業務空間(環境)の在り方を考える上で、今まで行われてきた、同様の目的を持った取り組みを振り返る、「温故知新」は、今後も有効な検討方法となりますが、
その温故知新の活用方法として、この言葉は以前見た何かの言葉と関係ないかと考えるキーワード連想とネット検索の組み合わせを行って関連キーワードを探し、
そこに生産性向上などの課題としているキーワードを組み合わせることで、異業種での取り組み事例なども見つけ易くなります。
● 自社の知的資産の活用に温故知新を利用する
今回のバイオフィリック(緑化)などのキーワードで自社の中の人材、仕組み、取引先との関係を見直してみる際に、新しい言葉だけでなく、関連する以前の言葉もキーワードとして使うと、事例を探しやすく、また、見直しの過程や検討結果を社内外とも共有し易くなるかと思います。
以下の記事の様に、ネット時代に紙媒体にあえて特化するといった使い分けも、従来の手法の振り返りに使えるものと思います。
・「街の企業」にデザインを、もっと身近に。地方企業が月額1万円台のデザイン定額サービス「助太刀丸」をリリースできた理由。
2020/10/20のPRTIMESSTORYの記事。
⇒千葉県のビズクルー株式会社紙媒体専門のデザインのサブスクリプションサービスを取り上げています。
同社のプレスリリースはこちら(PRTIMES_JPより)。
⇒同社の紙とネットの使い分け、選択と集中は、分野を問わず参考になるかと思います。
また、以下の1日5分ビジネス英語のトピックスにみるように、「経済と政治が社会インフラに与える影響の普遍性から現在の課題解決のヒントが見つかる」こともよくあることかと思いますので、
自社のニーズ・課題と同様の課題を過去の事例や他社事例から探して、その解決策からヒントを得ることも「温故知新」活用時の有効な手段かと思います。
⇒水道(上水、下水)などの社会インフラは、経済的、政治的なニーズなど、地域の状況に応じた社会インフラを構築する原動力となっていることは、以下の記事からも窺えるかと思います。
『世界で初はじめてできた水道』サントリー「水育」
『下水道の歴史』国交省
これは、水道だけでなく、エネルギー(太陽光や太陽熱、風力やバイオマスの利用)や通信(狼煙などによる通信リレーと、現在のルーンプロジェクトの気球による通信リレーなど)においても同様であり、
経済や政治上のニーズ(現在のパンデミックなど)と同様の昔、あるいは他の地域のニーズ・課題をみることで、現在の課題解決策のヒントも得られるものと感じた次第です。
上記のような手法を用いて、自社の知的資産に新しい価値を付けて利用する事で、環境変化に応じた自社の経営資産の効率的な活用が期待できるかと思います。
そして実際の検討作業時には、SWOT分析や経営デザインシートも活用する事をお勧めする次第です。
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