NTTドコモの携帯電話の分離プラン提言にみるビジネスモデルやエコシステム変革時の視点と対応

FunkyFocusによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

携帯電話の分離プラン、解約金値下げでは、複数のステークホルダーが存在するビジネスモデルの変革の難しさが現れています。

その中で、知的資産を始めとする自社の経営資産を他の分野に進出するための新しい強みに変えることも一つの選択肢となりえることを、NTTドコモの取り組みの中に見ることが出来るかと考える次第です。

 

「解約金値下げ」と「端末割引の制限」、キャリアはどう考える? ドコモ料金制度室長に聞く (1/3)

2019/6/15 ITmedia Mobileに表記の記事が掲載されていました。

 

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『改正電気通信事業法が適用される当事者である、ドコモはどのように考えているのか。同社の料金制度室長の田畑智也氏に話を聞いた。』

総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するWGにおけるキャリア側の提言に関する、NTTドコモへのインタビュー記事。

NTTドコモが提示した端末値引額の3万円の根拠や、解約金に対する考え方などについて語られています。

総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」こちら

ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するWGこちら

ユーザー、代理店など複数のステークホルダーが絡むビジネスモデル変革の課題

上記の記事の中でも、お金とサービスの流れにはユーザーや代理店など多くの関係者が関与しており、これら各ステークホルダーのメリット、デメリットが相反することが語られていますが、

サービスの授受とお金の流れ(収益モデル)が一致していないビジネスモデルを変革することが困難になっていることが、モバイル市場においても現れています。

また、公正な競争の視点からの抜け道防止という課題も挙げられていますが、自由な創意工夫との両立という点で、こちらもかなり難しい課題と感じる次第です。

 

携帯電話の枠を超えたエコシステム構築の視点

携帯電話の大手キャリアのNTTドコモについては、

2019/6/10の日経×TECHが以下のような記事の中で同社の構想を取り上げています。

5Gスマホをハブに、ドコモの「マイネットワーク構想」が越えるべきハードル』

 

5G対応のスマートフォンをハブとして、そこに様々な周辺デバイスを接続し、その上でサービスを提供するというもの。

周辺デバイスの例としてVRAR関連機器を取り上げています。

VRゴーグルはコストだけでなく、少なくとも街中でかける気にはなれないというデザイン性、使い勝手が大きな課題と感じます。

同記事中でドコモが挙げるコンテンツの課題も、確かにクリティカルなものかと感じますが、携帯電話のサービスという範囲中では、自社のビジネスモデルを変えたり、競争優位性を保つことが困難になっている中、

既存事業の枠を超えて、自社の提供価値を広げていくということも、一つの方向性かと思います。

また、以下の記事のように、NTTドコモは産学連携による海外旅行分野での新サービス、ICT教育分野での貢献、まちづくりの中でのICT支援など、携帯端末や通信インフラを使った新しい提供価値の創出とそれらの組み合わせによる自社自身の価値やブランド、エコシステムの強化を図っています。

 

HAL×ドコモ、海外旅行の新サービスを提案する産学連携プロジェクト始動』

『住民主体の町づくりをICTで支援、横浜市と東京急行電鉄、NTTドコモ、日本電信電話が実証実験』

絞り込みと枠の拡大の使い分け

今までの本ブログの中では、自社の強みに尖ること、その他の部分は他者との連携で補完するという方向性を取り上げるトピックスが多かったかと思いますが、

上記の一連のNTTドコモの取り組みにみる、既存事業を核としつつ、その適用先を広げるというビジネスモデルも、既存事業の収益モデルの変革を迫られている中では、選択肢の一つとなるという事例かと思います。

中小企業においても、自社の知的資産現在の市場の周辺異分野における新しい「強み」に変えて使えないかという適用先の枠の拡大という視点は、今後の事業展開や成長戦略において欠かせないものかと考える次第です。

 

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