植物起源の食肉にみる食料バリューチェーンの変化

【今日のポイント】

2040年までに食肉の殆どが植物起源の代替肉となるという衝撃的な予測調査。

食肉の工業化の流れは、バリューチェーンを変革し、食肉産業や飲食産業以外にも大きな影響を与える可能性を秘めています。

 

さよなら肉!「2040年にはほとんどが植物性のフェイク肉に」 | 【世界を見渡すニュース・ペリスコープ】 |

2019/6/16のクーリエ・ジャポンに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『英紙「ガーディアン」は、「米コンサルティング会社A.T. カーニーが専門家らに対して聞き取り調査を行ったところによれば、従来の肉生産による大きな環境への負担と、工業化された畜産による動物福祉(人類が動物に与えるストレス)への懸念が強く指摘された」という。その上で、こんな調査結果が出されたと話題になっている。

2040年に人が消費する肉のほとんどは、動物から得た食用肉ではなくなり、6割は容器の中で培養されるか、肉と同じ見た目と味の植物性の肉製品に取って代わられるだろう」』

同記事では、ビヨンド・ミートによるハンバーガー用の代替肉の販売など、多くの食肉の変化に関するトピックスを紹介しています。

食肉の変化については、以下の記事では宇宙空間での食肉の地産地消を取り上げています。

『宇宙で野菜や培養肉を地産地消!?プロジェクト「Space Food X」に迫る (1/4)
2019/5/8ITmediaビジネスオンラインの記事。
植物起源肉製造、細胞培養などのサプライヤー側技術と健康・環境・宇宙探索などのニーズが相まって食肉の状況が大きな変化を見せ始めていることが窺えます。

2019/6/2415分ビジネス英語でも、『「本物」の肉が2040年までに無くなる』
との題でこの話題を取り上げています。

『米コンサルティング会社ATカーニーによると、2040年の「肉」の60%は、動物からのものではなくなるという。その代わりに、肉は本物の肉の形や味と似ている、植物をベースにして作られた製品になるだろう。』

気候変動などの環境変化により、植物起源の肉製品が大きくシェアを伸ばすというもの。

どの様な味、形態になるのか、想像力をかき立てられます。

 

食品の工業製品化によるバリューチェーンの変革と、新市場の創造

これらの記事からは、「食品の工業製品化によるバリューチェーンの変革と、新市場の創造」が予想できるかと思います。

 

一次産業の二次産業化により、環境問題や消費者のニーズ多様化への対応が進む中で、農産物のバリューチェーンも農産物家畜食肉から農産物食肉となり、必要な農産物の種類、流通過程の中で大きく変化していくことが予想されます。

また、以下の記事の様に、牛肉1kgに必要な穀物量は11kgとなり、この穀物を直接食肉に変えることができれば、大幅な食料効率の向上が期待でき、これは今後の発展途上国の経済成長による食肉需要の増加への対応策としても重要な打ち手になる可能性が有ります。

『世界の肉類消費量の推移と畜産物1kgの生産に必要な穀物量』

なお、ニーズ側では、上記の記事で語られていように、宇宙食3.0と呼ばれる地球外空間での地産地消型食肉利用も視野に入ってきます。

『宇宙で野菜や培養肉を地産地消!?プロジェクト「Space Food X」に迫る (1/4)

このように、供給側、消費側それぞれが新しい食肉技術の影響を受けて、グローバルなバリューチェーンが大きく変化するとともに新しい食品市場も生まれてくるものと予想されます。

このような食品市場の変化は、流通や消費者行動の変化、更には野菜工場のような農業用設備・農場、エネルギー需要形態の変化などを通じて、食肉産業以外にも影響を及ぼす可能性が高くなります。

自社の業界以外の新しい変化にも目配りする必要性の高まりを改めて感じた次第です。

 

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