「SF思考」ー物語で見せる未来予測(1/3)
【今日のポイント】
SFの発想法や構想、コンセプトの深め方などを未来予測や未来像の創造に適用する思考法とその実践方法を説く著書「SF思考」。
ビジネスから個人のライフデザインまで参考になり、かつ読んでワクワク出来るお薦めの一冊です。
前中後編の3回に渡ってお送りさせていただきますが、まずは、本書の概要と、本書の前半で私が特に印象を受けた部分を中心にご紹介しております。
【目次】
1.『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版 藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著)』←今回のトピックス
1.『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版 藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著) 形式: Kindle版』
先日、『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著) 』を読みました。
単行本はこちら
元々、私は子供の頃からSFやファンタジーが好きで、かつ未来予測にも興味を持って、本ブログでもご紹介しているシグナルプロジェクト(未来予測の勉強会)にも参加しているので、本書は多大な興味と期待を持って読み始めましたが、期待以上に面白く、かつ実践的で、SFの発想法が今なぜ重要性を増しているのかや、日本でも既に実践されている手法など、
コンサルティングでも目にするビジョン構想や将来像の描き方の難しさやその具体像、リスクの想定などの課題について、大変参考になり、明日から使いたいと感じた次第です。
本書の構成は、以下の通りです。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)
『『はじめに──変化の時代に、変化し続けるための、オリジナルな思考法
第1章 SFとビジネスの関係
第2章 3×5のSF思考
第3章 「自分の未来」を創造するSF思考
第4章 SF思考がはばたく「未来ストーリーづくり」
第5章 SF思考で、いまと未来を変えていく
第6章 SF作家×企業でつくる未来ストーリー
第7章 SF思考から生まれた5つの未来
おわりに──明日からできるSF思考』
『第1章 SFとビジネスの関係』では、SFがいかにビジネスの世界に影響を及ぼしているか、また関係が深いかを、世界のビジネスリーダーや米国・中国でのSF活用のなどの事例を引きながら紹介しています。
『第2章 3×5のSF思考』では、SF思考の内容について、その骨格となる「3×5のSF思考」を解説しています。
この「3」は、SF作家、SF編集者、SF読者(SFの利用者)それぞれの思考法を、
「5」は、上記3者ごとに、どのようにして、SF思考を進めていくかを5つの要素に分けて説明しています。
『第3章 「自分の未来」を創造するSF思考』では、SF思考で何が変わるのか、未来ストーリーづくりやビジネスにおけるSF思考の効用について解説しています。
『第4章 SF思考がはばたく「未来ストーリーづくり」』では、ワークショップ形式でSF思考に基づいた未来ストーリーを作るステップを以下の5つのステップで解説しています。
『STEP1 「未来の言葉」で斜め上にジャンプする
STEP2 「未来のガジェット」をデザインする
STEP3 未来のキャラクターを動かす
STEP4 未来のガジェットが起こす変化を考える
STEP5 未来のトラブルと解決法を考える』
『第5章 SF思考で、いまと未来を変えていく』では、作った未来ストーリーの活用法について、
『「日々の業務に忙殺される状況を変えたい!」人の活用法、
「時代を後追いする社風を変えたい!」人の活用法、
「肌感を持ってビジョンを共有したい!」人の活用法、
「社内の価値観をアップデートしたい!」人の活用法、
「自分の未来を、自分で決めたい!」人の活用法』
と、目的・ニーズ別に解説しています。
『第6章 SF作家×企業でつくる未来ストーリー 』では、企業がプロのSF作家と共にSF小説を共創し、社会に未来像を広げていく方法を、そのプロジェクトの設計から3回のワークショップに渡って具体的に紹介しています。
『第7章 SF思考から生まれた5つの未来』では、三菱総合研究所で2020年に実施した「2070年のSF思考ワークショップ」で創作された、5つの短編SFを掲載しています。
(これだけでも、十分な読み応えがあると感じます)
『おわりに──明日からできるSF思考』も、日々の生活においてSF思考を実践するヒントを語っていただいているので、大変参考になると思います。
本書の中で私自身は、以下の箇所が大変参考になりました。(各文頭のPXX Kindle版のページ数で、単行本とは異なります)
第1章 SFとビジネスの関係
P187『ふつうに考えて、世界で十指に入る億万長者のうち6人がSFファンというのは、結構すごい。』
⇒『世界のビジネスリーダーはSFに影響を受ける』の一節。
『SFがVUCAの時代の未来を照らす』に記載されている、新型コロナ禍のようなグローバルなリスクや新技術導入に伴う新たなリスクなどに関する以下の、
P253『前例をどれだけ参照しても、未知の課題に対する解決策なんて見つかりっこ ないのだから。しかしSFは、そんなリスクについてずっと考え続けてきたジャンルだ。』
の記載とともに、SFだけでなく、以下のトピックスでもご紹介した美意識や哲学のビジネスへの適用例など、教養(リベラルアーツ)に関心が集まっている背景になるほどと納得した次第です。
『『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』を読んで-』https://wp.me/p9D2bS-1aP
『『武器になる哲学』に学ぶ、思考プロセスのトレースと応用』https://wp.me/p9D2bS-1c2
第2章 3×5のSF思考
『SF作家、SF編集者、SF読者という、異なる立場の思考法を組み合わせて、 それをぐるぐる回す意識を持てば、応用範囲がぐっと広がる。「未来を描き出す」活動全般に使えるものとなるのだ。』
⇒『SF読者の思考法ー斜め上の未来をたぐりよせる』の一節。
著者は、3つの立場を組み合わせることで、作成する未来像の伝達と応用までのフェーズが内包されることで、SFの発想法がSF以外にも広く使えるものになることを説いています。
また、3つの立場とも「クリエイターであろうとする意志」を共有していることが重要と語っています。
次回中編では、本書の「第3章からおわりまで」の中で、私が特に参考になると感じた部分についてご紹介させていただきます。
『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版 藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著) 』https://amzn.to/3hOHZ6o
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