ダイキンの生産性向上と空調の相関実験にみる、温故知新と発想の転換の組み合わせ方法
【今日のポイント】
ダイキン工業の空調と生産性向上の相関実験。
従来と逆の「高湿度低温環境」の効果をAI・IoTを使って検証しようとするものですが、空調分野で昔から付加価値の一つとして目指してきた生産性向上と逆転の発想の組み合わせとも言えるかと思います。
そして、このような発想・仮説を検証する手段が、AI・IoTの発展とともに豊富になってきており、従来よりも飛躍した発想を活用できる場面が広がってきていると考える次第です。
● 『未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』を7月に開設』
2019/4/23にダイキン工業株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『ダイキン工業株式会社は、空間データの協創プラットフォーム『CRESNECT(クレスネクト)』のプロジェクト※において、会員型コワーキングスペース『point 0 marunouchi(ポイントゼロ マルノウチ)』を7月16日(火)より東京・丸の内に開設します。
『point 0 marunouchi』は、空間データの協創プラットフォーム『CRESNECT』の第1弾プロジェクトである「未来のオフィス空間」を実現していくための会員型コワーキングスペースです。
各社が保有する最新の技術やデータ、ノウハウを融合し、AIやIoTを駆使して創り出した空間コンテンツを利用者に体感してもらうことで、健康で快適に働けるオフィス空間づくりに向けた実証を行ないます。
また今回、空間解析システムを手掛けるベンチャー企業の株式会社MyCityが新たに本プロジェクトに加わり、コワーキングスペースの運営・管理に加え、空間解析によるソリューションづくりに取り組みます。』
ダイキン工業が、空調から、空間設計・変革へ自社事業の領域を広げて行く様子が窺えるかと思います。
● 高温低湿度から低温高湿度という逆転の発想
上記のニュース記事では、従来は、欧米の気候の様に、夏場は低湿度が過ごし易いという発想での工夫を逆転させて、高湿度低温の環境での生産性向上効果の検証を試みることを報じています。
従来とは逆のことを考えた場合に、それを検証する手段がAI・IoTやインターネットにより増えていることも考え合わせると、このような逆転の発想が活かされる場面も増えてくるものと思われます。
● 今までの自社の提供価値の外にある付加価値の追求にAI・IoTを適用して自社の事業ドメインを拡大する
新しい知的資産を得る方法として、自社の知的資産と、AIやIoTを組み合わせる方法の他に、
NEBのように、以前からあるが、自社にとっては新しいニーズと自社の知的資産とを組み合わせて、「新しい自社の強み」を考える方法も考えられるかと思います。
また、以前のトピックス『「ネスカフェ 睡眠カフェ」にみる、生産性を軸にした多様な睡眠サービスの展開と自社の強みの活かし方』
では、ネスカフェの睡眠カフェを例に、自社商品の新たな提供価値の見つけ方として、その商品に関わる「人」に焦点を当てて、「生産性向上」や「健康維持」の視点から見直してみることをお勧めしましたが
今回のダイキン工業の取り組みは、NEBという、自社にとっては昔からある付加価値の候補に、AI・IoTを組み合わせて自社の提供価値を高め、事業ドメインを広げていく試みの一つになるかと思います。
このように、AI・IoTなどの新規技術、新サービスの適用については、温故知新で古いニーズを拾い上げ、逆転の発想で仮説を立てて、AI・IoTで検証するという方法が、今後も広がってくるのではと考える次第です。
なお、この方法は、
『グーグルマップからの都市ランキングにみる新しい都市の格付け競争の予感』
でもご紹介したように、社会インフラの分野でも応用できる方法かと思います。
自社が関わる社会課題があれば、そこに上記の「温故知新×逆転の発想」の組み合わせを使ってみてはいかがでしょうか?
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